その2 車高調の構造や機能
車高調を構成する部品は理解したうえで、次に知っておきたいのが構造と機能について。
ショックアブソーバの構造だったり、減衰力調整機能の有無など、モデルによってスペックもさまざまだ。自分にとってベストな構造を持つ車高調を見つけよう!!
全長調整式とネジ式のちがい!!
ネジ式はスプリングを下側で支えるロワシート(スプリングロックシート)を上下させることで車高を調整。全長調整式は、これにブラケット(ブラケットロックシート)の位置を変化させる機能が加わり、車高を調整する。
イラストのように、全長調整式はスプリング側のロワシート位置を固定したまま車高を変化できるので、スプリングのストローク量が確保できるためローダウンしても乗り心地が変化しにくい。
逆にスプリングロックシートのみで車高調整するネジ式では、シート位置を下げすぎるとスプリングの”遊び”が発生してしまう。この遊びがなく、スプリングが縮んでいない状態のことをプリロードゼロと呼ぶ。また、車高を下げようとスプリングロックシートを上げすぎるとスプリングのストローク量が少なくなり乗り心地は悪化する。
ネジ式車高調
- 価格は全長調整式に比べてリーズナブル
- 構成部品が少ないためトラブルが起こりにくい
- 車高を落とすほど、ストローク量は減ってしまう
全長調整式車高調
- 車高を落としてもスプリングやストローク量に変化なく、乗り心地が悪化しにくい
- ネジ式車高調と比べて車高調整幅が大きい
- ネジ式車高調と比べて価格は高価
減衰力調整機能は必要か!?
段差やカーブで生じたスプリングの伸縮は、ショックアブソーバ内で発生する減衰力によって抑えられる。
車高調には、あらかじめ減衰力が決められた固定式と、調整可能な2タイプが存在する。
減衰力調整タイプは、調整ダイヤルを緩めれば乗り心地が柔らかくなり、締めるとスポーティな走りが可能と、乗り味を変えることが可能だ。まずは、メーカー推奨値(真ん中に設定されることが多い)から試すことをオススメしたい。
ちなみに固定式では、最もバランスに優れた減衰力を発揮するように設計。価格もリーズナブルなので、走りや乗り心地の変化にこだわらない人はコチラがいいだろう。
こんな人に「減衰力調整付き」がオススメ
- 走りの質や乗り味に変化を持たせたい
- 多人数乗車や荷物を載せる機会が多い人
こんな人には「減衰力固定式」がオススメ
- 乗り心地はオールマイティならば充分
- ローダウンさえできればOKな人
単筒式と複筒式のちがい
減衰力を発生させるショックアブソーバは、ピストンのロッド&バルブ、オイル、バルブの体積変化を吸収するガス室などで構成される。
ショックアブソーバーを構成する筒がひとつの場合は単筒式(写真右)、ふたつになると複筒式(写真左)だ。単筒式はシェルケースがそのままシリンダーとして役割を発揮するため、ロッドの伸縮をオイルとガスで効果的に吸収する。複筒式は、シェルケースの中にもう1本の筒が入っており、この筒の中でピストンバルブが上下する仕組みとなる。
単筒式では、大径ピストンを採用できるので減衰力をリニアに発生できるうえ、オイル量を多く確保できるため熱ダレしにくい。そのためスポーツモデルに使用されることが多い。
また複筒式は構造上、ガス圧を低くできるため突き上げ感が少なく、乗り心地を確保しやすいと言われる。よって、ストリート向けモデルに採用されることが多いのが特徴だ。
こんな人に「単筒式」がオススメ
- スポーツ走行を楽しみたい人
- 減衰力調整で細やかな乗り味を追求したい
- リニアなハンドリング性能を求めたい
こんな人に「複筒式」がオススメ
- 乗り心地重視したいというファミリー
- とりあえず車高調でローダウンしたい
- なるべくコストを抑えたい
ということで、ネジ式と全長調整式、減衰力調整機能の有無、単筒式と複筒式など、
どちらが優れているというワケではなく、それぞれにメリット&デメリットがあるのです。
近年はリーズナブルな海外製も増加し、以前よりも買いやすくなった車高調。
構成パーツや製法(国産)といった品質にこだわるメーカーもあるため、同じようなスペックでも価格差に開きがあることも。あまりにも安い車高調は、オイル漏れや減衰力がヘタリやすいというハナシも聞きます。
とはいえ、愛車を2年くらいで手放すならば、場合によっては無理して高価なモデルを買う必要はないのかも。逆に長く乗り続けたいという人は、オーバーホール対応の高性能品を狙ってみるなど、買い方や選び方はさまざまである。
ちなみに、”いい車高調”ほど、愛車を乗り換えてもリピーターが多いと聞きますよ。
貴方にとって素晴らしき車高調ライフとなりますように!
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