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2つのショップの情熱と尊敬が作り上げた「200系クラウン」

創り上げた愛車が事故で全損!
一度は諦めたVIPにカムバック

ドレスアップカーはオーナーとプロショップが一致団結し、総力を挙げて製作される。
基本的にはひとつのショップが最後まで面倒を見るものだが、そこにもうひとつのショップが製作に携わった。オーナー×KCスタイル×ゴマガレージ。このスペシャル過ぎるタッグが実現したその裏には、ものすごく深い物語があった。

鍛え抜いた金属の如く、鈍色の輝きを放つ中村サンのトヨタ200系クラウン。
ひと目見ただけで、細部まで妥協なく作り込まれていることが分かるだろう。
VIPスタイル誌の表紙(2016年7月号)を飾るクルマとして選ばれたのは、完成度の高さだけではない。
TVの2時間枠でも収まり切らないであろう、完成するまでの壮絶なドラマがあったからである。

妻がフーガを購入し夫より先にVIPへカムバック

中村サンはもともと、ホンダKA9系レジェンドをドレスアップしていた。
もっと進化させたいと思ったその矢先、トラックに突っ込まれて廃車に。
4年かけて作り込んだ愛車との別れの悲しみは、周りの想像以上に大きく、
「別のクルマに乗り換えてイジっても何かきりがないし、もう辞めようかな……って思ったんです」。

だから、しばらくイベントから遠ざかっていた。
その後はレクサスLSを買ったが性に合わず1年で手放し、新たに手に入れたのがこの200系クラウン。
当初はノーマルで乗るつもりだったが、ある日妻の美咲サンがこう言った。
「クラウンは何もイジらないの? もうVIPはやらないの?」。

心残りがあった。実は美咲サンもレジェンドをイジり、夫婦で仲良くイベントに参加していたのである。
しかし、中村サンがイベントから離れた時、「1台では行きたくない」と、彼女もクルマを手放してしまったのだ。
「自分の勝手なことで嫁サンの趣味まで奪った感じがして、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました」。

ところが、美咲サンはクルマへの想いを捨て切れず、KCスタイル古川サンの妻・めぐみサンの日産50系フーガを譲り受け、再びVIP道を歩み始めた。

「あの200クラウンには負けたくない」
そう思っていたライバルが強い味方に

妻の美咲サンのフーガに相乗りして、再びイベントに行き始めた中村サン。
だが彼女としては、レジェンドの時のように2台でイベント会場に並べることに意味があると考えていた。
「嫁サンの気持ちに応えたくて、200クラウンを作ってもう一度2台でエントリーしようと思ったんです」。

エアロのベースはすべてブレーン。これは古川サンが持っていたものを譲り受けた。フロントは古川サンの提案で、Vヴィジョンのトヨタ20系ヴェルファイア用をニコイチ。大きな開口部で威嚇する

そこでフーガを購入するなど、昔から付き合いがあったKCスタイルの門を叩く。
オーナーの熱い想いを聞き、代表の古川サンは最高の1台を作ろうと決意した。
「僕も昔200系に乗っていたのですが、あの時にできなかったことをすべて注ぎ込もうと思いました」。

そして仕様変更の打ち合わせをしていた時に出た中村サンのひと言が、この仕様を作る上でのカギとなる。「気合いを入れてイジるからには、沼津ナンバーの200クラウンには絶対に負けたくないんですよね」。
そのクラウンとは、かつてVIPスタイル誌の表紙に選ばれたゴマガレージ小澤サンの愛車である。

KC-STYLE代表 古川 慶(左)
自然なニコイチをはじめ、緻密なボディ加工で九州を盛り上げる。「作っている間はワクワクが止まらなかった。中村サンには長く頑張ってもらいたいですね」。
中村 孝晃 表紙を飾った200系クラウンのオーナー
ゴマガレージ代表 小澤 亮(中)
板金屋勤務を経て独立し、ゴマガレージを設立。美しいブリスター作りに定評がある。「僕と古川サンの想いを詰め込んだクラウンなので、活躍して欲しいです」。
中村 孝晃(右)200系クラウンのオーナー

自分の作品に憧れてくれたショップへ
ブリスターフェンダーの作成を依頼

ここからが驚きの話なのだが、実は中村サンのブリスターフェンダーは小澤サンが製作した。
KCスタイルだってブリスターを作れる技術は十分過ぎるほどある。
それでも、わざわざ静岡県のゴマガレージに「外注」を依頼したのは、なんとKCスタイルの古川サンの考案だった。
「ゴマガレージの小澤クンが、僕のクラウンを見てフェンダーを作ったというVIPスタイルの記事を読みました。当時会ったことがなかった僕の名を小澤クンが挙げてくれたことが嬉しかった。その後、小澤クンと初めて会った時、『いつかコラボしよう!』と約束したんです」と古川サン。

リアはブレーン+エイムゲイン純VIP GTのレクサス19系GS用。完成度が高いディフューザーと、両脇のフィンがツボだった。今までにない洗練されたデザインのバックフォグは、古川サンが探してきてくれた逸品

「エンジンを乗せ換えて  でも乗り続けたい宝物」。

ブリスターフェンダーを作って欲しい。そう古川サンに言われた時、ゴマガレージの小澤サンは本当に嬉しかったというが、プレッシャーはなかったのだろうか。
「経験豊富なショップの方を、満足させるものを作らないといけない。逆にやり甲斐を感じましたね」と小澤サン。

KCスタイルの古川サンは何回も静岡県のゴマガレージに足を運び、実車を前に小澤サンと話し合いながらアーチの上げ幅やラインを煮詰めた。
結果的に良い意味でどちらのショップっぽくない、新たなカタチが生まれたことは大きな収穫だった。

そしてフェンダー以外はKCスタイル古川サンが手腕を発揮。
得意のニコイチで獰猛な雰囲気を与え、200系クラウンオーナー時代に買って持っていたパーツもフル活用。そしてボディはブラッシュド調フィルムでラッピング。まさに三位一体の力で生まれ変わった姿を見て、オーナーも大感激。
「このクラウンと嫁サンのフーガは大事な宝物。もしエンジンが壊れても、載せ換えてずっと乗り続けたいです」と中村サンは語る。

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