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HKSが『電動スーパーチャージャー』を発表!

ターボとの組み合わせでツインチャージ
スーパーチャージャーで高回転域もカバー

5月25日~27日に神奈川県のパシフィコ横浜で開催されていた「人とクルマのテクノロジー展2016横浜」にチューニングパーツメーカーとしてお馴染みのHKSが出展。
そこでいちばん目立つところに展示されていたのが『電動スーパーチャージャー』であった。これは新たなチューニングパーツなのか?

ユニット奥側にあるのはインバーター。その中心部にあるモーターでタービンの軸を回転させる。試作品のインバーターは少し大きめだが、さらに小型化することもできるようだ

「HKS」といえば『ターボのHKS』というくらい過給器のイメージが強いチューニングパーツメーカー。現在は、ターボはもちろん『GTスーパーチャージャー』というボルトオンスーパーチャージャーキットを販売している。
それだけに電動スーパーチャージャーは「次世代モデルか?」と思うところだし、同時に展示されていたシステム参考図にはターボと組み合わせた「ツインチャージャー」仕様が描かれている。

ツインチャージャーといえば、WRCグループB時代のランチア・デルタS4や日産マーチ・スーパーターボが搭載していたマニア受けするメカニズム。
そのツインチャージャー仕様がHKSによって電動スーパーチャージャー+ターボという新しいカタチで登場したのは、当時を知るオジさん世代には胸アツなことだと思う。

ところが、展示されていたイベントはチューニング、カスタム系ではなく自動車産業界向けの技術展覧会である。そもそも、このイベントになぜHKSが出ているのか? ということに疑問を持つ人もいるだろう。

自動運転などこれからのクルマに搭載される技術なども公開される「人とクルマのテクノロジー展」 主にクルマ産業界向けの内容なので展示物自体も専門的なものが多いが、開期中は一般の人も大勢訪れたという

実は、今のHKSは従来のアフターパーツ部門のほかに、自動車メーカーなどに技術や製品を納入するサプライヤーという顔を持っていて、このイベントは「そちらのHKS」として出展していたのだ。

さて、HKSが展示していた『電動スーパーチャージャー』は、コンプレッサーホイールやハウジングは自社で設計、製作しているという。
これらのパーツの設計、製造には高い技術レベルと高性能な加工機材が必要で、製造できる企業は多くない。ところが今の「HKS」はチューニングパーツだけを販売していた時代とは違い、こういったパーツ製作を行うための技術者や、製造に必要な高度な機材も揃えるハイテクな会社になっていたのだ。

すでに同じような電動式スーパーチャージャーは存在するが、HKS製で注目したいのが使用電圧だ。
他メーカーは、モーターを駆動する電圧を48Vとしているが、HKS製は12V。つまり、乗用車でも電気を昇圧しないで使用できるわけだ。さらに、電動式ゆえスーパーチャージャーの装着位置は電源が採れれば、どこでも良いわけだ。

アルミ素材から自社工場で削り出した試作インペラー。コレは例えば潜水艦のスクリューと同じ3次元形状だけに、輸出規制の対象になるような特殊な機材を使わないとこれは作れない

パーツサプライヤーの世界も経験することで、アフターパーツにおいての考え方が大きく変わったという。チューニングパーツはクルマのパフォーマンスを高めるためのものだが、それに加えて品質の高さ、信頼性などがこれまでよりもグンと高いレベルで考えられるようになったということだ。このHKSの変化はチューニングの進化のひとつのカタチともいでえるだろう。

これがHKSの新しい動きだ。
まあ、難しいことは置いといて、この電動スーパーチャージャーは、まだ試作段階だという。
もちろん、このイベントに出展しているということは、パーツサプライヤーとして供給を目的としているのだろうが、電動スーパーチャージャーの特性を聞くほどにチューニングパーツとしての資質の高さを感じる。

というのは、電動スーパーチャージャーはモーター駆動ゆえ、稼働させる領域は任意で設定できる。
従来のツインチャージャーのようにスーパーチャージャーがターボが苦手とする低回転だけを補うのではなく、ターボのブーストがタレる高回転域の伸びを引き上げるためにも使うこともできる。
作動する領域を細かく制御すれば、パワーの谷間となる回転域を補える。
ぜひともチューニングパーツとしても登場してほしい技術である。

HKS http://www.hks-global.com/

(レポート&撮影:深田昌之)

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