速さを求めるならマニュアル!
という認識は時代遅れ!?
スポーティに走るならやっぱりMT(マニュアル・トランスミッションミッション)! AT(オートマチック・トランスミッション)はスポーツじゃない。そう思っている人はいまだに多いはず。しかしATならではの楽しさと、走らせ方によってはMT以上に勝負もできる。速さをMTに求める時代は終わりを告げようとしている。
日本の乗用車の販売台数でAT比率が90%をオーバーし、AT限定免許の取得者も増えるいっぽうだ。
もはや「MT愛好者は絶滅危惧種」なのかもしれない。しかも、スポーティな走りや速さを求めるならMTという考えが、すでにナンセンスとされる時代に変化している。
じつは、昨今ATでサーキット走行を楽しむ人はたくさんいる。ひと昔前のような「遅いし壊れやすい」といった認識は、すでに過去の遺物となっているのだ。
それがもっとも顕著に表れているのが、NAエンジンを積んだ軽自動車によるワンメイクレース「東北660選手権」だ。
2011年にスタートしたこのレースは、初年度から「ATのモータースポーツを定着させる」との考えでATやCVTといった、いわゆる2ペダル車だけのクラスを設定していた。
当初はエントリーが少なくラップタイムでもMTの後塵を拝していたが、近年ではMTやチューニング範囲の広いクラスを含めても、上位に食い込むATの車両が当たり前のようにいる。コースによっては総合でトップ集団に入るそうだ。
まさに「ATは遅い」というのは過去の認識といえる状態だ。
ドライバーによるとATがMTより不利なのは、シフトダウンを伴うコーナーとスタートダッシュくらい。左足ブレーキなどATならではのテクニックもあり、楽しさはMTとまったく遜色ないとのこと。
もしかすると、軽自動車の多くが搭載するCVTは、アクセル全開状態ではパワーが出るエンジン回転数をキープしたまま加速できるようにコンピュータが制御。つまりMTがシフトアップした瞬間、パワーバンドを外して失速するようなこともないのだろう。
また気になるオートマチックトランスミッション(AT)の耐久性も、トラブルでリタイヤしたケースは皆無とか。よりトランスミッション負担の大きいターボ車でもテストを行なったが、ATF(ミッションオイル)の温度も含めて夏場の連続周回でも問題ないレベルだったという。
今後もATの占める割合は増加の一途をたどると予想。近い将来にはATだけのレースが開かれる日が来るかも知れない。
レースだけに限った話ではなく、小排気量車なら速く走るために積極的にATやCVTを選ぶ時代になっているのだ。
(レポート:佐藤 圭)
【関連記事】