前回のオーバーホールから27万km
46万km走行したエンジンが姿を現す
46万km走行したR32スカイラインGT-R。一度もエンジンもミッションも換装することなく、新車当時からのユニットを使い続けている。これは、まさに事件とも、奇跡ともいえる事実だ。
そのような46万km走行のR32GT-Rが、ついにエンジンのオーバーホールを行うことに。
果たして、エンジンはどのような状況なのだろうか?
ボディ下は、まるでオイルコーティングされているかのように、各部から漏れたオイルがベッタリと付着。
もしかすると、エンジンは惨状と呼ぶような状態かもしれない。
平成3年に浅田さんと無類のドライブ好きが新車で購入。それから25年間で46万7000kmを走行している。
この個体より距離を重ねたR32GT-Rは存在するが、それらはほぼパワーユニットを換装している。
ところが、文頭にも書いたように、エンジンもミッションも新車時のユニットを使い続けている。
エンジンを開けたのは、走行19万kmのときに東京都(現・神奈川県)のニスモ大森ファクトリーでオーバーホールを1度だけしているだ。
(これらの詳細は→46万kmスカイラインGT-Rオーバーホール【BNR32不定期連載1】)
ボディから切り離されたエンジンは、フロントまわりからは大きなオイル漏れは発生していなかった。
では、いったいどこからフロアをオイルまみれにしてしまうほど漏れているのだろうか?
オイル漏れの原因は定番の三日月シール切れ
フロア下を汚していたのは他にも理由があった
R32GT-Rが搭載するRB26DETT型2.6リットル直6ツインターボエンジンは、エンジン後ろ側のカムカバーとヘッドの間にある通称三日月シールが劣化してオイル漏れの原因となる例が多い(矢印部分)。
パッキンが切れる原因は、経年劣化もあるが熱劣化も否めない。オーバーホールから10万kmくらい走行した個体でも漏れていることは多々あるのだ。
そう考えれば、19万kmで行った前回のオーバーホールから27万kmも走行してるのだから、仕方がないことと言えるだろう。
浅田さんのRB26DETTエンジンも、その例に漏れずエンジン背面をオイルまみれになっている。
オイルはエンジン背面を伝わって、ミッションミッションとの接続部までオイルまみれになっている。
確かに三日月シールから漏れているオイルの量は多いが、フロア下一面をオイルまみれにするほどではない。しかも、フロントメンバーの前方あたりに付着したオイルは、ここから伝わっていくとは思えない。
しかし、オイルフィルターまわりからの漏れは見受けられない。
ここに付着したオイルは、じつはオイルフィルターを交換をした際に垂れたもの。
R32GT-Rに詳しいショップでは、オイルフィルターを交換する際に、トランスファーの上部に溜まるオイルを洗浄する。
オーナーの浅田さんがオイル交換を依頼した店では、そこまでの洗浄を行っていなかったのだろう。
意外にも、フロアまわりを付着したオイルは、ここに溜まっていたオイルも原因のようだ。
そのほかカムカバーまわりからのオイルにじみは、パッキンが痩せる経年劣化が原因。
プラグホール側も同様にオイルにじむように漏れている。とくに4番と5番シリンダーは、熱が溜まりやすいところなので、漏れている量がやや多い。
タービンは、R34GT-Rのスタンダードタイプ(セラミック)に約1年前に交換していた。ここからのオイル漏れが見当たらない。しかし、その下にあるエンジンマウントは、ゴムが劣化して剥離。
サージタンクなどのインテークまわりを外すとエンジンからの水まわりパーツが見えてくる。
エンジンから冷却水をラジエータへと送り、そして戻ってくるパイプの先端は完全に腐食。
冷却水が漏れていたようで白濁した粉が付着。パイプ内部も錆が発生している。
このように、46万km走行したRB26DETTエンジンは、予想に反して意外にもパッキン類の劣化が原因でオイルが漏れていただけだった。
しかも、前回のオーバーホールから27万kmも経過していると考えれば、かなり良好なほうだろう。
ちなみにミッションのオイル漏れは、シフトレバーまわりからだった。ただ、その原因はオイルが噴き出さないようにするカバーを止めるタップが緩みだった。
次回は、いよいよエンジン内部を公開する予定だ。
(撮影:吉見幸夫)
Kansaiサービス TEL0743-84-0126 http://www.kansaisv.co.jp/
【関連記事】