トラック・カスタムのルーツとなった映画「トラック野郎」
1975年から1979年までの4年間、全10作も製作された東映の「トラック野郎」という映画があった。
俳優・菅原文太さん(平成26年11月逝去)が「星桃次郎」、愛川欽也さん(平成27年4月逝去)は「松下金造」という長距離トラック運転手を演じた人気作で、その菅原さんこと桃次郎が劇中で乗っていたのが「一番星号」。派手な装飾や電飾で車体を飾ったデコトラだった。
「この人になら大切にしてくれるだろう」と気持ちになったことで、一番星号を譲ることになった。
そんな経緯で再び走り出した一番星号。今年2月に大阪府のインテックス大阪で開催された「大阪オートメッセ2016」で、その復活を果たした姿を披露した。
ここに至るまでの「一番星号」の軌跡は、交通タイムス社刊「トラック魂」誌が密着レポート。掲載された写真を中心にダイジェスト版で5回に分けて紹介していこう。
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大阪にあった一番星号は陸路とフェリーで関東へ輸送された。引き取り時は全国哥麿会から輸送を担当するメンバーが大阪を訪れた。そこで対面した一番星号。一度は、元オーナーの藤原さんによって修理されたとはいえ、そこから歳月が流れただけに傷みも見られた。ただ、灯火類は異常なしという状態だった。
全国哥麿会のメンバーが輸送ドライブを担当。さらに全国哥麿会のメンバーが伴走した。輸送時にすれ違うクルマのドライバーの視線を強く感じたという。道の駅で休憩しているときもギャラリーが集まって来た。伴走車の「元禄丸」のドライバーの山原さんが元オーナーの藤原さんと全国哥麿会の田島会長の間を取り持った人だという。
大阪南港のフェリー乗り場へまでの移動中、ブレーキ関係にトラブルが出る。現場で応急処置を試みたが事態は好転しなかったため、三菱ふそうの岸和田支店(大阪府)に一番星号を持ち込む。修理後は快調に走り、大阪南港を目指した。手前は伴走車の「元禄丸」。
夕暮れになると車体の電飾を点灯する「ナイトシーン」を敢行。まだすべての電飾は点灯しないが雰囲気は出ている。大阪南港の駐車スペースで伴走車とナイトシーンで大阪の出発日を締めくくった。そして一番星号を積んだ船は東京へ向けて出港。
整備ではなくレストア・レベルの修理が必要
「一番星号」を積んだフェリーは大阪南港を出発した翌日、東京の品川埠頭に到着。そこから修復の拠点となる全国哥麿会の田島会長の元へ向かった。
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これは手を焼いたと思うがそこは一番星号のためのこと。車検合格に向けて着々と作業は進んだ。また、これと平行して、映画用に取り付けられていた電飾アイテムやライトベゼルのバイザー、ホイールキャップなども取り外された。
シャシーまわりを覗いてみるとかなり錆が出ていた。それを根気よくきれいにしてから再塗装を行う。車検を受けるため特徴であった電飾アイテムは取り外されたが、外すことを前提にしていないものもあるのでここも大がかりな作業になったという。
電飾アイテムなどが取り外され、スッキリした印象になった一番星号が検査場に到着。
完璧な整備のかいあって車検場での検査は無事合格。待望のナンバーが交付された。一番星号のために新たに取得したナンバーはもちろん「1」である。
しかし、これで終わりということではない。外した電飾アイテムは再びナイトシーンを行えるよう、手直しを加えながら取り付けしなければ行けないし、ドアや箱のペイントもやり直すなど、一番星号の完全復活を目指した作業はまだまだ続いていくのだ。
<トラックカスタム・プロショップ>