若き21歳の女の子が彗星のように登場
ドレスアップ・イベントでMVPを獲得
「若者のクルマ離れ」などという巷に溢れるネガティブな言葉を一瞬で吹き飛ばす、気合いに満ちた21歳の女性オーナー。1年足らずで完成させたトヨタ18系クラウン(ゼロクラウン)は、外装はもちろん内装&オーディオまでスキのない仕上がり。維持費やパーツ代にお金がかかるジャンルだが、強い決意を胸に秘めてまだまだ上を目指す意向だ。
2015年8月に開催されたドレスアップイベント、トゥルー杯クイーンカップ2015。女性オーナーだけのイベントという珍しさが話題となり、全国各地からハイレベルなクルマたちが参戦。上位入賞者を見ると雑誌でおなじみの顔ぶれが多い中で、まだあまり世に知られていない1台の18系クラウンがMVPに輝いた。
オーナーの久美サンは弱冠21歳。その初々しさとは対照的に、クルマを見ると外装をきっちり仕上げているだけでなく、内装&オーディオもこれ以上手の施しようがないほど完成された状態。特にオーディオは、トランクだけでなくリアシートまで取っ払って作り込むという凄まじさ。
すでにベテランの貫録を漂わせる1台だが、製作期間はわずか7ヶ月。そのデビュー戦として選んだのがトゥルー杯。トータルバランスの高さはもちろん、新鮮さも素晴らしい評価に繋がったことは間違いない。
ただ最近の経済事情を考えると、若いオーナーたちはドレスアップ費用までお金が回らないのが現状。しかも若い女性であればオシャレもしたいし、美味しいものも食べたい。クルマ以外にもお金を使いたいお年頃だろう。それでも彼女が、クルマに全力を注ぐ理由とは一体何か。
「女性のセダン乗りの中で、5本の指に入るレベルのクルマを目指したい。そしてセダン業界を盛り上げて、若い女性オーナーさんがもっと増えて欲しいと願っているんです」。
――なるほど。久美サンのように高い志を持つ女子がいれば、きっとセダン界の未来は明るいだろう。
誰よりも高く掲げた目標を叶えるため
妥協を一切許さずに仕上げた至高の1台
高校生の頃から地元のナイトミーティングに行き、カッコいいセダンを見てきた。
また5歳上の姉は、セルシオをドレスアップしていた。久美サンがセダンの魅力に惹かれたのは、当時の経験や環境が大きい。
18系クラウンも、クルマの免許を取る前からずっとほしかった一台だった。
「角張った17系とは違い、今までのクラウンにはなかった丸みのあるスタイリングに一目惚れしました」。
外装はクラウンらしさを残しつつ、ユーロかつスポーティなテイストを加えて威圧感を向上。少々シンプル寄りのKブレイク・コンプリート零式のエアロは、開口部のフィンと丸フォグを撤去。リアバンパー脇には鋭いダクトを刻み、疾走感を強めた。そしてパールやメタリックは一切加えていない、オリジナルグレーでオールペンしてスパルタンに演出。
「この色は、欧州車のような上品さと躍動感を表現したくて作りました。大好きなピンクと迷いましたが(笑)、こっちにして正解だと思います」。
渋さ全開の外装とは対照的に、車内は鮮やかな赤をメインカラーに採用。理想的な色合いとシボを持つレザーを取り寄せ、徹底的に張り替えている。パネルはシルバーで塗装して、クールなムードも漂わせる。
リアシートを外して作り込んだ、オーディオシステムも必見。フルロックフォードによる鳴りの良さはもちろん、アクリル+LEDを多用して見応えも十分な仕上がり。特に中央に設置したはしご状のアクリルメイクは、絶対被らない自信あり。
「若い女性オーナーを増やすために頑張りたい」。
車内のオーディオより先に完成させたトランクも、サウンドとビジュアルを高次元で両立させている。
「外装をリメイク中に、一気にやったら目立つと思ってトランクオーディオも同時に作り始めたんです」。
トランクリッドの裏も抜かりなし。アクリルで製作したロックフォードのロゴプレート、乳白のアクリルとメッシュを組み合わせたスパルタンなアレンジは視覚的効果も高い。カーオーディオイベントの名門「ACG」で上位入賞を手にしたのも納得だ。
ここまで作り込んでいる1台だが、来年以降も攻め続けるために、あえて手を加える余地を残している。
「次はライトやグリル、ボンネットなどを加工する予定。今とは違った姿をお披露目できると思います」。
A型・射手座・VIP歴2年
内装の満足度は100点。「リアシートはないし荷物も積めないけど、乗っていて楽しいですね」。「まだ90点」という外装の進化にも期待大。
(VIPスタイル編集部)