飛び石による小さなキズ
補修歴のあるガラスは危険
寒い朝など、出かけようとしたらクルマのフロントウインドウが霜で被われてしまったなんて経験ありますよね?
そんなとき、エアコンのデフロスター(フロントウインドウに風を送る)をオンにして溶かす人は多いでしょう。
しかし、ウインドウに飛び石などによるキズが付いていたり、補修をしたクルマは要注意です。
最悪の場合、ウインドウにヒビが一気に走るかもしれません。
クルマのフロントウインドウに使用されているガラスは、「合わせガラス」と呼ばれる2枚のガラスの間に0.76mmの薄い膜ですが、とても強く、しかも柔軟なプラスチックを挟んだものです。
「合わせガラス」は、万一の衝突事故で、乗員の頭部がぶつかってガラスが割れても、この膜がまるで布のように乗員の頭部を包みこむように受けとめるので、頭部に与える衝撃も小さく、大きなケガから乗員を守ります。また、割れた場合も膜にくっついているため破片が落ちません。
この「合わせガラス」は、法律で1987年9月以降に生産されたクルマには装着されています。
ドアのウインドウなどのサイドガラスやリヤウインドウ(法令化される前のフロントウインドウ)のように強化ガラスと異なり、「合わせガラス」は飛び石などで多少ヒビが入っても、一気にガラスが割れ落ちることはありません。
しかし、キズやヒビが入ったところは、ガラスの粒子のバランスが崩れているので広がりやすくなっています。
なぜ、寒い日にフロントウインドウに温風を当ててはいけないのでしょうか?
それは薄いグラスにいきなり熱いお湯を入れると割れてしまうのと同じように、クルマのフロントウインドウも温度変化には弱いのです。
フロントウインドウにキズなどがないクルマなら、デフロスターでウインドウを温めて溶かして問題はありません。
ところが、キズや補修歴のあるガラスは急激な温度変化で、キズの進行が一気に進む可能性があります。
キズの程度や補修場所によって、必ずしもキズやヒビが広がるとは限りません。しかし、リスクはあると考えてください。
最近は、オートエアコンの普及率が高まっているが、車内が冷えているとき、車種によっては「AUTO」にセットしているとデフロスターから温風を出すことがあります。
このようなクルマは、エアコンの吹き出し方向をマニュアル設定しておけば良いでしょう。
ガラスの補修なら1万〜2万円くらいでできるが、交換となれば10万円前後の費用が必要です。
しかも、ヒビが入っていたら車検をパスすることもできません。
そんな出費を抑えるために、まずはガラスのキズの有無をチェック。
そして、キズやヒビ(ガラスの補修歴があるときも)があったときは、温度変化を与えないように気を使えば傷口を拡大させずに済みます。
ちなみに、霜を手早く取りたいときは、専用の解氷(融雪)スプレーとスクレッパー(プラスチックのガラス用の板)を併用すれば、意外と簡単に取れます。
よく熱いお湯をかけて、雪や霜を溶かしているシーンを見ますが、これもガラスに大きな温度変化を与えるので、割れてしまうリスクは高いと言えるでしょう。
また、フロントウインドウの内側が曇ってしまったときは、エアコンのスイッチをオンにしましょう(除湿になる)。デフロスターを直噴したときより曇りが取れにくいですが、曇りは取れます(タオルで併用するとよい)。
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