エンジンチューンとNOSで1300馬力
激戦化するR35GT-Rドラッグマシン!
6月11日に兵庫県セントラルサーキットで開催された「ClubRH9ゼロヨン&サーキット走行会inセントラル」で日産R35型GT-Rの国内ゼロヨンタイムが9秒075に更新された。
これまでの最速タイムは富山県のサブライブ9秒148。コンマ07秒ではあるが、わずか10秒以下、400mの勝負にとって、価値のあるタイムなのである。
ゼロヨン(ドラッグレース)で好タイムを記録するには大きなエンジンパワーと軽いボディ。そして高いトラクション性能だ。
日本国内のドラッグレースの市販車をベースとするクラスでは、日産スカイラインGT-R(R32〜34型)が高い戦闘能力を誇る。それは搭載するRB26DETT型エンジンをチューニングしたときの伸びしろの高さ、そして軽量なボディ、さらにアテーサE-TS(4WDシステム)による高いトラクション性能とゼロヨンマシンとしての高い資質を持っているからだ。
そういう意味では、日産R35型GT-Rはヘビー級ボディのため、ゼロヨンでは不利とも言われていた。
しかし、R35型GT-Rが搭載するVR38型3.8リットルV6ツインターボエンジンは、チューニングを施すと1100psを発揮できる潜在性能を持っているのだ。
今回セントラルサーキットのゼロヨンで9秒075を記録した石川県の「TMワークス」がR35型GT-Rのチューニングに着手したのは2013年の夏。
HKS製の鍛造ピストン&コンロッド、GT1000タービンを使いチューニング。約950psを発揮した。
その後、ビッグバルブ(ナプレック製ハイレスポンスキット)を採用してエンジンまわりを再チューニングを施し、3.8リットルの排気量は変更せず、タービンをHKS製GT1000+に換装したことで1100psまでスープアップ。さらにNOS(ニトロ)を追加することで1300psまでパワーアップを実現したのだ。
シャシダイが1100psを超えるとスリップをして計測できないため、実測値はもっと高いかもしれない。
もちろん、1300psのパワーに耐えられるように駆動系を強化。クラッチはネココーポレーションの強化ユニット(試作品)やファイナルサポート(デフまわりの補強パーツ)が投入されている。
しかし、ボディ関係はストック状態。エアコンも内装も残されて、普通のストリートカーとしても使えるようになっている(ナンバー付き)。
タイヤのグリップ力を高めるために
20インチから18インチにダウン
装着するタイヤは、フロントがレースマイスター製ドラッグラジアル(275/45R18)、リヤはM&H製ドラッグラジアル(345/35R18)。R35GT-Rの純正タイヤは20インチだが、タイヤのたわみを使ってグリップ力を高めるためにハイトの高い18インチとインチダウンしているのだ。
R35型GT-Rのゼロヨンは、2ペダルゆえただアクセルを踏んでいるように思われるかもしれないが、じつはパワーがあるだけにドライバーのテクニックとチューナーのセッティング技術がが必要だ。
スタートはローンチ機能を使って、ブレーキペダルを踏んだ状態でアクセルを同時に踏んでエンジンの回転をアップ。しかし、GT-Rの制御系の特性で3秒以上は、その状態を保てない。その間にスタートしないと、エンジンは回転が落ちてしまう。
さらに2速にシフトアップする直前にリヤタイヤがスリップしないようにアクセルコントロールが必要。若干だがアクセルペダルを踏み込むスピードを緩めるそうだ。
シフトアップはすべてパドルでマニュアル操作。レブリミットの8300rpmに到達する直前でシフトチェンジしないと好タイムは記録できない。そこに3速からNOSの噴射。わずか9秒間にこれだけのことを一気に行わないとならないわけだ。
ちなみに、下の映像は最速タイム9秒075を出したときではないが、テスト走行から9秒台を連発していた。
ドライバーが左手に持っているのはNOSの噴射スイッチだ。
車外と車内それぞれの映像から、その速さを見てほしい。
ゼロヨン9秒台のR35型GT-R!
インカー&走りビデオ!
最速R35GT-Rを製作したTMワークス http://tm-works.ico.bz/
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