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【短期連載】「ユーザー車検」必勝マニュアル(その1)

2リットルクラスの車検費用は約10万円
その約半分が重量税などの法定費用

一般的な普通車は、2年に1度(新車は新規登録から3年後)義務付けられているのが「自動車検査登録制度」。いわゆる「車検」だ。
車検とは、クルマの安全性と環境などへの影響をある水準で保つため、一定の保安基準に適合しているかどうかを定期的に検査する制度だ。
その趣旨はよく理解できるし、より良い交通社会を守るためには、重要かつ必要なシステムに違いない。
ただ、車検のための費用がけっこう高額な点が、ユーザーにとって頭の痛いところ。
そこで、自ら検査を受けることで費用を節約できる「ユーザー車検」にチャレンジしてみた。

車検費用の一般的な相場は、2リットルエンジン(車重1t~1.5t以下)を搭載する中型乗用車で、ざっと10万円前後というのがひとつの目安。
この約10万円のうち法定費用として、【重量税(2万4600円)+ 自賠責保険(2万7840円)+ 印紙代(1100円)=5万3540円】は、避けては通れない出費となる。
残りの4万~5万円が、車検整備点検費用(24カ月点検)と、車検代行手数料、検査料、部品代などとなっている。

この法定費用以外の代金は、ディーラー、民間整備工場(指定整備工場・認証整備工場)、車検の専門業者、カー用品店など、車検整備を依頼する先で、ある程度の価格差がある。

ディーラーの場合、代車や引取りサービスなども充実していて、整備も継続検査(車検)はクリアするだけではなく、整備保障や数カ月先まで見越して消耗部品を交換するなど、いろいろ行き届いているのが特徴。その分点検整備費用はやや高めで、法定費用+4万円~10万円ぐらいが目安。

民間整備工場だと、法定費用+3万円~6万円。車検専門業者やカー用品店だと、法定費用+2万5000円~5万円といったところだろう。

車検有効期限の1カ月前から受付
余裕を持っての段取りが重要

ユーザーが自分で点検を行って、国土交通省の各地の陸運支局に愛車を持ち込み、継続審査を受ける、いわゆる“ユーザー車検”なら、上手くすれば法定費用だけで、車検を通すことが可能になる。 

道路運送車両法には、
「自動車の使用者は、自動車検査証の有効期間の満了後も当該自動車を使用しようとするときは、当該自動車を提示して、国土交通大臣の行なう継続検査を受けなければならない」
とあり、車検はユーザー自身が検査に持ち込むのが本来のあり方。オプションとして、ディーラーや整備工場などに依頼してもいい、となっているだけなのだ。

とはいえ、ユーザー車検はまだまだ少数派で、陸運支局の全受検件数の約10%程度だ。

少数派ゆえにハードルが高いように思えるかもしれないが、ちょっとクルマに詳しい人なら、それほど難しいものではない。普段から愛車のメンテナンスが万全という人は、このユーザー車検制度を活用して、ランニングコストの節約は十分可能だ。

 

  • ユーザー車検の準備
    ユーザー車検のポイントは、ずばり段取り。下調べと下準備さえしておけば心配無用。
  • ユーザー車検は、いつから受けられるか?
    車検有効期間の1ヶ月前から受けることができる。検査を受けても、合格するとは限らないので、車検有効期限のギリギリではなく、なるべく早く検査を受けよう。実際に検査を受ける半月前ぐらいから準備を始めておくのがオススメ。

ユーザー車検を受ける前の主な準備とは?

ユーザー車検を受けるのに必要な準備は2つ。車検の検査予約と車両の点検整備だ。

<その1>検査を受ける陸運支局に予約を入れる。

ユーザー車検の検査は、全国どこの陸運支局で受けることができる(費用も同じ)。
移動の手間を考え、最寄りの陸運支局がいいだろう(隣の県でも、近隣の陸運支所があればそちらを選ぶといいだろう)。
陸運支局の所在地は、国土交通省のホームページでチェックできる。

陸運支局が決まったら、インターネットで検査の予約を取る。
検査は土曜・日曜を含む15日前から予約が可能だが、検査自体は平日のみとなる。

万が一、検査に落ちても問題点を整備すれば、その日のうちに3回までは再検査を受けられる。時間的に余裕がある午前中の予約がベター(ただし、いつも午前中は混んでいる。また月末も混みあうのでできれば避けたい)。

<その2>クルマの点検整備は確実に

ユーザー車検で陸運支局に持ち込まれた車両のうち、一発で合格にならず、要再検査となる割合は平均で32%!
一部で誤解されているかもしれないが、ユーザー車検でも定期点検整備は必須だ。

ただし、現行の制度では、その定期点検整備を車検をクリアしたあとに行ってもよいことになっている(前検査・後整備)。とはいえ、検査の合格率を高めるには、陸運支局に行く前に一通り点検するのが望ましい。

チェックしてほしい6つのポイント

1.タイヤ

溝の残量(1.6mm以上)、亀裂・ひび割れの有無を目視で確認。1本でもスリップサインが出ているタイヤがあればNGになるので、すり減っているタイヤは早めに交換。

2.ライト類

ヘッドライト・テールランプ・ブレーキランプ・バックランプ・ナンバー灯・ウインカーなどの電球が切れていないかをチェック。
樹脂のヘッドライトが劣化してかなり雲っていたりすると、光量不足で落ちることも!?
また、ナンバー灯の球が切れていたり、交換した社外のLEDが接触不良や製品不良で点かないケースも増えている。その他、灯火類のレンズの破損(光が漏れない程度のヒビはOK)は、不合格になるので気をつけよう。

 

3.メーターまわりの警告灯

2017年の2月1日より、「警告灯(メーター内のインジケータランプ)が点灯又は点滅している自動車は車検の審査を行わない」ということが周知徹底されている。
対象となるランプは、前方および側方のエアバッグ、ブレーキ、ABS、原動機の5種類。点灯している場合は整備工場へ。
エアバッグが装着されていない社外ステアリングを装着しているケースでは、警告灯が点灯しないようにするキャンセラーを付けるなどの対策が必要。

4.ブレーキ関係

車検時に必ず見ておきたいのが、ブレーキパッドの残量。だいたい残りの厚さが3mmぐらいになったら交換時期。
タイヤ屋さんなどで、タイヤのローテーションを頼んだついでに調べてもらうとベスト。同時にブレーキフルードの劣化具合(色)や量も点検。本当は車検毎の交換が理想だ。

 

5.下まわりの点検

ドライブシャフトブーツやステアリングラックブーツが破れていると車検には通らない。
またエンジンオイル、ミッションオイル、デフオイルなどが、漏れているのもダメ(滲む程度ならOK)。これらは、修理交換しかないので諦めよう。
また、マフラーの排気漏れも問題。下まわりは普段点検しづらいので、車検前にオイル交換を頼んで、ついでに一通り見てもらうのが賢いやり方。

できれば、車検前日もしくは当日に、コイン洗車場などで下部洗浄かスプレーガンで下まわりをきれいにしておくと、検査官の心証がよくなるかも!?

6.その他

フロントガラスの飛び石による傷やヒビはNG。フロントガラスと、前席左右のガラスへのスモークフィルムなども車検には通らない。

Vベルトのひび割れや劣化具合、リザーバータンク内のクーラント液量(冷却水は2年に1度ぐらいで交換したい)、ウインドウォシャー液の量、バッテリーの状態、ワイパーゴムの状態なども、日常点検の一環として車検前にももう一度見ておきたいところだ。(レポート:藤田竜太 撮影:成瀬陽介)

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