サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

クルマ感度が高い『若者』は意外なところに集まっていた!【茂原de痛車!】

レベルの高いチューニングを施す
「痛車」だけのサーキット走行会

クルマの趣味には色々なジャンルがあるが、なかでもダントツで変わっているのがアニメやゲームのキャラクターイラストをボディに貼る『痛車』だ。
この趣味に関して、理由はハッキリしないけどどうも違和感を感じるクルマ好きが多いと思うが、それは「クルマ趣味なのか?」という疑問をどこかで感じているからじゃあないだろうか。
しかし、痛車のみのサーキット走行会「茂原de痛車!」に参加するユーザーを見ると、チューニングレベルから走りまでクルマ感度の高さは並々ならぬものがあると感じさせられる。

痛車はクルマ趣味とオタク趣味が合わさったものなので「どっちがメインなのか?」がわかりにくい部分がある。そのためクルマ好きな人には「オタク趣味のネタに自分が好きなクルマが利用されている」ようにも取れるので、それが疑問や違和感となっているという感じだろう。

たしかに痛車乗りのなかには、クルマに特別な興味はなくキャラクターものが好きだから痛車にした人もいる。しかし、キャラクターも好きだが、同じくらいクルマが好き、走るのが好きという気持ちが強い人だっているのだ。

痛車のベース車として人気なのが、車両価格が手ごろでチューニングパーツが豊富(中古品を含む)なスポーティカー。日産スカイライン、シルビア、トヨタ・スープラ、セリカ、スズキ・スイフト、ホンダ・シビック タイプR系などなどだ。

サーキットビギナーが積極的に参加
ドレコンから走行へとステージが変化

そういったクルマに乗っていれば「目一杯走らせてみたくなる」のは世代や趣味は関係なく自然なことなので、じつは一部の痛車乗りは以前からサーキット走行を行っていた。
その動向に気がついた千葉県の茂原ツインサーキットが「痛車だけ集めて走行会をやったら面白そう」となって呼びかけたところ、これが大人気となった。
走行会に来ている人はもちろんだが、意外にも「サーキット走行には興味があったけど未経験だし」とか「痛車だからふつうの走行会には参加しにくかった」と言う層がこぞって参加してきたのだ。

こうして始まったのが「茂原de痛車!」だ。第1回目は2010年に行われ、今年5月を含め14回も開催されている。しかも毎回100台近いエントリーがあるという人気の走行会でもある。また、他のサーキット走行会に比べ、参加者の平均年齢が低いのも特徴だ。
走行の区分けはグリップ、ドリフトに分けられそれぞれスキルごとにクラス分けがある。

ドレコン参加車両

パドックで痛車ドレコンも開催しているのだが、ドレコンに参加していたクルマのオーナーが、ほかの痛車が走る姿を見て走りたくなり、次回は走行会へエントリーするケースが多い。
そのためグリップのクラス分けに、初級クラスよりさらに初心者向け、スポーツ走行自体不慣れな人でも参加できる「入門クラス」を設けて、サーキット走行の敷居を低くするという試みも行っている。
痛い2輪車の「痛単」のクラスもり、このカワサキNinja400Rはウィッグを付けてからヘルメットを被り、革つなぎの上にキャラクターのコスプレをして走行。

このように痛車だってしっかりクルマ趣味なのだ。
しかも年齢層がほかのクルマ趣味より圧倒的に若く、それでいてオタクという感受性の強い性質でもあるので、行動力やクルマ作りのセンスが飛び抜けていたりという侮れない面があったりする。
そんな痛車乗りが集まる「茂原de痛車!」は、次回12月3日(日)に開催される。当日はサーキット内に入場してギャラリーすることもできるし、愛車を痛車に仕上げれば参加できる。

タイムアップを狙って縁石カット!
熱い走りを披露するマシンの仕様は?

ルナ姫@S15さん/日産シルビア スペックR

基本的にクルマはDIYでいじるが、このエンジンはショップに依頼。排気量ノーマルでガスケット交換と東名パワードのプロカムを組む。サージタンクとタービンはトラスト製でエキマニとインタークーラーがHPI製。スロットルはナプレック製を使っている。
ボディーもワイド化していて、サスキットはサーキットのタイムアタック派に人気の玄人的ブランド「スピリット」を選択。
イラストは同人作家の作品.ネットのイラストサイトで見て気に入ったので作家さんにメールを送り、許諾を受けてから使用している。

 

 

ya-1さん/日産パルサーGTI-R

メンテや修理を繰り返して11年目になる日産パルサーGTI-R。このサイズで4WDターボというところが気に入っていて、サーキットイベントのほかにジムカーナのシリーズ戦にも参加しているという。
去年、ミッションブローをしたがパルサーGTI-Rオーナー仲間つながりで中古ミッションを入手して直している。GTI-RのSR20DET型エンジンは純正4連スロットル、バルブの駆動方式をラッシュアジャスターからソリッドに変更、タービン風量アップなど純正チューニングがされている。そこに東名パワードのプロカム260度を組んで中~高回転のパンチをアップ。サスキットはオーリンズ、デフは前後ともニスモ製を使用する。

 

サエゾ~さん/日産スカイラインGTS25t

痛車歴は6年くらいということだが走り始めたのはもっと前。つまりクルマ趣味の途中から痛車になったと言うパターン。
このECR33型スカイラインは、痛車にしてから乗り始めたクルマで用途は主にドリフト。エンジン本体はノーマルだが、タービンはトラストがRB25DET用として50セットだけ限定発売したT518Zを使ったキットを搭載している。ただ、エンジンを壊さないようにブーストは抑えてパワーを控えめにセットしているという。セッティングはトラストのeマネージ アルティメイトを使う。
サスキットはフロントがGマスター、リアがCST製。走りに関しても真剣でドリフトコンテストで評価される走りができるよう、ドリフトの仕掛け方やライン取りなど試行錯誤しながら走っていた。

KDFさん/日産ステージア

痛車歴は12年。このクルマはドレコンやオーディオ系の展示イベントにも参加するというマルチな使い方をしている。
痛車では車体カスタムの方向性でまとまるのではなく、キャラクターステッカーを貼ることが痛車の証。それだけにカスタムに対して視野が広いのも痛車乗りの特徴なので、ジャンルまたぎの行動をする人は多い。貼っているのはPCゲームのキャラ。カスタムには柔軟に対応しているが、キャラは最初のクルマから特定のゲームメーカーしか貼っていないという頑固さも持っている。

ケイさん/スバル プレオFスペシャル

オタク要素はもともと持っていたが、クルマ本体やクルマの運転が好きと言うタイプ。年齢は25歳とのことだがMTが乗りたくてこのグレードを選んでいる。
ステッカーはショップで出力して、貼りは仲間同士でDIY。クルマいじりに関してもDIYが基本。最初はなにもわからなかったが、仲間に教えてもらいながら覚えていったという。
サーキット走行会は茂原de痛車!のほかに本庄サーキットの痛車走行会にも出ている。峠も出掛けるが攻めたりせず飛ばすのはサーキットのみ。現代はサーキットが身近になっているので練習もサーキットで行うという正統派だ。

 

(レポート&撮影:深田昌之)

【関連記事】

モバイルバージョンを終了