巻頭企画に相応しく、流麗かつデザイン性の高いブリスターで高い評価を得ている太田クンの18系クラウンが今月号の表紙を飾る。各地のイベントにも積極的に参加しているが、何度も仕様変更を重ねて熟成させるのではなく、「一番カッコいい」と称した現在のスタイルで長く乗り続けることがオーナーの美学である。
話は約2年前、13年2月に開催された大阪オートメッセに遡る。モードパルファムブースに展示されていた、ブリスターフェンダーの18系クラウンを覚えているだろうか。シンプルなデモカーが並ぶ中で浮いて見えるかと思いきや、意外と違和感なく溶け込んでいたのが印象的だった。各部に目を向けると、スーパーカーを連想させるアグレッシブなワザが多い。しかし決してド派手ではなく、むしろ気品を感じさせるほどまとまりが良い。太田クンの18系は、スーパーカーテイストの定義に逆らったことが最大の勝因と言える。
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「テーマは、『シンプルなスーパーカー』。市販のスーパーカーは色もカタチも派手ですが、その逆はいないと思いました。高級感のある18クラウンなら、むしろシンプルに振った方が似合うと感じたんです」。
もしボディカラーが原色系だったらもっとインパクトが増したと思うが、あえて白を選んで品の良さを磨く。複雑なボディラインも一層際立ち、まさに一石二鳥と言える。
「この色は、レクサスLSやISのFスポーツしか設定がない、ホワイトノーヴァガラスフレーク。どの白よりも白く、ガラスフレーク入りなのでキラキラ感も強いです」。
パルファム雅夢レガリアで統一したエアロも、シンプル感が冴え渡るキモとなる。最大の見せ場は鋭く尖らせ、さらに前方に張り出しを加えたグリル下の造形である。
「レガリアの意匠を残しつつ、この尖りでスーパーカーのような攻撃的なムードを表現しています」。
「愛情を込めて接していれば、
その想いがクルマにも伝わると思う」
そして太田18クラウンのトレードマークである、ワンオフブリスターにも注目。フロントは現行86をイメージして大きく盛り上げ、リアは新型アテンザを意識して風になびくような流れるラインを作る。
「86とアテンザのカタログを手に入れて、それを見比べながら前後のバランスを考えて作りました」。
出幅は割と大きいにも関わらずシンプルに見えるのは、リアのドアノブと給油口をフェンダーとツラにして自然に仕上げているから。もうひとつは、ダクトを開けないこと。前後のフェンダーはコの字型の落とし込みを入れたが、あくまで穴は開けずに奥行きで魅せるのが狙い。
「ダクトを入れると他のクルマと被るし、『シンプル』というテーマからかけ離れてしまう。これからもダクトを入れる考えはないです」。
この仕様を完成させてから細部をわずかに変えた程度で、大幅なリメイクはしていない。なぜならこの仕様が大好きで、一番カッコイイと思っているから。愛情を込めて作り上げた18クラウンは、オーナーにとって「家族同然」と考えている。
「クルマには魂があると思う。大切にしていたら、必ず僕の想いに応えてくれる。だから今後も家族(クラウン)を大事にしたいです」。
<TEXT:VIP STYLE編集部>
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