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安価な「ブースターケーブル」ではエンジンを始動できない

ブースターケーブルの使い方と選び方
知らないと役立たないことも……

メンテナンスフリー化が進む最近のクルマでも、バッテリー上がり(過放電)は一番身近なトラブル。
JAFのロードサービス救援依頼理由でも、ダントツNo.1で、去年も全国で73万5326件も出動している。

バッテリーが上がったときは、ブースターケーブルさえ持っていれば、JAFなどを頼らなくてもエンジンを再始動できる。ドライバー必携のツールといえるだろう。

ただし、ブースターケーブルは、接続の順序が決まっているのはもちろん、ケーブルの種類によってはエンジンを再始動できないことがある。

ブースターケーブルの接続手順
トラブル車のプラス端子からつなぐ

  1. 救援車をブースターケーブルの届くところまで近づけて、エンジンを切る。
  2. 両車のボンネットを開け、トラブル車のバッテリーのプラス端子に、赤色のブースターケーブルのクリップを挟む
  3. 赤いブースターケーブルのもう片方のクリップを、救援車のバッテリーのプラス端子につなぐ。
  4. 黒いブースターケーブルのクリップで、救援車のマイナス端子を挟む。
  5. トラブル車のエンジンの吊上げフック等(エンジン本体の未塗装の金属部ならOK 写真参照)に、黒のブースターケーブルをつなげる。
  6. 救援車のエンジンを始動し、アクセルを軽く踏んで2000~3000回転を約1分キープ。
  7. トラブル車のスターターを回して再始動。
  8. エンジンがかかったら、ブースターケーブルを取り付けと逆の順序で取り外す(これも重要)

通常は、これでめでたしめでたしとなるのだが、稀にブースターケーブルを正しくつないだのに、トラブル車のスターターが元気よく回らず、再始動できないことがある。

ブースターケーブルの容量不足で
接続しても再始動できない!

ブースターケーブルは、製品によって許容電流が決まっている。
ホームセンターなどで売っている安価なものは、だいたい50Aぐらい。
ただし、これはバイク用かギリギリ軽自動車サイズまでと覚えていただきたい。

この50A程度のブースターケーブルをつないで、2L以上の普通車やミニバン、SUVなどをジャンピングスタートしようとすると、許容量以上の電流がブースターケーブルに流れ、コードが発熱。
最悪の場合、発火することもある。
例え発火しなくても、コードが熱くなるだけで、トラブル車のエンジンは再始動してくれない……。

というわけで、万が一に備えて、ブースターケーブルを購入するなら、軽自動車でも80Aクラスのケーブル。普通車やミニバンなら、100Aもしくは120Aのケーブルを選ぶこと。
120Aのケーブルの価格は、インターネットで3000〜5000円。

長さもできれば5mぐらいは欲しいし、電線も太い方が電流が流れやすくて安心。
いざというときに備えるのなら、頼りになるブースターケーブルを持っていないと意味がない。

また、ブースターケーブルも経年劣化でクリップ部にガタが出たり、被膜の破損やケーブルが断線することがある。
トランクに入れっぱなしにせずに、ときどき点検して、劣化しているようなら早め早めに交換してほしい。
万一のバッテリーあがりをしたとき、ケーブルの劣化で違うトラブルを引き起こさないためにも。

最近は、リチウムバッテリーを使った、コンパクトなポータブルバッテリーチャージャーなども、1万円前後から登場していて便利。
スマートフォンの充電器としても使用できるので便利だが、日頃から充電状況を確認しておく必要はある。

 

最後にもう一度ブースターケーブルの接続についてのポイントを整理しておく。

・ブースターケーブルのつなぎ方・外し方には順序がある。

取り付けは「赤・赤(+端子)→黒・黒(-端子)」の順。
トラブル車のプラスからつないで、トラブル車のマイナスで終わる。
※12Vのクルマは救援車も12V車。乗用車とトラックなどは24V車の接続は不可。

・トラブル車への黒いクリップの接続は、エンジンブロック(吊り上げフック等)につなぐ
救援車の方がトラブル車より電圧が高いので、トラブル車にマイナスをつないだときに火花が出ることがある。バッテリーからは微量の水素ガスが出ているので、引火しないようにするためだ。

・ブースターケーブルは許容電流が低いと役立たない(太くて長いものを選ぶ)

・ブースターケーブルは、必携ツールだが消耗品

今一度バッテリーのチェックとブースターケーブルの備えをして、秋の行楽シーズンを満喫してほしい。

(レポート:藤田竜太)

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