違反と意識していないドライバーが多い
しかしイライラすれば逆効果なことも
高速道路における「追い越し車線」は、文字どおり”追い越す時のみ使う車線”であり、追い越しが終わったら速やかに走行車線に戻るというのが基本。
教習所で学んだはずのルールをすっかりと忘れ、ひたすら追い越し車線を走り続けるクルマはじつに多い。そもそも高速道路で追い越し車線を走り続けるのは「車両通行帯違反」というれっきとした交通違反。
平成28年交通安全白書によれば、車両通行帯違反は高速道路における取り締まりのなかで最高速度違反に次ぐ件数で、違反点数が1点、反則金6000円の罰則が課せられる。
キープレフトを全く意識していない
どの程度追い越し車線を走り続けたらアウトかという点については明確な規定はないが、概ね2kmが目安となる。
高速道路を利用する場合、一定のスピードを維持して走りたいという思惑もあるだろう。たとえ自分のペースより遅いクルマがいても追い越し車線を使えば自車のペースを保つことができる。
しかし、追い越し車線に車両通行帯違反であるという認識をもたず、なおかつ漫然と走るクルマに遭遇すると……。“キープレフト”が基本であることをわきまえ、車両通行帯違反を意識したドライブを心がけているなら、空気を読まずに追い越し車線をチンタラと走るクルマに対してイライラすることもあるだろう。
そのとき、どうするかは【右車線を走り続けるクルマへの対処法】を参考にしてほしい。
「イライラ」の行為に罰則が課せられることも
追い越し車線をチンタラ走るクルマに遭遇したときにイライラするのはわかる。
しかし、「どかんかい!」とプレッシャーをかけるのは紳士的じゃない。車間距離を詰めて前車にピタリとついて走り、パッシングをしたりクラクションを鳴らしたりという、いわゆる「あおり運転」は、これまた「車間距離不保持」という交通違反になる。
とくに高速道路での車間距離不保持違反は点数が2点、反則金は普通車の場合9000円というペナルティが課せられる(行政処分)。罰則についても「3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金」と、かなり厳しい(刑事処分)。重大な交通事故に発展する可能性も否定できない行為だけに、厳罰もやむなしといえるだろう。
週末などの休日は、運転技量が劣ると思われる人や、キープレフトの原則や車両通行帯違反になることを知らないドライバーが特に多い印象だ。結果として追い越し車線を漫然と走り、あなたのドライブプランと心を乱すことになる。
とはいうものの、彼らには悪気はない。運転技量が低いから追い越し車線に出たのはいいが戻れない、または後方を確認する余裕がないなどといった要因で追い越し車線を走り続けているわけだ(そう捉えてみよう)。その現場を交通機動隊に目撃されれば、即取締の対象になるのだから放っておけばいい。
そんなクルマの後を追うように走ったところで、あなたも車両通行帯違反となり、あおっていたと思われれば車間距離不保持違反のダブルで取り締まられる可能性も否めず、いいことなしである。
運転に限った話ではないがルールやマナーを守れず、常識をわきまえない相手にイライラすること自体、損得や価値はおろか、なんの意味もない。だから追い越し車線をチンタラ走るクルマにはイラッとしない。そこはやり過ごしてクールなメンタリティとドライブをキープするほうが断然、オトコマエである。
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