『腰痛予防と疲労軽減』を実現したいなら
「ほしい」より「合っている」が重要
ゴールデンウイークで長距離ドライブしたとき、クルマのシートの善し悪しで疲れ具合がまったく異なるのをご存じだろうか?
誰もが知るプレミアムシートメーカー「レカロ」は、人間工学と着座性能を追求し「疲れにくいシート」として世界中から高い支持を受けている。
選ばれる理由はたくさんあるが、運転中の「疲れにくい」以外に「腰痛が緩和した」という意見がもある。
そこで数ある「レカロ」シートラインアップの中からアナタに最適なシートを探し出せるポイントを紹介しよう。
レカロシートは、いわゆるフルバケットシートと呼ばれる『モータースポーツシェルシート』、リクライニング機構を備えるセミバケットシートの『スポーツシート』、ラグジュアリーな雰囲気をもつ『コンフォートシート』、腰痛予防と疲労軽減を追求して人間工学を元に設計された『エルゴノミクスシート』の4タイプに大別される。
もちろん、それぞれにさまざまなモデルが用意されているので、この中から自分に合うシートを探し出すのは至難の業だろう。
というのは、モータースポーツ用にシートを交換するのであれば、バケットシートのように「ホールド性重視」と目的はハッキリとしている。
しかし、ストリート用となると単純にシートのホールド性だけで選ぶことはできない。
装着する車両は、ミニバンやSUVのように背の高いクルマもあれば、セダン、スポーツカーといった車高が低いクルマもある。さらに、自分以外の家族も運転するとなれば、ドライバーの体型も身長も異なる。
そこで、日本で唯一『レカロ・メディカルショップ』として認定されている大阪府堺市にある「トライアル」の牧原代表にレカロシートの選び方についてレクチャーしてもらった。
体型と車種でシートタイプは決まる
「基本は、ドライバーの体型です。そのなかでもポイントは背の高さですね。その次が車種とクルマの使用用途。これを基本にお客さまの要望などからピッタリのシート絞り込んでいきます」と牧原代表。
一般的に座高と足の長さの割合は、それほど差がないそうだ。
「シートを選ぶとき、座面の長さが足の長さに合っていないと疲れ方がまったく異なります。座面が短いとヒザ裏をシートで支えられないので余計な力が掛かって疲れやすくなります。逆に座面が長すぎて、ヒザ裏を圧迫していれば長い時間運転するとうっ血状態になってしまいます。レカロシートの座面の長さは1.5cm刻みで5種類あるので、ちょうど良い長さのシートを選ぶことが大切です。簡単にいえば背が高い(=足が長い)人には座面の長いシート。背の低い(足が短い)人には座面の短いシートといった感じです。まずは実際に座って、ヒザの後ろと座面の触れ方を意識してください」と牧原代表は語る。
そこでベンチマーク(中心)となるのは左下の写真の『SR-7F』だという。オールラウンド的な位置付けで開発された右下の写真『SR-7』をさらにコンフォートにしたモデルだ。
その違いは座面。『SR-7F』はサイドの盛り上がりが低いF座面を採用している。『SR-7』に比べ乗降性に優れ、座面が短めに設計されているので、幅広いユーザーに合いやすいという。
ミニバン、SUVといったヒザを立て気味になるドライビングポジションとなるクルマとのマッチングも良いそうだ。
シートバックは『SR-7』と共通なので、サイドサポートの盛り上がりは大きめ。高いホールド性能を確保している。この『SR-7F』を基本にして、車種やクルマの使用用途、要望を聞いて、どんなシートにするか絞り込んでいくそうだ。
もしシートバックのサイドサポートやショルダー部の張り出しを控えめにしたいという要望があれば、コンフォートモデルの『LX-F』にするといいだろう。
『SR-7F』と座面は共通で、乗降性に優れた形状となっている。デザインもお洒落でエアランバーサポートが付くプレミアムシートだ。
ここで、あらためて身長を基本にオススメのシートを提案してもらうと
- 身長180cm以上→『ERGOMED-LD』または『ERGOMED-MV』
- 身長170cm前後→『SR-7F』または『LX-F』
- 身長160cm以下→『ERGOMED-D』
というのが基本となるなるそうだ。
『ERGOMED-LD』と『ERGOMED-D』は、人間工学を元に設計された『エルゴノミクスシート』。
同じシリーズながら、座面長がもっとも長いのが『ERGOMED-LD』、もっとも短いのが『ERGOMED-D』と、それぞれのシートに合う体格はまったく異なる。
上の写真は『ERGOMED-LD』。シートの厚みもあり、座面前端は伸縮するため、長身の人でも最適なドライビングポジションを取ることができる。下は『ERGOMED-MV』も座面の長さ調整が付いているが、サイドサポートは控えめだ。
クルマによってペダルの位置や向きが異なる
さて、再び『SR-7F』を基本に、次なるステップとして車種によるシートのフィッティングについて考察してみよう。
「クルマのペダル位置や向きは、シート選びで重要なポイントです。極端な例をあげれば、ハイエースのように足を踏み降ろすようペダル配置のクルマには、座面が長くて厚いとヒザ裏が圧迫されてしまいます。逆に着座位置の低いスポーツカーや輸入車のセダンは、足を前に伸ばすようなポジションなので、座面が長く足を下からサポートするシートが良いでしょう。乗降性も重要なポイントです。例えば、フロアよりステップの位置が低いミニバンは、座面のサイドが盛り上がっていると乗り降りするときシートをまたぐようになってしまいます。プリウスもミニバンに近いポジションになっているので注意が必要です」と牧原代表。
上の写真はスポーツシートシリーズの『Sportster(左)』と『Cross Sportster(右)』の座面の違いを表したカット。座面前端部の肉厚やサイドの張り出しは、右の『Cross Sportster』のほうが控えめだ。
愛車と同じ車種のレカロシートの装着例から、どのようなタイプのシートを装着されているか参考にするのも良いだろう。
シートは長い距離を走るドライバーに合わせる
クルマの使用用途もシート選びのポイントとなるそうだ。例えば、通勤使うかレジャーで使うか。通勤の場合、乗降回数が多いので座面のサイドサポートは低めのF座面を採用する『SR-7F』または『LX-7F』が良いそうだ。
レジャーユースが多いクルマは、走行距離に対して乗り降りする回数が少ないので、乗降性より疲労軽減を重視してサポート性の高いシートということで『SR-7』系がオススメとのこと。
家族で1台のクルマを使用している場合、誰に合わせてシートを選ぶか悩むことだろう。
「奥さんが日々のお買い物などで使っていて、休日のドライブではご主人が運転するご家庭では、ご主人に合わせたシート選びをオススメします」と牧原代表は言う。
クルマの使用頻度は奥さんの方が多いかもしれないが、休日のドライブのように長い走行距離を運転するご主人の方が疲労を感じやすい環境にあるからだ。
なぜ、クルマを使用する頻度の高い奥さんではなく、ご主人なのか? お買い物の移動は、運転する距離も時間も短いので、仮にシートがピッタリ合っていなくても疲れを感じることが少ないからだ。
このようにシートを選ぶとき、異なるユーザーの環境に合わせることが、いかに重要なことがご理解いただけただろうか? 今回取材した「トライアル」では、これまでの膨大な取り付け実績がデータベースとなっているので、電話などの問い合わせでもある程度までシートを絞り込むことができる(写真の女性スタッフが親切丁寧にアドバイスしてくれる)。
しかし、いくら最適なレカロシートが見つかっても、100点満点のシートポジションは完成しないそうだ。それは、ドライバーに合わせたシートレールのチューニングが必要とのこと。
この件については、近々に報告する予定だ。
なお、5月14日に大阪市舞洲で開催される「af imp.スーパーカーニバル」に「トライアル」がブースを出展する。レカロシートに関するアドバイスはもちろん、現地で販売も行うそうだ。
腰痛やドライブの疲れを感じている人は、ぜひ訪れてほしい。ちなみに入場は無料だ。
レカロシートのことならトライアル TEL072-369-3539 http://www.trial.co.jp/
(撮影:芝 修)
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