実用性を犠牲にしてまで、イベントで勝つためのクルマを作り込む人が多い。しかし高橋サンの50シーマは、イベントだけでなく街乗りも視野に入れ、オシャレさを重視したスタイルを作る。愛情をたっぷりと込めて仕上げたシーマは、オーナーにとって「相棒」。この仕様なら、相棒と長く付き合っていけるだろう。
バブルの頃と比べたら、ネオンの灯りは減った。しかし夜の新宿は、今もなお華やかである。仕事が終わって飲みに繰り出すサラリーマンたち、買い物を楽しむカップル、海外から旅行ガイド片手にやってきた観光客――。多くの人が行き交う賑やかな街に、颯爽と現れたのが純白の50シーマ(日産F50型シーマ)。車外に出て、新宿の街並みを眺めるオーナーの高橋サン。
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「若い頃に仕事の関係で新宿に住んでいたことがあって、夜になるとよく歌舞伎町で飲み歩いていました。今もネオンが華やかで、『これぞ都会だな』という感じがしますね」。
昔より回数は減ったが、今でもシーマで新宿へ遊びに行くこともあるというオーナー。繁華街へと堂々と乗っていけること、それがこのクルマの最大の強みである。
イベント会場では目立つものの、都会が似合うVIPセダンは意外と少ない。しかしこのシーマは、華々しい新宿の街に違和感なく溶け込んでいる。細部まで徹底的に手を加えているにもかかわらず、やっている感をおもむろに主張しないオシャレなスタイリング。「エレガントVIP」というテーマに相応しい仕上がりである。
「普段は乗るのが恥ずかしい、派手なクルマにはしたくなかったんです。快適に街乗りできて、なおかつイベントで入賞できる仕様が自分の理想でした。『すごいね』よりも、『カッコいいね』と言われたいです」。
50シーマを新車で買って14年、VIPの世界に飛び込んで7年。走りを存分に楽しむというスタンスは、昔から何ら変わっていない。
ド派手ではなく、オシャレでありたい
ずっと乗り続けられるエレガントVIP
「あのラインがないとのっぺりしてしまい、ロリンザーのカッコ良さを発揮できないと思いました」。
両脇にボンネット用を加工した汎用ダクトを埋め、その下にワンオフのプロテクターを付けてボリュームを補整。サイドはインパル+ヴァルド200ハイエース用。下部の張り出しが、フェンダーダクトの別体パネルと繋がるアレンジが斬新だ。
「サイドビューが以前よりシャープになり、やって大正解でした」。
リアは後期風バンパーに社外ハーフを足し、さらにアーティシャンスピリッツのアルファード用ディ
フューザーを合体させた3コイチ。
「アーティシャンのディフューザーは薄くて幅が広いので、リア周りが重たくならないと思いました」。
そして昨年はオーバーフェンダーを製作。これまで純正を貫いてきたのは、フェンダーを触るとハデになるという先入観があったから。
「しかし今回は、フェンダーを出してもオシャレなクルマが作れることをアピールしたかった。ボディラインが崩れないように、滑らかに膨らませたのがこだわりです」。
「ストレスなく街乗りできて、
なおかつ賞を獲れる仕様が理想形」
内装は純正のベージュを基調として上品さを保ちつつ、赤のステッチをあしらってオシャレな装いで魅せる。さらに煌びやかなスワロフスキーを多用したのもポイント。エアバッグやシフトゲートなど、高橋サンが1粒ずつ丁寧に貼り付けた。
「浅草橋の宝石問屋でスワロを買って、約一週間で仕上げました。細かい作業は結構好きです(笑)」。
VIPにハマる前はオーディオに凝っており、ドレスアップ系より先にオーディオのイベントに参加していた。トランクを開けるとアルパインの名機V12アンプが、青LEDの光を浴びて高い存在感を放つ。
「アンプの周りにラメが入ったシートを貼っているので、光が当たると乱反射してキレイに輝きます」。
フェンダー完成後は、イベントで14回連続総合入り。全国にクルマ仲間ができたが、昨年12月のユニオン杯をもってエントリーを引退。
「シーマを手放すわけではなく、イベントには顔を出すので、ぜひ今年も交流よろしくお願いします」。
<TEXT:VIP STYLE編集部>