足まわりはドイツニュルブルクリンクで走ることを想定して設定
シャシーもまた同様の世界観だ。
うねりやジャンピングスポットが存在する荒れた路面で有名なドイツ・ニュルブルクリンクを、安心して速く走らせられるように開発したというそれは、ボディのねじり剛性をベース比で1.8倍までアップ。
リアパフォーマンスロッドも与え、強さだけでなくボディの減衰力も狙っている。
サスペンションやスタビライザーなどを強化していることはもちろん、リアのコントロールアームのみをピロ化しているという。全てをピロ化すれば良いというものではないらしい。
ブレーキはフロント6POT、リア4POT。タイヤはフロント215/40R17、リア235/40R17のブリヂストン・ポテンザRE-71Rである。
走ればじつにしなやかにロールを開始。ニュートラル付近からの動き出しがとにかく素晴らしい。
インフォメーションに連続性があるとでも言えば良いだろうか? ジワリと動かすことを意識せずとも、クルマ側がうまくそう動いてくれる印象なのだ。
限界域の動きもまた同様。突然フロントやリアが限界を迎えるようなことはなく、もしもそれを飛び越しそうでも、その遥か手前からクルマが教えてくれるような印象が強い。やや安定方向すぎるセットアップにも感じたが、速度レンジの高いニュルブルクリンクに合わせたのであれば、この傾向になるのだろう。
この仕上がりは、さすがはメーカー系コンプリートカーだと思わず納得。台数限定、そして価格などが注目されがちなクルマだが、中身のある一台。名前だけでも速さだけでもない、全てが官能的な86だった。