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R35GT-Rのトランスミッションは本当に壊れやすいのか?

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R35型GT-Rのトランスミッショントラブルは
リコールも出されず初期生産ロット内の不具合か?

さて、そんなデュアルクラッチ式のトランスミッションであるが、R35型GT-Rが登場してから間もなく「壊れやすい」という風評を耳にする機会が増えた。
実際、内蔵するクラッチ機構のオイルシールが一部欠損することにより、ギヤチェンジができなくなるという初期トラブルの症例が報告されている。
ただし、これはR35型GT-R全車に当てはまるというわけではなく、初期生産ロット内の稀な不具合だった模様。事実、その後メーカー側からリコールの届けは出ていない。
国産初のスーパースポーツカーということもあり、いろいろな意味で世間の注目度も高かったのだろう。今にして思うと、ちょっとしたトラブルが瞬く間に広がると同時に「維持費が異常に高い」「チューニングできない(してはいけない)」というネガティブな噂も加わり、世界レベルの性能を有して登場したR35型GT-Rにケチが付く形になってしまったのではなかろうか。

「GT-R Magazine」編集部が所有するスタッフカーのR35型GT-Rは、発売日の翌日となる2007年12月7日に納車された。
以来、取材で全国各地を奔走。納車から9年4カ月を経た現在、走行距離は20万2000kmまで伸びている。これだけの距離を重ねればどんなクルマでもちょっとしたトラブルは出るものだ。
プロドライバーによるサーキットテストも幾度となく経験している。で、懸念のトランスミッションだが……実はつい先日、20万kmを目前にして新品のトランスミッションへと載せ換えた。後述するが、過去に2度ミッショントラブルを経験している。どちらも些細なモノだったのだが、今回発症したのは「原因不明」の不具合であった。症状は以下の通り。
R35型GT-Rのトランスミッションは、走行時にA(オートマチック)モードとM(マニュアル)モードのどちらかを選択することができる。通常の街乗りではほとんど機械任せのAモードを使用。ステアリング裏にあるパドルスイッチでシフトチェンジするMモードは、ワインディングやサーキットなどのスポーツドライビング時くらいしか使わない。
ただ、例外として高速道路などでエンジンブレーキを効かせたい時(ブレーキペダルを踏むほどの減速を必要としない時)に、左のパドルをポンポンと手前に引いて6速→5速→4速とシフトダウンすることはある。
問題はその時に発生した。
6速から5速は通常通りギヤが変わるのだが、5速から4速に入れた際、メーターパネル内にあるシフトポジションインジケーターの表示が消え(通常はここに4/5/Rなどのギヤポジションが出る)、クラッチが切れて「空走状態」になってしまったのだ。
しばらくするとインジケーターに4の数字が浮かび、「ガクン」という衝撃を伴ってギヤが入るという状況。これは5速から4速にマニュアル操作でダウンした時に限定して起こるトラブルで、ほかのギヤやシフトアップ時、Aモード選択時には発生しなかった。
しばらくは極力Mモードでのシフトダウンを避けていたのだが、ある日たまたまカーブ手前で4速にシフトダウンした際、「ピー!」という警告音とともに、メーターパネルに「トランスミッション異常」の警告が……!
その後、1/3/5速の奇数ギヤ(およびリバース)にしかシフトできなくなり、偶数ギヤはすべて飛ばされる状態になってしまった。
こんな状況、普通だったら「え? なになに!?」といった具合にドライバーは慌てるものだ。がしかし、筆者は3度目の経験だったので、意外と冷静に対処。前述のとおり、奇数ギヤが選択できる際はリバース(後退)も使えるので、とりあえず自走で駐車場まで車両を移動。後日、日頃からメンテナンスを依頼している日産ワークスの総本山「NISMO大森ファクトリー」へと入庫した。そこで、なんとも不可解な自体が発生したのだ!

R35GT-Rに限らず、最近のクルマは故障自己診断機(日産の場合はコンサルトⅢを使用)を車両側のOBDコネクターに繋ぐことで、機械的な不具合や電子制御関係のエラー箇所などを特定できる。しかし本誌のR35型GT-Rからデータを吸い上げようとしたところ、なぜか「トランスミッション異常」のメッセージが消えてしまい、正常状態に自然治癒してしまったのだ。
実走行でも特に問題はなし。当然「あれは一体なんだったんだ?」となる。
そこで、担当メカニック氏に不具合発生時の状況を克明に伝え、その際の走行状態を再現する形で先のシフトダウンを試してもらった。すると、やはり5速から4速へのシフトダウンを受け付けてくれないとのこと。しばらくすると復帰するというのも、筆者が経験した状況と同じだ。
しかし、その後も日を変えて何度か試したものの警告メッセージは点灯しないという。さて、どうするか。このままの状態で乗ることもできる。しかし、遠方への出張時や深夜などに同様のトラブルが出る可能性だってある。そんな不安な状況の中でステアリングを握るのは精神的にもはばかられるというものだ……。結果、今回は「新品への載せ換え」を決断した。

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