縦置き、横積み、ラック置き
どれがタイヤに優しい保管方法か
イベントに行くためとっておきのホイールを履き替えたら、何だか振動が出る。スタッドレスタイヤから夏タイヤに換えたら違和感。
その原因の一つに、タイヤの保管状態が悪かったことでタイヤが変形してしまっている可能性があります。
決して難しいことではありません。タイヤを保管するとき、ちょっと気を使うだけでタイヤの変形は抑えられるのです。
外したタイヤ(ホイール付き)は
どのように保管していますか?
- 縦置き
- 横積み
- ラックに入れる
たいした違いはないように感じますが、じつは次に使用するときに保管方法によって、走行中の振動の原因となる変形の度合いが違うんです。
とくにスタッドレスタイヤ(冬ならサマータイヤ)のように、次に使用するのは半年先というケースでは、それぞれの保存方法でその差はグッと大きくなっていきます。
保管方法として正しいのは「横積み」です。
まずは、それ以外の”縦置き”と”ラックに入れる”がタイヤの保管方法としては適してない理由から紹介しましょう。
トレッド面の変形が振動の原因となる
上の写真のようにタイヤを壁に立てかけたりなどの”縦置き”保管が、なぜダメなのでしょう。
それは、ホイールの重量が縦方向に掛かっているからです(もちろんタイヤ自身の重量も掛かっています)。当然ですよね。縦置きすれが重力が働くわけですから。
「ホイールってそんなに重たいの?」と思われることでしょう。
某タイヤメーカー製のスポーツ系鋳造1ピースホイールの重量を計測すると、18×8.5Jが8.3kg、18×9.5Jは8.6kg。スポーツ系ホイールなので、同サイズのホイールとすれば軽い方でもこの重量があります。
タイヤ本体の重量は、225/40R18で10.1kg、255/35R18が10.8kgです。計測したタイヤは剛性の高いスポーツ系なので、少し重めかもしれません。
それぞれ合計すれば1セットあたりの重量は18.4kg以上になります。
この重さが床(地面)と接している部分に掛かっているわけですから、厳密にはトレッド面が凹んでいることは想像できますよね。
スタッドレスタイヤのような季節モノの場合は、その状態が半年以上続くわけですから、トレッドの凹んだ部分がフラットスポットのようになっているので、その変形が走行中の振動の原因となるわけです。
とくに上の写真のような”タイヤラック”での保管となれば、タイヤとホイールの重さはパイプと接している部分に集中します。
タイヤが接している部分は、床ならまだ「面」に近いですが、パイプはほぼ「点」接触になっているので1カ所に重量が集中します。それゆえトレッド面の変形の度合いは縦置きより、さらに高まるわけです。
横積みはトレッド面には重さが掛からない
タイヤの横積みが良いというのは、「回転方向=トレッド面が変形がほとんどしない」からです。
確かに、一番下になったタイヤには、3本分の重さが掛かってくるので、ホイールまで変形しそうなど心理的には嫌なモノです。しかし、ホイールは、走行中にクルマから掛かる荷重を受け止められる強度を持っているので、そんな心配をする必要はありません。
タイヤにしても、重量を面で受けているので、縦置きやラックに積むことに比べれば、重さの掛かり具合は分散されています。
なによりトレッド面には、余計な力が掛かっていないので、回転方向における変形はほぼゼロと言えるでしょう。
ただ、タイヤに対して太めのホイールを組み合わせている場合は、下の写真のようにタイヤとタイヤの間に段ボールなどの緩衝材を入れないとホイールがぶつかってキズ付けてしまう可能性があるので要注意です。