「世界のアライ」が求めるタフネスさを実現した
ワーク「M・C・OレーシングタイプCS」
ワークの「M・C・OレーシングタイプCS」はハイパフォーマンスモデルのオーナーの要求に応える高性能ワンピースホイールだ。
重厚感のあるマルチピースホイールを得意とする『ワーク』だが、近年はワークエモーションシリーズから軽量な1ピースモデルのヒット作を連発。ディープコンケイブの限界に挑んだCR極やT7R、突出したリムの深さで存在感を示すD9Rなど、インパクトのあるビジュアルとスポーツ性の両立が好調なセールスを牽引している。
豊かな表現力を源泉とするワークエモーションシリーズに対し、徹底した機能美の探究によって誕生したのが「M・C・OレーシングタイプCS」。スポーツホイールでも大径感の演出などがトレンドのひとつとなっているが、「極限まで無駄を削ぎ落とすことで表現できる美しさもある」と広告企画課の山田祥平氏は訴える。
タイプCSのネーミングは「サーキットスペック」に由来し、レーシングシーン直系モデルと位置づける。
開発には「世界のアライ」として知られる日本自発のFIAチャンピオンである新井敏弘選手を開発協力ドライバーに起用。WRCをはじめとするワールドクラスのラリーシーンやスーパー耐久で培ってきた経験を生かし、初期段階から積極的にアドバイス。方向性の決定からスポークの造形まで、あらゆる工程で大きな影響力を及ぼすことになった。
その中でも新井選手が強く求めたのは、圧倒的なタフネス。過酷なラリーフィールドで安全に素早く減速し、挙動を正確にコントロールするには、高次元の強度と剛性を与え、ホイールのタワミを抑制する必要があると説いたのだ。
高強度&高剛性とコンケイプデザインを両立
こうした高い要求に応えるべく、開発チームは奮起。応力分散性に優れ、1本あたりのスポークにかかる荷重を適度に分散させることができる造形として、10本スポークデザインを導き出した。
各スポークは、高強度&高剛性を保ちながら軽量化を推進することを目的に、デザインを洗練。タテとヨコの断面積をたっぷりと確保した上で、天面は可能なかぎりシェイプアップを図り、軽快感をアピールする。
リムフランジとの接合部は「駄肉を削ぎ落としてストイックに軽量化を図る」という観点から、トレンドであるリムオーバーデザインの採用はあえて見送った。その一方で、「強度と剛性の確保には不可欠」と判断し、スポークの付け根やスポークエンドにはリブが設けられている。
フェイスはサイズに応じて、フラット(F)、ミドル(M)、ディープ(D)の3タイプを設定。特にDフェイスに至っては、大胆なコンケイブで定評のあるCR極のウルトラディープテーパーモデルと同等以上の深度と傾斜角を獲得している。
軽さ、強度、剛性、品質、安全性などの要素をハイバランス
スポークの肉付きを徹底的に排除し、センターホールからスポークエンドまでの最短距離を模索していった結果、必然的に生まれたのが深くて鋭いコンケイブフェイスだった。
同様にセンターパートも軽量化のために限界まで径を広げ、奥行きも最大限に確保。スポーツ性を極めるために導入したディープコンケイブやディープコーンが、ビジュアル的に躍動感を生み出す原動力にもなり、スポーツカーらしいルックスの構築に大きく貢献している。
なお、「ホイール全体、ひいてはメーカーの評価にもつながる」と信じて取り組んでいるのが、品質と安全性の追求だ。
これはタイプCSのみならず、ワークのホイールはハイチューンやハードユース、ハイエンドのドレスアップなど、さまざまな用途や目的で使われることを想定。過度のキャンバー設定によって、インナーリムに大きな負担がかかる可能性もあると、厳しい社内基準を設け、それをクリアするための強度テストを何度も繰り返している。
ワーク TEL06-6746-2859 http://www.work-wheels.co.jp/
(レポート:GT-Rマガジン編集部)
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