ケース剛性の高さがトレッドへの負担を増やす
対して、後述するR35GT-Rの純正タイヤは、計測2周目のタイムがニスモ純正およびMY14純正ともに約0.6秒落ちとなり、タイムアタックでの美味しい領域が少ないことがわかる。
DUNLOP SP Sport Maxx GT 600(NISMO用)
GT-R NISMOが装着するDLSP Sport Maxx GT 600の印象を谷口選手に聞くと
「さすがに日産がGT-R NISMO専用として開発しているだけに、グリップ力が高くてフィーリングも良好。ただし、ケーシング剛性が強過ぎる印象で、サーキットでは顔(トレッド面)への攻撃性が強い。ポテンシャルはあるけど、連続周回ではかなり磨耗が進行しそう。
一発のタイムを狙うことはできるけど、失敗すると次の周回でのリカバリーは難しいかもしれない。スポーツ走行などでかなり周回を重ねると、半日くらいでタイヤがなくなってしまいそう」とコメントした。
DUNLOP SP Sport Maxx GT 600(MY14用)
「NISMO用に比べると、2ランク、いや3ランクくらい差がある。サーキットではグリップ力が足りず、ドライビング中はかなり神経を使わなければならない。1コーナーのフルブレーキングでも、A08BやNISMO用に比べるとABSが介入するタイミングも早く、コーナリングでの横方向のみならず、縦方向のグリップも足りない。
とにかくアンダー/オーバーが顔を出すので、サーキット走行にはハッキリ言って不向きだと思う。街乗り専用と考えたほうがいいかも」と谷口選手。
「ニスモ純正タイヤは一発のタイムはかなりいいレベルにあるのですが、ランフラットということもあって、サイドのケーシング剛性が異様に高く、トレッド面のゴムだけでグリップを稼いでいるような印象があります。その分、グリップのタレが早く、連続でのアタックはちょっと厳しいです。
A08Bは、トレッドだけではなくサイドウォールもうまくたわませることで、タイヤ全体で仕事ができるのです。だからタレにくいし、磨耗も少ない。一発はもちろん、安定してラップタイムを揃える」と総評する。
タイムだけですべては語れないが、A08Bのタレと磨耗の少なさは、サーキットでR35の走りを楽しみたいというオーナーにとって、非常に興味をそそられるメリットといっていいだろう。
横浜ゴム http://yokohamatire.jp/yrc/japan/index.html
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