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【短期連載】「ユーザー車検」必勝マニュアル『初心者は検査ラインでハザードを点灯』(その3)

書類作成など慣れないことばかり
陸運局には時間に余裕を持って行く

「ユーザー車検」必勝マニュアル・最終回。これまで2回に渡って車検場である陸運局に行くまでの下準備を紹介してきた(その1:ユーザー車検とはその2:予備検査とラインの下見)。
いよいよ「ユーザー車検」を受けるために、受付から検査ラインでの手順やアドバイスを紹介しよう。
なにはともあれ車検当日は、予約した受付時間前までに、余裕を持って陸運支局に到着することが重要だ。

まずは、必要な持ち物。

※以前は必要だった自動車税の納税証明は、納税証明書の電子化により基本的に省略可。
ただし、自動車税の未納者だと当然車検は受けられない。また自動車税を納付してから3週間以内の人は「自動車税納税証明書(継続検査用)」を持参する。

必要金額の参考
自賠責保険24カ月=自家用乗用車25830円検査手数料
普通車 印紙400円+証紙1400円
自動車重量税:自家用乗用車1000~1500㎏以下 24600円(※車歴13年・18年超え、エコカーの重量税は、金額が異なるので要確認)

もうひとつ重要なのは、自分のクルマの駆動方式をきちんと把握しておくこと。
検査ラインが、駆動方式によって限定される場合があるので重要だ。

FF、FR、4WD、RR、MR、RRと6種類の駆動方式があるが、とくに4WDは、フルタイムかパートタイムかを知らないと困る。
また、同一モデルでFFと4WDなど、異なる駆動方式がある車種は、オーナー自身がわかっていないと、現場で面倒なことになる。

ちなみに予約をしないで、当日飛び込みで陸運支局に行ったらどうなるのか?
そのようなケースでは、予約者が優先になるが検査コースに余裕があれば、予約をしないでも車検が受けられる場合がある。
無予約で、午前11時までに検査の希望を申し出た場合、11時の時点で、検査ラインの混雑具合を確認し、空があれば受け付けてもらえる。午後も同様に、14時までに申し出て、ラインに余裕がある場合は受付可。混雑している場合は、断られるケースもあるので、インターネットなどで事前の予約は忘れずにしておいたほうがいい。

走行距離をチェック!

陸運支局に到着したら、指定された駐車場(受付前は、検査コースに並べない)にクルマを止め、走行距離計の数字を控えておく(スマホや携帯で写真を撮るのが便利)。

整備振興会で自賠責保険の更新や印紙を購入

クルマを止めたら、車検証、自賠責保険証などを持って(バインダーに挟むと便利)、場内の陸運振興センター・整備振興会が入っている建物へ。
ここで自賠責保険の更新手続きと、継続審査のために必要な用紙と検査手数料印紙・証紙、自動車重量税印紙を購入。(陸運支局周辺の、代書屋でも購入可)。

書類は車検証の内容を書き写すだけと簡単

継続審査申請書、自動車検査票、自動車重量税納付書の3種類に必要事項を記入する。 役所の書類なので、少々面倒かもしれないが、車検証が手元にあれば、必要事項を書き写すだけなので、大した労力は必要ない。受付のところに、記載例が貼ってあるので、それを見ながら書けば誰でも書ける。
以下の写真はクリックすると拡大します。

 

自分で記入しても10分ぐらいでできるが、時間がない人や自信がない人は陸運支局のそばにある代書屋に依頼する手もある。費用は1000~2000円。
費用節約のためにユーザー車検にチャレンジするなら、これらの書類は自分で書いた方がお得だろう。

車検の予約番号をプリントしておく

書類が揃ったら受付となるのだが、ここではインターネット予約をしたときの「予約番号」を伝える必要がある。予約受付メールの画面をプリントアウトしておくと安心だ。

検査コースから指示通りにラインへ
屋外で待っているところから検査開始

書類の受付が終わったら、クルマを指定された検査コースに並べる。

さらに係員の指示に従って、検査ラインにクルマを並べる。

 

検査は、まず車検証や申請書類の内容と車両が同一であるかをチェック。
次に、車体・灯火類、ワイパー&ウォッシャー、ホーンなどの外回りの検査。

ここで最低地上高(9cm以上)や、タイヤ&ホイールのハミ出し、スモークフィルムが保安基準に適合しているかどうかが点検される。
(取材日当日、ちょうど目の前のクルマにナンバー灯の球切れが見つかり、NG判定が出ていた)

また、メーターの警告灯が付いていないか、ハンドルにホーンマークはついているか、社外のシフトノブならシフトパターンは書いてあるか(純正シフトノブならOK)など、内装関係もこの時点でチェックされる。

内回りと外回り検査を無事クリアしたら、いよいよ検査ラインへ。

ユーザー車検初心者であることを
「ハザードランプ」で検査官にアピール

検査ラインに入るとき、ハザードランプをつけておくと、はじめてのユーザー車検、あるいは不慣れな人だということを検査官にアピールでき、いろいろサポートしてくれるので覚えておくといい。

 

ブレーキテストではいつもより強くペダルを踏む

ラインに入ったら、頭上の電光掲示板の指示に従って、まずはサイドスリップ検査。

 

続いてブレーキ検査とスピードメーター検査。これも頭上の掲示板に従ってクルマを進めれば良い。スピードメーター検査は、ローラーの上でアクセルを踏んで加速し、メーターが40㎞/hを指したら長めのパッシングを行う。

ブレーキテストは、前輪をブレーキテスターに載せ、シフトレバーを“N(ニュートラル)”に。サイドブレーキは解除しておく。電光表示板に「踏む」の指示が出たら、すぐに思いっきり(普段より強く)ブレーキペダルを踏む。

登録年月でヘッドライトの検査方法が異なる

ヘッドライト検査。平成10年9月以降のクルマはロービーム。
それ以前に登録されたクルマはハイビームで測定する。自分のクルマの年式は覚えておく必要がある。

排ガスの検査は、プローブと呼ばれる棒を自分でマフラーの出口に差し込み、電光掲示板に「○」が点くのを待つ(アイドリング状態でOK)。

排ガスの検査までクリアできたら、記録器に自動車検査票を挿入して検査結果を記録。

最後は、下まわり検査。ギアはニュートラルで、サイドブレーキは引かずに待つ。
クルマが揺らされたり、ブレーキをかける・離すといった指示が出るので、それに従うだけ。

電光表示板に「○」が表示されたらクルマを前進させ、結果を自動車検査票に記録。

これで全ての検査がめでたく終了。検査コース出口の総合判定係のところに書類一式を提出し、「審査結果通知欄」に合格のハンコをもらう。

あとは受付棟に戻って書類一式を提出し、新しい車検証と検査標章(車検シール)をもらえば、すべて終了!ただし、駐車違反の放置違反金が未納だと、「車検拒否制度」の対象となり、検査に合格していても、新しい車検証が交付されないので要注意(平成18年6月1日から施行)。
(取材日も、目の前にそういう人がいた……)

車検シールもその場で張り替え、めでたく車検の有効期限は2年延長。余談だが、この車検標章は2017年1月からデザインが変わり、一回り大きくなっている。写真の上の車検標章が従来のシール=3cm四方。下の新しいシールは4cm四方。文字の大きさも1.5倍に。

ユーザー車検のポイントをもう一度まとめてみよう

とくにメンテナンスは非常に重要。
「年式の新しいクルマだから、メンテナンスしないででユーザー車検に」というのは問題だ。
消耗部品の点検だけは、年式、走行距離に関わらずきちんとやっておくことが必要。
逆に「古いクルマだから、ユーザー車検は難しい」とあきらめる必要はない。

現に今回の取材車は、平成4年式、走行距離20万6100kmのスカイラインGT-R(R32型)だったが、検査項目で引っかかるところは一カ所もなく一発合格。法定費用6万5430円+予備険代1500円=6万6930円で車検をクリアすることができた(年式が古いので、自動車重量税が約1.5倍も高い!!)。

所用時間は、点検&メンテに2~3時間、陸運支局での手続き・検査が2時間程度。
陸運支局の業務時間は平日のみなので、平日に半日(不具合箇所が指摘され、再検査になったことを考えれば1日)時間がとれて、日頃からメンテナンスには気を配っているという人なら、最少の費用で車検を通すことをできる。ユーザー車検は、クルマの維持費を節約できるメリットの大きい制度といえるだろう。

(レポート:藤田竜太 撮影:成瀬陽介)

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