萌え萌えしているだけじゃない
痛車カスタムのホントの姿とは
クルマ好きな人からも、少し変わった目で見られることもある「痛車」というカスタムジャンル。
クルマよりオタク的な要素が目立つだけに、その実態についてはあまり知られていないのだけど、実は面白い作りを施したクルマが集まっているところでもある。
そこで「進撃の浦山ダム」という痛車イベントに参加したクルマを通して、痛車が持つ独特なパワーを感じて欲しい。ベース車は、硬派なスポーティカー率が高いこともわかるはずだ。
痛車乗りはイベントマナーがいい人も多いのでこういう重要施設でも開催が続けられる。
主催者の好意により、2016年10月に行われた進撃の浦山ダム・第五章で取材を行った。
一般的には「絵が元と違ったらダメなんじゃないの?」と思うところだが、そこについては二次創作というジャンルが確立しているオタク界において、解釈や理解の幅が広い。
一例として、キャラクターのカワイらしさをより自分好みに近づける、という意味から原作とタッチが違う絵になってもOKなのだ
内装はダッシュボードを自分で外して塗装し直している。こういったDIYカスタムが多いのが痛車の特徴。
エンジンルームのカバー類も塗装済みだし、エンジンルームをキレイに掃除もしてあるところからも、クルマを大事にしているのが伝わる。
見たことないエアロだと思ったら車種違いものを組み合わせたオリジナル品とのこと。
100系チェイサーは走り方向に振られることが多いが、ユーロカーっぽい形状のエアロとドレッシーなホイール、そしてグラデーションも使ったステッカーの色使いなどからスッキリきれいにまとめている。ミドルセダンのドレスアップとしてまとまりがイイ仕様だ
さらにスワロフスキーを6000個!ボディに貼り付けている。ライトまわりのほかにもキャラクターの衣装や髪の毛にもちりばめてあって光が当たるとキラッと光り、イラストに動きが出る
サーキット走行も行う日産S15型シルビア。
外装はヤシオファクトリーのワイドボディキットを装着。エンジンは東名パワードのポンカムにHKSのGTタービンの組み合わせ。エアフロはR35GT-Rに替えている。ブレーキキャリパーはエンドレス製。
秩父が舞台のアニメ「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。」のヒロイン「めんま」を貼っているが、これはカラーステッカーの多色貼りという手法を使っているのでよく見るとステッカーが多層になっている。
多色貼りはシートの切り出し、貼り付け施工など相当の手間が掛かるが、仕上がりはシートに印刷したものとは違う独特の質感となる。このS15は淡い色を組み合わせているのでキレイな雰囲気になっている。
有名なグラフィック施工店「アートファクトリー」でデザイン&施工した、アニメ「けいおん!」仕様車。マットブラックなど暗めの色が主体。そこに黒髪のキャラクター&制服を着ているという色味を抑えたイラストを使用しているので、絵のサイズが大きくしていても目立ちすぎず、クルマのシルエットも隠れないデザイン。チューンに関してはランエボチューンでは定評のあるGフォースで行っているので外観も中身も一流どころ仕様なのだ
ドアを開けるとこの手のネタが仕込んであるのも痛車ならでは
派手な絵柄だがつや消しシートを使うことでシブさも出している
天井にはキャラもののシーツを内張りのように装着している
トランク部にはウーハーボックスが積まれているが、それをただ置くのではなくフィギュアを使ったジオラマふうに仕上げている。
タオル地もホームセンターで購入し、それをDIYで貼り付けている。
このフィギュアもだし、天井のシーツなどもそうだが、グッズをクルマに上手く取り入れるのは痛車乗りの得意なところ
痛車界で人気の高い「Project C.K」という二人のイラストレーターによるアートユニットの作品を貼るホンダFD2シビック。キャラ以外のグラフィックはインクの飛び散りをカラークリアシートで表現したもの。
シートはSUPER GTに参戦するグッドスマイルレーシングの初音ミクAMGのボディ施工を務める「のらいも工房」で印刷し、ボディへの貼りはDIYで行ったとのこと。
エアロはM&Mホンダ製。フロントはLED追加、リアはディフューザー形状を変更して装着するなど、チューニング、カスタム面もツボを抑えたハイセンスな作り。
レカロのフルバケにシルバースポーク&パンチングレザーのナルディクラシックという超シブいチョイス。メーターもDefiと本物志向。そこにご覧のようなラッピングを混ぜるというスタイル。
オジさん世代には思いつかないかっこよさだ。
(レポート:深田昌之)
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