日本の強い物流の実現に向けて
5社で取り組む”理想のマッチング”
現在、トラックの輸送において問題となっているのが「空車回送」というもの。例えば、大阪の運送会社が、大阪発→東京着の荷物を届けた後に復路となる帰りが空荷の状態で走るということ。
統計によれば、中・長距離トラックの空車回送率は30%にもなるという。現状のままでは人件費、燃料代、高速道路代、そしてドライバーの労働環境など、悪循環が続くことになる。
9月20日(水)、この物流課題の解決に向けて「ドコマップジャパン」、「富士運輸」、「トラボックス」、「イーソーコ」、「NTTドコモ」が新たな取り組みを発表。
トラックの動態状況や空車状態を荷主や運送会社に提供する情報サイト「docomap JAPAN」を開設。5社による合同記者会見が行なわれた。
新しい取り組みというのは、配送に関わる荷主や運送会社などが必要な情報を”地図上”に表示。配送のマッチングを行なうためのプラットフォームを「ドコマップジャパン」が提供し、車両の位置情報などを運送会社どうしで共有化するというものだ。
すなわち、全国に広がる運送会社の空きトラック情報、倉庫情報などを、ひとつのプラットフォームに表示させることで、他社の空きトラックがスマホなどでチェック可能に。これまで馴染みの会社間でしかできなかった荷物の受け渡しが、幅広いマッチングを利用することで空車回送を減らすことが可能となるわけだ。
コラボした5社のひとつ、「富士運輸」といえば1,000台以上のトラックを有する奈良県では最大級の運送会社。すでに、自社トラックは全台に採用することで完全可視化を実現している。
「物流が増えるなかでドライバーは不足がち。この状況を空車回送の削減で効率化すれば、ドライバーの労働生産性はさらに高まる」とは、富士運輸株式会社・代表取締役社長の松岡弘晃氏。同氏は、株式会社ドコマップジャパンの取締役も務める。
株式会社NTTドコモの常務執行役員・関西支社長、紀伊 肇氏が手に持つのは、トラックに取り付けるための小型端末「DoCoMAP」。情報登録すれば、マップ上にトラック位置が表示される仕組みで、積載量や車両写真など詳細な情報まで得ることができる。
初期費用はかからず、月額1,480円で利用可能。マッチングによる仲介手数料も不要だ。
さらに13,000社以上の運送会員を持ち、荷主と運送会社とのマッチングサービスを提供する「トラボックス」や、日本最大級の倉庫物流ポータルサイトを展開する「イーソーコ」もタッグ。
トラック情報を有効活用できる強力なパートナーも参加している。
ドコモの「かんたん位置情報サービス」を基盤技術に、「富士運輸」が運送業に特化した位置情報システム『DoCoMAP』。11月1日、「ドコマップジャパン」から提供されることになる。
産業のインフラである”物流”の効率を上げることは、輸送業社やドライバーだけでなく渋滞緩和やエネルギーロス・環境にとっても大きなメリットになるだろう。
(撮影&リポート:Auto Messe Web編集部)