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「ETC2.0」車載器は買うべきか?

通行料金の支払い機能だけでなく
運転支援情報も提供するETC2.0

2016年から導入された「ETC2.0」というサービスがある。カンタンに言えば、従来のETC車載器に付加機能を付け、当初は大々的なPRがされていた。
しかし開始から1年経ったいまではあまり話題にのぼらないし、肝心のドライバーも「ETC2.0」が「実はどんなものかよく知らない」という状況でもある。
それでも高速道路の料金検索をすると「ETC2.0」と表示されている。通常のETCと料金が異なることなどほとんどないのに。そこで今回は登場から1年経った「ETC2.0」について、改めてどんなサービスなのか?
開始以来サービス状況の充実度はどうなっているかについてになっているかを取り上げてみよう。

まず、「ETC2.0」の機能だが、これは従来のETC車載器のような高速道路の料金収受だけでなく、全国各地の高速道路に設置されている道路情報通信アンテナ(ITSスポット)から大容量かつ広範囲の道路状況を受信できるのが特徴。

国土交通省ホームページより

そのデータを元に「ETC2.0」と連動するカーナビ上で最適なルートを引いてくれたり、道路的な難所(急カーブなど)や天候などを警告してくれる機能を持つ。さらに地震などの災害発生時には発生状況や支援情報などを受信することもできる。

国土交通省ホームページより

また、高速道路走行時、渋滞を迂回するため一度高速道路を降りる経路を通ったときなどに高速道路料金が優遇されるサービスも検討され、より細かい走行経路検索機能や駐車場やガソリンスタンでの決済なども行える「新サービス」が予定されているというものだ。

ただ、天候などを警告してくれる機能などの運転支援サービスは、「ETC2.0」の車載器ではなくても、ITSスポットからの情報を受信できる「DSRC車載器」というETC車載器を使うことで使用できたものだ。

つまり「ETC2.0」からの純粋な新機能というと、後半に挙げた渋滞回避のための高速道路料金が優遇されるサービスなど。
ところが2017年4月末現在で、これらのサービスはまだ「導入予定」のまま。関係機関に問い合わせてみても「いつから実行するのかは未定」とのことだった。

圏央道と新湘南バイパスの通行料金が
ETC2.0車載器を使えば「20%引き」

となるといまの段階で「ETC2.0」車載器を買うメリットはないのか?というとそうともいえない。
2016年4月から圏央道(茅ヶ崎JCT~海老名JCT、海老名~木更津JCT)と新湘南バイパス(藤沢~茅ヶ崎JCT)では、ETC2.0車載器装着車の通行料金が2割引となるサービスが開始されている。

国土交通省ホームページより

でも、この割引体制は従来のETCの休日割引や深夜割引とは比べものにならないほど限定的。
圏央道を頻繁に使う人以外にはまるで関係がない。サービスと言うより今後ETC2.0割引を導入するための実験ではないかと思えるようなものだ。

なお、ITSスポットによる広域の道路情報を表示するにはETC2.0対応のカーナビやスマートフォンが原則必要となる。最近発売されたGPS付き発話型ETC2.0車載器は、ITSスポットからの情報サービスを「音声」で伝えてくれるので、カーナビなどの連動がなくてもETC2.0のサービスを受けられる。でも、この機種にはモニターがないのでITSスポットからの情報サービスを元にしたダイナミックルートガイダンスや、安全運転支援サービスの一環である図形情報、静止画情報は見ることはできない。

そんな状況だけに、サービス開始から1年経過した現在でも従来のETCからETC2.0へ積極的に「買い換えたくなる」ような要素は薄い。
車載器の値段も通販サイトで見た限り、従来のETCと比べてETC2.0は1万円近く高い。

このような状況なので、損得勘定の観点で言えば「ETC2.0はまだ買いではない」という結論になる。
でも、DSRC通信(ITSスポットと車載器間の通信方式)は今後発展が期待されている新技術だけに、ETC2.0の動向には注目をしておきたい。

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