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Lサイズセダンが主流のVIPカーに100系チェイサーで挑戦

並み居る強豪VIPセダンに立ち向かう
闘志に満ちたミドルサイズの異端児

VIPというジャンルにおいては、レクサスやトヨタ、日産の大型セダンがスターティングメンバー。ただミドルなどの稀少なセダンも、この業界を陰で支えていることを忘れてはならない。
ボディサイズの小ささを気にせず、イベント総合部門の常連たちと対等に戦う最強の「異端」といえるのが、辻クンのトヨタ100系チェイサーである。

イベントに参加するユーザーの多くは、立派なトロフィーを手にするために全力でドレスアップしている。イベントの最高峰と言える「総合部門」の栄誉を勝ち取ったクルマを見てみると、トヨタ・クラウンやレクサスLS、日産シーマなどの大型セダンがズラリ。

ルーフに描かれた蛇のエアブラシ。「龍ではなく、邪道っぽい蛇にしました」。王道ではなく、ある意味邪道な車種を選んだ彼らしいチョイスと言える

そんな強豪揃いの中で、ミドルクラスの100系チェイサーで何度も総合入りを果たしているのが、山形アピアランスの辻クン。
小さなボディで大柄なセダンたちに挑む姿は、例えるとするならばかつて大相撲で活躍した舞の海。小兵ながらも多彩な技で重量級の力士を倒す、大きな歓声が沸き上がる一戦を見ているかのようだ。

フロントはエリアマックス+モードパルファム16アリスト用。フォグはインナーが黒い純正ライトとマッチする、BMW用を移植

「確かにチェイサーはボディが小さいです。でもやることさえキッチリとやっていたら、たとえライバルが大きなセダンであろうと同じ土俵に立てると思う。チェイサーであっても、負ける気は全くしないですね」と辻クン。

そう、彼は根っからの負けず嫌い。しかも100系チェイサーに乗り始めたことで、その負けん気の強さが急加速。
イベントに出始めた頃は大きなセダンたちに注目が集まるが、いくら頑張っても坊主。
そればかりか「チェイサーでVIPやってるの?」と、小馬鹿にされたこともあった。
「でも僕は、チェイサーでも勝てる自信があった。誰にも負けたくない一心で、ここまで進化させました」と辻クンは当時を振り返る。

リアドアにスピーカーを投入。「狭いスペースにコアキシャルを2発入れたのが自慢です」。シートも赤レザーで張り替え。ダッシュにはお世話になったショップのロゴを入れる

外装を何回も作り替え、内装も張り替えてオーディオも製作。13年かけて熟成させたチェイサーは、今や総合に絡むのも納得できる1台に成長。彼の活躍は、多くの異端なユーザーたちに勇気を与えたに違いない。

王道ではない車種で王者を目指したい
負けず嫌いな男が作り上げた珠玉の1台

続いて辻100系チェイサーの最新仕様を詳しくチェック。特に見てほしいのが、ワンオフのブリスター+オーバーフェンダーだ。
所属チームの象徴ともいえる以前のクッキリしたオバフェンも気に入っていたが、今回は「ツライチ」を極めたかった。

「以前はツラウチでしたが、今のVIPやスタンス系はシビアなツライチが流行っています。VIPというジャンルに限らずどこのイベントに行っても勝つためには、ツライチの方が注目が集まると思いました」。

モードパルファム50シーマ用のカーボン製ボンネットダクトを移植。「最近は増えていますが、ボンネットにもカーボンの質感が欲しかったので入れました」

純正のプレスラインを起点としたクッキリとしたブリスターラインは、昔のVIPを彷彿とさせる。
しかし今風を狙って、デザイン性も追求。フロントは後方を尖らせてドアにかけ、リアはブリスターのラインを下から上にシュッと立ち上げて後ろに伸ばした躍動感のあるディテール。
この独創的なデザインをカタチにするため、純正のサイドモールを取っ払ってキレイにスムージングしている。

「前・後ろだけでなく、真横から見てもカッコいいブリスターが理想。ラインが途切れないように、給油口をツラにしたのもこだわりです」。
オーバーフェンダーは前仕様と同じく、クッキリとしたアーチを形成。
スソは途中で絞らずに下まで伸ばし、ミドルとは感じさせないワイドボディへと進化した。
さらにホイールはエクイップE05に履き替え、サイズもそれぞれ0.5Jアップ。ディープなリムと紙一重のツラを手に入れた。

リアもファイナルコネクション+モードパルファム17クラウン用のニコイチ仕様。ワンオフのカナードも追加してレーシーに振った

「Tガレージの高橋サンは妥協を許さない人。フロントフェンダーが気に入らず、僕がお店に行ったら勝手にそれを壊して作り直してしまうほど。逆に僕のわがままにも付き合ってくれて、2人のこだわりを共有しながら製作した自慢の逸品です」。

「やることさえやれば、小さくても同じ土俵に立てる」

フェンダーと一緒に、何と5回目になるというオールペンも実施。以前のイエローも大好きだったが、変わった感を出すために昔から塗ってみたかった赤系をチョイス。
ベースとなる色はBMWのサキールオレンジで、明るく調合し直して光の加減で赤とオレンジの2色に変化する。

「目立ち過ぎて街乗りはできないですが(笑)、前の仕様と比べるとオシャレな雰囲気が出たと思います」。

さらに内装もマイナーチェンジ。アルカンターラだった部分をレザーに張り直し、パネルはグラデ塗装に変更。赤だったドアトリムも黒のパンチング生地で張り替え、「追撃車」と記した刺しゅうで遊び心を注入。
「もともと『追撃者』という意味を持つ、車名と引っかけてみました」。

交通タイムス社 https://www.kotsu-times.jp/

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