タイヤ振動の原因は駐車中の「変形クセ」
あまり動かさない旧車系はとくに注意!
一般的な自家用車は、走っている時間より停まっている時間のほうが長い。通勤に使っていなければ、そのほとんどが自宅駐車場または月極の貸し駐車場に置かれている。
ご存じのように停まっている状態では、タイヤは4本それぞれ地面に接している一点で車重を支えている。
つまり地面に接している部分は変形しているわけで、その状態が長く続くとゴム製品とはいえ変形クセがついてしまう。それが走行中にタイヤが原因の振動になるわけだ。しかも、ホイールのウエイトバランスが崩れたわけでないので、バランサーに掛けても発見されることはないから厄介なのだ。
上の写真は極端な例ではあるが、長い時間クルマを停めているとどうしても地面と接している部分は僅かながらも変形している。
本来タイヤは丸いものだが、そんな変形が原因で走行中に振動が出てしまうことが多々あるのだ。
「1週間に1度くらいしかクルマを動かさない方は、止める前にタイヤの空気圧を3.5kgf/cm2以上に高めておくと変形クセが付きにくくなります。動かすときは適正値に戻すのは手間ですが、振動が出るよりマシですからね。それにマメに空気圧をチェックすることで、タイヤのトラブルを予防できます。旧車のように乗る頻度が少ないオーナーさんは、とくに空気圧を高めにするのがオススメです」と語るのは東京都江戸川区にあるタイヤショップ「京葉サービス」の阿部代表。
また、輪留めなどに当てたまま停めておくのとタイヤは変形してしまう。輪留め当てた後、ほんの少しクルマを動かしてタイヤを離すことで予防できる。
駐車場の環境でタイヤが変形しやすくなる
自宅や契約している駐車場の状況が原因でタイヤが変形することもあるそうだ。
京葉サービスを訪れたあるクルマは、新車時からタイヤからの振動に悩まされ1万kmも走らないうちにディーラーでタイヤを違う銘柄のタイヤに交換。それでも少し時間が経つと再びタイヤから振動が出てしまったという。
どうにも解決できないので、京葉サービスで精密バランス取りを施したのだが、1カ月もしないうちに再び振動が出てしまった。
「これはタイヤ本体とか組み付けが原因ではないと思いました。そこでクルマを停めている環境を聞くと、ご自宅は坂道の途中で、坂道に対して直角にクルマを入れる駐車場。しかもクルマを使うのは週に1度くらいということだったので、間違いなくタイヤの変形が振動の原因と判断しました」と阿部代表。
そこで阿部代表は、駐車場の入口より奥の方(=敷地の奥)が平らになっているはずと判断。フロントタイヤが平坦なところに来るようにするため、駐車する方向を逆にするように指示したそうだ。
つまり、これまではバックで駐車していたのを前から入れるようにしたわけだ。
「傾きがあると低い方のタイヤが変形しやすくなります。それがフロントタイヤだとステアリングを持つ手に振動が伝わりやすい(感じやすい)です。それに比べ、リヤタイヤなら多少振動が出てもそれほど気にならない。つまり、どうしても前輪または後輪が傾いたところになってしまうなら、前輪を少しでも平らなところにして変形を抑えれれば解決できるわけです。このクルマのオーナーを悩ませていた振動は、そんな些細なことが原因だったわけです。これはホイールバランサーで計測しても数値上は正常となります。きっとディーラーも悩んだことでしょう」と阿部代表は語る。
このように、些細なことを注意したり気を使えばタイヤの変形による振動は予防できるわけだ。
タイヤの変形を予防する3つの注意事項
- タイヤを輪留めに当てたまま停めない
- クルマの使用頻度が1週間に1度以下なら、停めているときのタイヤの空気圧は3.5kgf/cm2以上に上げる
- 傾斜地の駐車場は前輪を少しでも高い方または平坦なところにする
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