ヤマト運輸が厚木〜大阪で実用実験開始
大型トラックの2倍の輸送量を実現する
宅急便大手の「ヤマト運輸」は、2016年より運用を開始した車両全長21mというフルトレーラーに加え、日本初となる25mフルトレーラー『スーパーフルトレーラー25』の導入を発表。輸送力を従来の大型トラックの2倍となり、深刻化するトラックドライバー不足を省人化を解消するという。
「ヤマト運輸」ででは、この25mトレーラーを厚木、中部、11月より稼働を開始する大阪府茨木市の総合物流ターミナルとなる「関西ゲートウェイ(関西GW)」間での年内運用を予定している。
物流業界では、幹線輸送を担う大型トラックドライバーの人員不足や高齢化が深刻な問題になっている。さらに労働人口の減少などの将来を見据え、国土交通省はトラック輸送の省人化を推進するため「ダブル連結トラック実験協議会」を設立して、車両長の基準を最大25mメートルまで緩和する実験を実施。
「ヤマト運輸」は、新規格25mフルトレーラーを厚木GWと関西GWの2拠点それぞれに1台ずつ(計2台)を導入する予定で、それぞれの物流ターミナル間の幹線輸送を実施する。
つまり、東名高速〜名神高速を走行していれば、この25mトレーラーに遭遇する可能性はあるわけだ。
ちなみに上の写真の『RBP』とはローレットボックスパレット(1040×1040×1700mm)のことで、前方のトラックに18本、後方のトレーラーに20本が搭載できる。
すでに「ヤマト運輸」が導入する車両全長21mフルトレーラー(下の写真)は、2016年後半より厚木と中部の物流センター間を走行している。
下の写真は「ジャパントラックショー」に登場した25mトレーラー。2016年9月に神奈川県横浜市で開催された「ジャパントラックショー」で登場した。2段式トレーでバイクの積載台数をアップさせている。
そもそも日本の道路を走れる一般的な最大全長は12m。車両全長16.5mのセミトレーラーや18mのフルトレーラーは、高速道路ならば特別な許可を必要とせずに走行できる。
つまり、その長さを超える今回の25mフルトレーラーや従来の21mフルトレーラーは、走行ルートなどを申請することで走行できるわけだ。
下の写真は、車両全長17.5mのセミトレーラー。トラクター(牽引車)には荷台を有していない。
異事業者のトレーラーを牽引
業界全体で輸送効率が向上する
車両全長25mフルトレーラーにするメリットとして、1台での最大輸送量が拡大・高効率化することはもちろん、複数の事業者の荷物を同時輸送することも可能となる。事業者の壁を越えることで、業界全体の輸送効率の向上につながることは間違いない。
上の25mトレーラーのイラストを見て、21mトレーラーと異なり車軸間が広いことにお気づきだろうか?
従来の21mトレーラーはセンターアクスル方式で、車体中央部にホイールが付いている。ところが25mトレーラーはドリー式を採用。トレーラーの前軸には操舵可能。トレーラーを引っ張るトラックの後輪と同じ向きとなるが、それでも回転半径は小さくできるそうだ。
ヤマト運輸では、この25mフルトレーラーのお披露目を10月5日に大阪府茨木市で行われる関西GWの開所式に展示する予定だという。