ドライブシャフトが斜めれば
ブーツは常に歪んで劣化が進行
車高を下げるとカッコイイ。しかし、自動車メーカーが想定する以上にシャコタンにすると、ドライブシャフト(ドラシャ)の角度付く。その状態では、ブーツは常に負荷が掛かった状態で走行することになり通常よりヘタり(劣化)が進行する。
もし、ドラシャのブーツが切れて中のグリスが抜けきって、内部のベアリングが異常摩耗すると最悪の場合走行不能になることも。ぜひ日頃の点検と早めの交換をオススメします。
ドライブシャフトブーツとは?
エンジンからデフ。デフからタイヤへと動力を伝えるのが「ドライブシャフト」だ。
ここは、サスペンションがストロークして角度が変化しても、シャフトの回転が伝えられるように、両端はユニバーサルジョイントになっている。
ジョイント部のベアリングを潤滑するグリースの飛散を防ぎ、外部のホコリや砂、水分などからベアリングを守るために、ダストブーツがついていて、これをドライブシャフトブーツという。
FFと4WDのフロントのアウター側(タイヤ側)のドライブシャフトブーツは、サスのストロークによる角度の変化だけでなく、ハンドルを切ったときも伸び縮みするので、だいたい4~5万km(5年)ほどで劣化し、亀裂が入ったり破れたりして、交換を余儀なくされる。
もし、極端に車高を下げたりキャンバーを付けたりすると、ドライブシャフトブーツは常に捻れた状態になっているから、その分負荷はたかくなるわけだ。
ブーツ本体の部品代は高くないが・・・・・・
ブーツ本体の部品代自体は4000円前後と高くはないが、構造上、ドライブシャフトを一度引き抜かないとブーツが交換できないので、工賃が高い(1か所およそ2万円)のが難点だった。
しかし、車検でいえば2回に1度ぐらいのスパンで交換が必要になる消耗品にしては工賃が高いということで、ドライブシャフトの脱着を必要としない分割式ドライブシャフトブーツが考案され、だいぶコストが抑えられるようになった。
じつのところ、この分割式のドライブシャフトブーツは、初期の頃、接着部からグリースが洩れやすいと耐久性がいまひとつで、評判がよくない時期があった。
ところが、最近はクオリティが向上。PITWORKなど日産純正の補修部品にも、この分割式のドライブシャフトブーツがラインナップされるほど信頼性が増している。
品質が良くなった理由は、主に3つ。
- ブーツの材質がゴムから樹脂になった。樹脂はゴムよりも、材質の劣化も少なく、曲げやねじれに強いので、これで耐久性が大幅にアップ。
- 接着方法が進化。初期製品はゴムのブーツは接着剤でつなぎ合わすタイプだったが、新しい製品は樹脂製で「溶着」(一部を溶かしてくっつけることで、より強固に接合させる)するので万全に。
- 接合部の形状を改善。接合部を面ではなく、噛み合わせるような形状にし、しっかりと張り合わせられる。
業界大手の大野ゴムの分割式ドライブシャフトブーツには、3年または30,000kmを保証が付くほどで、いまや分割式ブーツの信頼性は、非分割式に見劣りしないといってもいい。
分割式のドライブシャフトブーツの部品代は、グリースや溶着剤などもセットで7000円前後。
部品代は非分割式より高めだが、工賃は1カ所6000~7000円と非分割式の半分以下だ。
メカに詳しい人ならDIYでも交換可能になったほどだ。
ドライブシャフトブーツの破れを放置しておくとグリースが飛び散るだけでなく、ダストや水分でベアリングが異常摩耗を起こすことも。そのようになったらドライブシャフトごと交換(リビルト品がおすすめ)が必要になり、修理コストはグッと高くなる。
ドライブシャフトのブーツ切れは、早期発見、早期交換が重要なのだ。
チェックは、リフトアップしなくてもハンドルを切ればブーツの状態が見える。
タイヤの空気圧を点検する際、ホイールやタイヤハウスの内部の汚れなどをちょっとチェックする習慣があれば、ブーツ切れを早く気付けるはず。
もし、ベタベタなグリースが付着していたらブーツ切れと思って間違いないだろう。
いずれにせよ定期交換部品なので、『転ばぬ先の杖』ではないが、大出費にならないように早めの交換をオススメする。
(レポート:藤田竜太)
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