30系セルシオの頂点を狙うために
2年間の充電期間を経て活動を再開
トヨタ・セルシオの後継モデルとなるレクサスLSがVIP業界を賑わせている昨今。
だが30セルシオは、永遠の現行車。カッコ良さは今も色褪せない。
2016年のVIPスタイル1月号の表紙を飾ったのはトヨタ30系セルシオ。
そのオーナーである中森クンも、30系を愛する一人だ。「てっぺんを獲る」という強い決意を胸に秘め、これからも「相棒」と共に歩み続ける。
VIPセダン創成期の1990年代初めから、トヨタ・セルシオは数あるベース車の中でも別格な存在であった。
初代の10系から常に羨望の眼差しを浴びていた一台であり、その地位は最終型の30後期まで全く崩れることはなく、長きに渡りセダンの「顔」として君臨し続けてきた。
今後「セルシオ」の名を冠した新型セダンは出ないにせよ、これから先もセルシオはセダン界の「絶対王者」であるべきだと思う。
それは筆者の切なる願いであるが、きっと多くの読者もそう思っているに違いない。中森クンはこれまでトヨタ14系マジェスタと日産32系グロリアに乗ってきたが、やはりセルシオには強い憧れを抱いていた。
「僕にとってセルシオは、トヨタのキングオブセダン。将棋で例えるなら、まさに『王将』だと思う。特に30系はスタイルが斬新で、今までにない上品な雰囲気を感じました」。
一時期はワゴンに走っていたが、彼を再びセダンに戻りたいと想わせた1台が、何を隠そう30セルシオだった。クルマを買う前から、すでに「30系をブリスターにしたい」という構想が頭に浮かんでいたという。
「30系は激戦区だと分かっていましたが、一度は乗りたかったクルマ。だからライバルが多いクルマで、てっぺんを獲ろうと決めたんです」。
前期を買ってすぐに後期化し、夢に描いていたブリスターを製作して2012年の大阪オートメッセで披露。内装&オーディオも作り込み、完成度を高めていた。
そして約2年の充電期間を経て、今年再デビュー。中森30セルシオの第二章が始まった。
トヨタが生んだ史上最高傑作のセダン
セルシオだからこそ芽生えた熱き挑戦心
イベントに出たい気持ちを我慢して、約2年間クルマを休んでいたのは理由があった。それは自分のセルシオを客観的に見て、「この仕様ではあかん」と思ったから。
誰もが振り返り、そして自分自身も納得がいく仕様を作るために、次なる仕様の構想をずっと練り続けていたのだ。しかも、妻の由美子サンと一緒に。
「嫁は絵心があり、僕が考えたネタをイラストにしてくれた。もう何度も描き直してもらい、やっとできたのが今の仕様。言わば、嫁と二人三脚で作り上げたようなものです」。
最新仕様のキーワードは、「サイバー」。
他のクルマと被らない、斬新かつ近未来感漂うスタイルを目指した。
ワンオフで作ったエアロは、随所にエッジを効かせて威圧感を向上。フロントは開口を大きく広げ、両脇にはダクトを追加。このダクトは、中森クンも非常に気に入っている。
「風を抜くイメージで作る人が多いですが、僕は逆に風を取り込むような感じで手前側に開けました」。
また、今回はダクトの数を大幅に増やしたのもポイント。エアロだけでなく、フェンダーやボンネットにまで切り刻む。フィンの数も増やして統一感を持たせているが、そのフィンはシルバーでペイントした。
「シルバーで塗れば、サイバーちっくな雰囲気が出る。青いボディカラーにも良く似合うと思いました」。
ただ、一発で理想のカタチに到達したブリスターは今回触っていない。
ポルシェ911をモチーフに、F5cm・R10cmとかなり大きく出す。
「ボン・キュッ・ボンって感じの、グラマラスなボディが自慢です」。
「時代に流されず、このセルシオで戦い続けたい」。
内装はアストンマーチンをイメージして、メインカラーに赤を採用。上質なレザーとアルカンターラで張り替え、さらにLEDを多用して高級ブティックのような華やかさもプラスしている。
シートは純正パターンを崩さないように張り替え、アクセント的に赤のアルカンターラをあしらう。ステアリングもエアバッグを含めて張り替え
「ヴィトンと言ったら誰もが認め、誰もが憧れるブランド。僕自身もそういう存在になりたいんです」。
トランクの裏に綴った「キングオブセルシオ」の文字にも、オーナーの強い向上心が込められている。
「僕にとって相棒的存在のセルシオと、ずっと戦い続けたい。自分のやる気を高めるために入れました」。
兵庫県 中森 康憲
AB型・獅子座・VIP歴13年
「現行車に負けず、セルシオで頑張ります」と中森クン。彼が代表を務める30系限定ユニット、「30マスターズもよろしくお願いします!」。
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