検査コースから指示通りにラインへ
屋外で待っているところから検査開始
書類の受付が終わったら、クルマを指定された検査コースに並べる。
検査は、まず車検証や申請書類の内容と車両が同一であるかをチェック。
次に、車体・灯火類、ワイパー&ウォッシャー、ホーンなどの外回りの検査。
ここで最低地上高(9cm以上)や、タイヤ&ホイールのハミ出し、スモークフィルムが保安基準に適合しているかどうかが点検される。
(取材日当日、ちょうど目の前のクルマにナンバー灯の球切れが見つかり、NG判定が出ていた)
また、メーターの警告灯が付いていないか、ハンドルにホーンマークはついているか、社外のシフトノブならシフトパターンは書いてあるか(純正シフトノブならOK)など、内装関係もこの時点でチェックされる。
内回りと外回り検査を無事クリアしたら、いよいよ検査ラインへ。
ユーザー車検初心者であることを
「ハザードランプ」で検査官にアピール
検査ラインに入るとき、ハザードランプをつけておくと、はじめてのユーザー車検、あるいは不慣れな人だということを検査官にアピールでき、いろいろサポートしてくれるので覚えておくといい。
ブレーキテストではいつもより強くペダルを踏む
ラインに入ったら、頭上の電光掲示板の指示に従って、まずはサイドスリップ検査。
続いてブレーキ検査とスピードメーター検査。これも頭上の掲示板に従ってクルマを進めれば良い。スピードメーター検査は、ローラーの上でアクセルを踏んで加速し、メーターが40㎞/hを指したら長めのパッシングを行う。
ブレーキテストは、前輪をブレーキテスターに載せ、シフトレバーを“N(ニュートラル)”に。サイドブレーキは解除しておく。電光表示板に「踏む」の指示が出たら、すぐに思いっきり(普段より強く)ブレーキペダルを踏む。
登録年月でヘッドライトの検査方法が異なる
ヘッドライト検査。平成10年9月以降のクルマはロービーム。
それ以前に登録されたクルマはハイビームで測定する。自分のクルマの年式は覚えておく必要がある。
排ガスの検査は、プローブと呼ばれる棒を自分でマフラーの出口に差し込み、電光掲示板に「○」が点くのを待つ(アイドリング状態でOK)。
排ガスの検査までクリアできたら、記録器に自動車検査票を挿入して検査結果を記録。
最後は、下まわり検査。ギアはニュートラルで、サイドブレーキは引かずに待つ。
クルマが揺らされたり、ブレーキをかける・離すといった指示が出るので、それに従うだけ。
電光表示板に「○」が表示されたらクルマを前進させ、結果を自動車検査票に記録。
これで全ての検査がめでたく終了。検査コース出口の総合判定係のところに書類一式を提出し、「審査結果通知欄」に合格のハンコをもらう。
あとは受付棟に戻って書類一式を提出し、新しい車検証と検査標章(車検シール)をもらえば、すべて終了!ただし、駐車違反の放置違反金が未納だと、「車検拒否制度」の対象となり、検査に合格していても、新しい車検証が交付されないので要注意(平成18年6月1日から施行)。
(取材日も、目の前にそういう人がいた……)
車検シールもその場で張り替え、めでたく車検の有効期限は2年延長。余談だが、この車検標章は2017年1月からデザインが変わり、一回り大きくなっている。写真の上の車検標章が従来のシール=3cm四方。下の新しいシールは4cm四方。文字の大きさも1.5倍に。
ユーザー車検のポイントをもう一度まとめてみよう
- 予約と下調べ
- 書類の用意
- メンテナンスをする
- 時間厳守で、時間に余裕を持って受験(わからないことは、検査官や係の人に聞く)
とくにメンテナンスは非常に重要。
「年式の新しいクルマだから、メンテナンスしないででユーザー車検に」というのは問題だ。
消耗部品の点検だけは、年式、走行距離に関わらずきちんとやっておくことが必要。
逆に「古いクルマだから、ユーザー車検は難しい」とあきらめる必要はない。
現に今回の取材車は、平成4年式、走行距離20万6100kmのスカイラインGT-R(R32型)だったが、検査項目で引っかかるところは一カ所もなく一発合格。法定費用6万5430円+予備険代1500円=6万6930円で車検をクリアすることができた(年式が古いので、自動車重量税が約1.5倍も高い!!)。
所用時間は、点検&メンテに2~3時間、陸運支局での手続き・検査が2時間程度。
陸運支局の業務時間は平日のみなので、平日に半日(不具合箇所が指摘され、再検査になったことを考えれば1日)時間がとれて、日頃からメンテナンスには気を配っているという人なら、最少の費用で車検を通すことをできる。ユーザー車検は、クルマの維持費を節約できるメリットの大きい制度といえるだろう。
(レポート:藤田竜太 撮影:成瀬陽介)
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