並み居る強豪VIPセダンに立ち向かう
闘志に満ちたミドルサイズの異端児
VIPというジャンルにおいては、レクサスやトヨタ、日産の大型セダンがスターティングメンバー。ただミドルなどの稀少なセダンも、この業界を陰で支えていることを忘れてはならない。
ボディサイズの小ささを気にせず、イベント総合部門の常連たちと対等に戦う最強の「異端」といえるのが、辻クンのトヨタ100系チェイサーである。
イベントに参加するユーザーの多くは、立派なトロフィーを手にするために全力でドレスアップしている。イベントの最高峰と言える「総合部門」の栄誉を勝ち取ったクルマを見てみると、トヨタ・クラウンやレクサスLS、日産シーマなどの大型セダンがズラリ。
そんな強豪揃いの中で、ミドルクラスの100系チェイサーで何度も総合入りを果たしているのが、山形アピアランスの辻クン。
小さなボディで大柄なセダンたちに挑む姿は、例えるとするならばかつて大相撲で活躍した舞の海。小兵ながらも多彩な技で重量級の力士を倒す、大きな歓声が沸き上がる一戦を見ているかのようだ。
「確かにチェイサーはボディが小さいです。でもやることさえキッチリとやっていたら、たとえライバルが大きなセダンであろうと同じ土俵に立てると思う。チェイサーであっても、負ける気は全くしないですね」と辻クン。
そう、彼は根っからの負けず嫌い。しかも100系チェイサーに乗り始めたことで、その負けん気の強さが急加速。
イベントに出始めた頃は大きなセダンたちに注目が集まるが、いくら頑張っても坊主。
そればかりか「チェイサーでVIPやってるの?」と、小馬鹿にされたこともあった。
「でも僕は、チェイサーでも勝てる自信があった。誰にも負けたくない一心で、ここまで進化させました」と辻クンは当時を振り返る。
外装を何回も作り替え、内装も張り替えてオーディオも製作。13年かけて熟成させたチェイサーは、今や総合に絡むのも納得できる1台に成長。彼の活躍は、多くの異端なユーザーたちに勇気を与えたに違いない。