ドライバーに反応を求めてくる2015年モデルR35
新名神高速の鈴鹿の山越えにおいて、雪に見舞われた。昨年、ちょうど同じ時期にここを通過中、大雪となり、アッと言う間に積もったことを思い出す。
そのときは電子制御がない時代のMRスーパーカーを駆っていたため、次第に路面を覆い始めた雪に恐怖心すら抱いたが、GT-Rなら安心だ。そう信頼できるだけの、重量バランスの良さと制御システムの優秀さが、GT-Rの根本を支えていると言っていい。
クルージング時に、妙な緊張を強いてこないという点も、MY14と同様に最新モデルの美点である。路面の変化に対するアシの順応力が高く、ステアリングホイールに至るまでに、不快なレスポンスを取り除いてくれる。
ただ、MY14の記憶と少し違うなと思ったのは、例えばジャンクションのようなコーナーの途中、少し路面が荒れたか何かで車体の動きに変化が生じた際、MY14ではそれをあやふやに、さも何事もなかったかのようにクリアさせてみせるだけの鷹揚さ、というか、いい加減さがあったはずなのだが、MY15では一瞬とはいえ、ドライバーに反応を要求するような律儀さがあった。
同じようなことは、車線変更を積極的に行うような場面でも感じた。フロントアクスルとの一体感が増している。ちょっとMY13のようで、GT-Rのフロントセクションがより低く、狭くなったような感覚をドライバーの両手に残すのだ。実際、ノーズの動き始めには、MY14にはなかった機敏さもある。かといって、例えばBMW・M3のようなFRカーのように、さらに動きたがるような性質はない。サッと動いてサッとやめる。そんな潔さがある。
よりドライバーズカーへと深化した2015年モデル
よりドライバーズカー寄りのGTへと「深化」したMY15。R寄りのワインディングでは、GT-RマガジンのスタッフカーであるR35(MY07ベースにMY13サス+MY14タイヤ仕様)と、ほとんど同じベクトルの仕立てになっていて驚いた。
ひと言で言って、ツウ好み。もはや、ワインディングステージにおける以前のMY14のように、どんなドライバーが乗っても速く走らせてくれそうな懐の深さはすっかり影を潜め、どちらかといえば、積極的で果敢なドライビング・アティテュードを促すキャラクターへと変貌を遂げていた。
そのことは、GT-Rマガジン号に乗り換えて同様のコースを走り、ほとんど同じ気分だったことでもわかる。否、正直を言うと、GT-Rマガジン号のガサついた=初期のR35 GT-Rらしいパワートレインフィールと、鋭くかつ粘り気があって地面と近しいステアリングフィールに「惚れて」しまったのだが、MY15はその動きに近い。
言い換えれば、MY15はMY14のGT性能はそのままに、MY13方向のハンドリングマシン的要素を、知ってか知らずか積極的に取り入れたと言ってよさそうだ。
MY14で、GT-Rの方向性が「GT」と「R」の両方に広がっていることを、基準車とニスモであらためて見せつけたR35 GT-Rタムラ。MY15は、MY14で分けざるを得なかったGTとRの融合を、突き詰めて検討する時間があったということだろう。
また「次」への期待が高まった。
NISSAN GT-R主要諸元
車名型式 | ニッサンDBA-R35 |
全長×全幅×全高(mm) | 4670×1895×1370 |
ホイールベース(mm) | 2780 |
トレッド 前/後(mm) | 1590/1600(1600/1600 ※1) |
最低地上高(mm) | 110 |
車両重量(kg) | 1740(1750 ※2) |
最小回転半径(m) | 5.7 |
エンジン型式 | VR38DETT |
ボア×ストローク(mm) | 95.5×88.4 |
総排気量(cc) | 3799 |
圧縮比 | 9.0 |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 404[550]/6400 |
最大トルク( Nm[kg-m]/rpm) | 632[64.5]/3,200-5,800 |
燃料タンク容量(L) | 74 |
燃料消費率 JC08モード(km/L) | 8.7 |
※1はTrack edition engineered by nismoの数値
※2はPremium edition/Track edition engineered by nismoの数値
グレード | 価格(税込み) |
GT-R Pure edition | 947万7000円 |
GT-R Black edition | 1040万400円 |
GT-R Premium edition | 1058万7240円 |
GT-R Track edition engineered by nismo | 1170万720円 |
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