1600kmの悪路を速く走らせるノウハウ
培った経験で進化した『Earth-Runner』
「Baja 1000」は、オフロードシリーズ(SCOREシリーズ)の最終戦として開催される世界最高峰のデザートレース。
メキシコのバハ・カリフォルニア半島を舞台に繰り広げられ、約1000マイル(1600km)の荒野や砂漠地帯を不眠不休で走り続ける。まさに、世界最長のスプリントレースなのだ。
ここに、TEAM GEOLANDERのドライバー「塙 郁夫」選手が操るモンスターマシンがある。超過酷なレースに参戦し、2016年にはクラス7で3位となった車両『Earth-Runner』だ。
このマシン、設計から製作までなんと彼自身が手掛けた傑作なのであった。
独自に制作したオリジナルマシンは、SUVのような流麗フォルムでデザインし、レギュレーションやマシンの特性にあわせて修正したもの。
ボディの素材は、軽量のFRP製。全長4500mm/全幅2160mm/全高1800mmと、市販のSUVと比べて若干ワイドとはいえ変わらないサイズだ。
エンジンは、3.7リッターV6エンジンで400psを絞り出し、悪路では必要十二分のパワーを獲得。
ワンオフのパイプフレーム構造により、車重を1600kgに収めた。ミッションは、OS技研の6速マニュアル。サスペンションは、フロントがデュアルAアーム式で、リヤはトレーリングアーム式。
普通ではタイヤが浮くような大きな起伏のある路面でも、しっかりと接地するためにクルマの動きが解りやすいとという。ストローク量は、なんと600mm以上。
そのため、じつに乗り心地がいいとか。
足元を支えるのは、「ワーク」製の鍛造ビートロックホイール。そして、タイヤは塙選手を2014年からサポートする「横浜タイヤ」の『ジオランダー G003』を履く。キャビン内にはフロアジャッキや工具にくわえ、リヤにハミ出した恰好でスペアタイヤを搭載。
リヤのトラクション向上だけでなく、バンパー代わりになって車両と乗員を保護するという。まさに機能性とデザインをうまく融合させたもの。
塙選手が得た経験と知識をフィードバックさせて、毎年進化を遂げる『Earth-Runner』。
ちなみに駆動方式はFR×トレーリング式という古典的な設計。なぜ4WDではなく、このようなパッケージングを選んでいるのか?
理由を聞けばバンプした時にアクセルをコントロールする必要なく、アクセルを全開にできるとか。
「直線もコーナーも悪路をアクセルを踏んだままで走りきれる。暴れるマシンをコントロールするのは大変ですが、4WDよりもラクだしコーナースピードも遥かにちがう。サーキットを走るマシン設計では、この舞台ではまったく通用しないんです」。
2016年、さまざまな経験を積んで得た3位というポジション。
世界一過酷なスプリントレース「Baja 1000」の表彰台トップに日本人がいる光景。近い将来に目の当たりにできるだろう。
ジオランダー×BAJA1000 特設サイトhttp://www.yokohamatire.jp/geolandar/baja1000/index.html
【関連記事】