スリット付きブレーキローターは
摩擦係数が高く制動力がアップ!
スポーツカーや社外パーツでも採用されるスリット(溝)付きブレーキローター。
見た目がスポーティなだけでなく、この溝が摩擦係数を高めるなどブレーキ性能をアップさせる。
しかもアフターパーツのスリットロータには、純正ブレーキキャリパーにも対応するサイズも設定。
ブレーキパッドでも制動力(制動特性)を高められるが、ローターも決して見逃してはならないブレーキチューンアイテムだ。
ブレーキは、パッドとローターの摩擦によって運動エネルギー(クルマが走っていること)を熱エネルギーに変換して大気解放することで、スピードを落として停車することができるわけだ。
ところが、ブレーキングで発生するダストやローター表面のガス膜が制動力を低下させてしまう。これを排除するのがブレーキローターのスリット(溝)だ。
しかも、このスリットがブレーキパッドの表面で熱で変質した部分を削る(シェイプ)ことで、フレッシュなパッドを露出させ制動力の安定化も図っている。
そしてスリットがあることで、溝をもたないローターに比べると摩擦係数は高くなる(制動力がアップする)。これは、スリットがパッドをシェイプするときの摩擦が加わるからだ。そしてスリットを逆回転するように装着すると、さらに摩擦係数が高くなる。
スリットローターは、摩擦係数が高いため、確かにパッドの摩耗は早くなる。
しかし、それには代えられない安定した制動力を実現することで安全性を高められる。
スリットローターは、スポーティなルックスを楽しめるだけではなく、実力を伴ったチューニングアイテムと言えるだろう。
ブレーキローターは消耗品
摩耗状態をチェックしよう
そもそも国産車の場合、どうしてもパッドのほうがローターより摩耗率が高い。そのためローターを交換する意識が低いが、これは大きな間違いだ。
下の写真のように、ローターのフチと中央部の段差のほか、クラックやヒートスポット(表面がまだらになる)が発生したら要交換だ(シルバーに光っているのは新品)。
そもそもローターには摩耗限界値がある。
基本的に表面/裏面のどちらか片方が1mm減った時点が交換のタイミング。
1枚もののソリッドローター(ベンチレーテッドディスクのように側面に冷却用の穴が存在しない)の場合は、摩耗限界が1mm以下に設定されているケースもある。
また、ブレーキキャリパーの状態にもよるが、ピストンが引き摺りを起こしていると見えないローター裏面が異常に摩耗していることもあるので注意したい。
一般的にスリットローターの溝は、約0.75mm(ソリッドローターのように薄いローターは0.5mm)の深さで彫られている。
「ブレーキローターのスリットが消えたらそろそろ交換の時期ですね。使用するブレーキパッドによって、ローターの摩耗の進行度合いは異なります。それゆえスリットの消え方も異なることも知ってほしいところです。タイヤのスリップサインのようにローターの摩耗状況を目視することが出来るのも、スリットローターのメリットです」とブレーキメーカー「ディクセル」広報の金谷さんは語る。
ブレーキローターが摩耗して交換が必要なときは、社外ブレーキローターでグレードアップできる絶好のチャンスだ。しかも、純正トレードインタイプなら、さほど大きな出費をしないでスリットタイプが選べる。
下の写真のディクセル製スリットローター『SD』は、純正ブレーキキャリパーに対応したサイズをラインアップし、価格は¥14,000(税別)〜。もちろん、スリットを持たないスタンダードタイプ『PD』も設定。車種を問わず純正ローターより安い価格設定をしているコストパフォーマンスの高さが魅力だ。また、どちらのローターでもオプションでローター中央部をカラーリングすることも可能。
カラーは、ブラック、イエロー、ブルー、レッド、シャンパンゴールド、ピンクを用意。ローター価格にプラス¥8,000(税別)のオプションだ。
ブレーキローターは、安全性を高めると同時にホイールの間から見えるため、クルマの足元ドレスアップとしても欠かせないアイテムといえるだろう。
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