気になる予算や走行性能の全4項目で斬る
それぞれのメリット&デメリット
車高は低いほどカッコよく見える。ドレスアップを進めるうえで、この言葉は間違いなく真実である。
では、ローダウンを極めるためにはどんな足まわりをチョイスすればいいか。
手頃にローダウンが楽しめるダウンスプリングは別として、とことん下げるのならば、候補はふたつ。
スプリングやダンパーの長さを調整して車高を落とす「車高調整式サスペンション(以下車高調)」と、空気でエアバッグを収縮させて車高を調整する「エアサス」だ。
ローダウンに有利なのはどちらなのかを、純国産の足まわりメーカー『BOLD WORLD(ボルドワールド)』に、さまざまな視点から持ち味を比較してみた。
[予算]
車高調に比べ部品点数の多いエアサスは高額
まずは、購入のポイントとなる予算面を比較。エアサスに関しては、比較的に高額な価格設定となる。
ダンパーやスプリングといった基本パーツに加え、エアバッグや空気を圧縮するコンプレッサー、空気を溜めておくエアタンクといった数多くの構成部品が必要となるためだ。
逆に車高調は、安価なものから高額なものまでさまざまだが、エアサスと比較すれば良心的な価格。予算に関しては、エアサスよりも車高調に分がある。
[利便性]
車高を瞬時に変えられるエアサスが有利
次に利便性。車高調の場合、車高を調整するにはリフトやジャッキで車体を上げ、タイヤホイールを外してからシート調整と、決して手軽とは言いづらい。
大半は、一度決めた車高のままというケースが多く、例えば超ローダウンした場合は、段差を乗り越えられないなど行動範囲に制限が出ることも。
一方のエアサスは、パドルスイッチやリモコンを操作するだけで車高アップ&ダウンが制御できるため、簡単に難題をクリアすることが可能。
走行時は車高を高めに、魅せたいときには車高をベタベタに、と使い分けられるから、段差によるエアロ破損といったトラブルが起こりにくい。
つまり日常の使い勝手に関しては、エアサスのアドバンテージは大きいのだ。
[走行性能]
スポーツ走行ならば車高調がリード
では走行性はどうだろう。エアサスが誕生した1990年代といえば、エアサスはふわふわした乗り味というイメージ。しかし、現在のエアサスは革新的な進化を遂げた。例えば『ボルドワールド』のように車高調として製品化しているダンパーを応用したり、エアバッグにも改良が重ねられるなど、走りの質は年々向上している。車高調は、言うまでもなくレースで活用される高い走行性能が持ち味(安価なものは除く)。
エアサスも進化しているが、本格的な走りを求めるならば車高調が若干有利という印象だ。
[落ち幅]
車高の調整幅は構造的にエアサスが大きい
車高の調整幅に関しては構造上、エアサスの方が有利。
車種にもよるが、車高調では40〜70mm、エアサスだと100mm前後といった感じ。
落ち幅も大きいためにガツンと落とせるのもエアサスのメリット。
純粋にローダウン量や調整幅の大きさを重視するのなら、車高調よりもエアサスがオススメだ。
両者とも時期を見てのO/H(オーバーホール)は必要。一部のメーカー品はO/Hできない場合もあるので、長く乗る人はこういった項目もチェックしておきたい。
ちなみに、ボルドワールド製のように、車高調の調整幅(ネジ式ケース長調整)にエアバッグの調整幅をプラスできるものもある。
[結論]
愛車をどう使うか、何にこだわるかで選択すべし
このように、両者の持ち味はさまざま。最終的には何にこだわるのか、愛車をどんなシーンでどう使いたいのか、で選択することが重要だ。
リーズナブルに理想の車高が実現できて、しっかりとした乗り味のまま走れるのが車高調。
高額で構造変更の届け出も必要だが、シーンに合わせて簡単に車高調整できるエアサス。
それぞれのメリットを踏まえ、自分のカーライフと照らし合わせながら、理想の足まわりを見つけてほしい。
ちなみに、ファミリー層にオススメは実用性を確保できるエアサス。
簡単に車高を調整できることは、日常でその恩恵を受けられるだろう。けれど、家族が車酔いしやすい場合は、車高調という選択も。硬めでしっかりとした乗り味は、車酔い対策のひとつとしても有効だ。
(レポート:酒井賢次)
取材協力:ボルドワールド事業部 TEL0868-74-1221 http://www.boldworld.co.jp/
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