エアロパーツのベース型となる
「クレイ」が完成するまで
今回の工場見学は、FRP製エアロパーツの開発現場へ。前回は、最新製法の「3Dプリンター編」をお届けしたが、そもそもFRPとは”Fiber Reinforced Plastics(ファイバー・レインフォースド・プラスチック)”の略で、樹脂のなかにガラス繊維などを入れて強度を向上し、軽量であることが大きなメリット。アフター系エアロのなかで最もメジャーな材質といえよう。
その製作方法は、クレイモデルからマスター型を作るところから始まる。クレイモデルとは、デザイナーやモデラーによって製作された粘土状のベースデザインのこと。そこから型どった石膏型から作られた状態をマスター型といい、車両に装着して微修正/最終確認が行われ、さらに精度を高めた生産型が作られる。
というわけで、ミニバンからインポートカーまで多彩なラインアップを誇る「ROWEN(ロェン)」の開発現場にお邪魔し、マスター型の基本となるクレイモデルが完成するまでを追った。
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【01 イラスト案】
ベースデザインのスタートラインは、デザイナーがローダウンしたボディをイメージして手書きで描く。
現車に合わせて徐々に具体化していき、最終的にはリアルなCGが製作され、完成品では見事に再現されることになる。
【02 クレイを温める】
エアロパーツの原型を作り出すのは、円柱型にカットされたインスタントクレイと呼ばれるもの。柔軟性を持たせて加工しやすいよう、ヒートボックス内で71度に保温されている。
なお、削り落として使われなかった分は再利用が可能だ。
インスタントクレイとは、クレイモデルを製作するための柔軟性に富んだ加工しやすい粘土のこと。
ベースデザインに合わせて荒盛りした後、工具を使って削り出すことでデザイン通りの形状に仕上げていく。
【03 ベースデザインを成型】
CGの図面を見ながらインスタントクレイを盛り付け、凹凸を製作していく。
この際、イッ気に製作するのではなくまずは半分から。左右対称にするため細部を採寸した上で、同じ形状になるようにもう片方を忠実に製作する。
クレイの表面を削って立体感を出していく。面が交差する複雑なデザインを採用しているため、高度な職人技が要求される。
左右対称のバンパーの場合、まずは片方だけを完成させる。定規と水平器を使ってもう片方を同じように製作していく。
クレイ成型するモデルスタジオ内は、クルマの水平状態を常に実現できるプレートをセット。室内温度は24度をキープし、湿度も一定の基準が満たされている。
これによりクレイが変形することなくキレイに固まるという。
成型時に必要な道具を見せてもらった。
このように、加工する箇所に適した特殊な工具を使い分け、細かなアールや複雑な面を再現していくのだ。
今回は、クレイモデルの完成までを追ったが、そのあとの流れを簡単に説明しておこう。
クレイ制作後、完成品を量産していくための型作り(マスター)を行なう。クレイモデルをベースにして雌型の石膏型を作るのだ。
*写真はフェラーリ458用のリアガーニッシュ
商品を量産するには生産型が必要。まず、最初にクレイモデルから作られるのが石膏型というもの。この型から作られる製品は完成度に劣るため、さらにマスターモデル→生産型が作られる。
その後、石膏型にFRPを貼ったマスターモデルが制作。
このマスターモデルから作られる雌型の生産型から完成品が量産されていくことになる。
完成したエアロパーツはハーフ&バンパータイプ共、ひと目で「ROWEN」と分かる機能美が漂う。ダクトやリップの周辺にアクセントとして加わる華麗なLEDスポットなど、ブランドがこだわるコンセプトも踏襲された。
もちろん、これは繊細に描かれたベースデザインありき。我々が手にするエアロパーツは、影の立役者のデザイナーやモデラーによって見事に3次元化されているのだ。
国産から輸入車まで幅広くカバーする『ROWEN』エアロパーツ
SPECIAL THANKS:ROWEN(ロェン)