ゼロ戦の翼にも使われた超超ジュラルミン
アルミより強度が高く軽いが加工が難しい
ホイールメーカーの「BBS」が世界に先駆け2011年に製品化に成功した超超ジュラルミン鍛造ホイール『RI-D』。「レイズ(RAYS)」は、2017年モデルとして同じく超超ジュラルミン鍛造ホイール『ボルクレーシングTE037 DURA』を発表。共にスポーツホイールの最高峰モデルというポジションを担っている。
ジュラルミン製ホイールにどんなメリットがあるかというと、簡単にいえば、通常のアルミホイールより強度があって、軽いことだ。
RAYS『TE037 DURA』
そこでアルミニウムに他の金属を加えて、強度アップしたアルミ合金として、アルミホイールを製品化した。
ジュラルミンも、じつは主原料はアルミニウムなので、広義的にいえばアルミ合金の一種。
ジュラルミンは強度が高いということから現金輸送用アタッシュケースとしても使用された。3億円事件の映像や写真にも出てくる。
合金ということは、アルミニウムにどんな材料を混ぜるかによって、特性や強度が変わってくる。
そのためアルミ合金は、アルミに加える他の元素などの割合によって、米国アルミニウム協会が定めた国際規格で統一されていて、ジュラルミンは銅やマグネシウム、シリコン、亜鉛、マグネシウムなどを含んでいる、AA2000番系の合金のことをいう。(詳しくは、AA2017=ジュラルミン。AA2024=超ジュラルミン)
いま話題の超超ジュラルミンのホイールは、亜鉛5.5 %、マグネシウム2.5 %、銅1.6 %を混ぜた、AA7075と分類されている合金。
古くは、あのゼロ戦の主翼などに利用されていて、アルミ合金の中では最強といえる強度を誇る。
余談だが、このAA7075は、漫画「ゴルゴ13」のライフルで有名な、アーマライトM‐16(AR15)の材料に採用され、以後、生産量が大幅に増えた。
さて、そんな最強の強度と軽さを併せ持つ超超ジュラルミンが、なぜなかなか製品化されなかったかというと、強度があるがゆえに、ホイールのような複雑な造形には不向きだったため。
また、応力腐食割れや耐食性、経年劣化による強度の低下などの弱点もある……。
さらに、アルミ合金は、熱処理次第で性質が変わるので、温度管理が非常に重要。ホイールの剛性に最適な熱処理にたどり着くまでは大変な苦労があったはず。
そうでなくても、ジュラルミンの精製には、通常の鍛造アルミの約6倍の時間がかかるといわれているぐらいだ。
そうした数々の課題をクリアして、製品化にこぎつけた超超ジュラルミンホイールは、BBSにしてもRAYSにしても、まさに企業努力の結晶といえるもの。
軽さはもちろん、従来の鍛造ホイールと大差ない価格帯を維持しているのは、ちょっと驚き。
むかしの電動ラジコンのシャシーは、17Sや24Sのジュラルミン製で、7075ジュラルミンのシャシーもあるにはあったが、主流は加工のしやすいFRPやCFRPに移っていったのを覚えている人もいるのでは??
(レポート:藤田竜太)
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