三菱自動車をグループがどこまで支援するか?
三菱財閥を源流に持つ巨大グループとして、三菱自動車に対して救いの手を差し伸べてきたが、家紋であるスリーダイヤを3度に渡り汚した三菱自動車の犯した罪は大きい。仏の顔も三度まで。となれば解体か身売りか。
今回の事件の最大の被害者である該当車種ユーザーへの補償と優遇された税金面の問題は、多くのメディアで報じられているとおり。
だが、直近の記者会見ではじつは1990年代から燃費不正が行なわれていた事実が公表され、この問題はさらに拡大するであろう。したがって補償額はかなりの数字に達することが予想されるが、不正を行なった三菱自動車、あるいはグループとしての支払うのは義務であろう。
日産自動車も被害者の一人。
現行車種による売上計画の見直し、すでに開発がスタートしている新型車種の発売時期と販売計画の修正、新型軽自動車に投資した開発コストといった巨額の損害賠償を三菱自動車へ請求する権利が、日産自動車にはあるといえよう。
三菱自動車との提携を解消すると、日産自動車は新たな提携先を模索しなければならず、新型軽自動車の投入は大幅に遅れることになる。大きな売上の軽自動車部門が一時的ではあれ無くなることは避けたいはずだ。
だが、三菱自動車が身売りすれば、日産自動車は現行車種の売上計画の見直しだけで済むだろう。当然、新型車の開発を急ぎ、当初予定よりも早めれば痛手は少なくて済む上に、軽自動車の生産部門が手に入るのだ。
一方、三菱自動車からすればユーザー補償とは別に、日産自動車への損失補償は最小限にとどめたいはずだ。さらに軽自動車の生産拠点である水島工場の従業員とその家族の生活、さらには傘下の下請け企業の問題など、できるだけすみやかに通常の状態に戻したいと考えるだろう。日産自動車以外の売却先を模索するにしても時間はかかり、従業員や下請け企業の生活に支障をきたす。ゴーン体制下であれば一気に体質改善し、業績も回復に向かうであろう。
以上の点を踏まえれば、日産が三菱自動車を吸収することが、もっともベストな選択であるとは考える。有能な経営者であれば、ピンチを最大のチャンスに切り替えるはずである。結果、日産は水島工場の救世主となるのではないか。
(文:酒呑童子)
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