どこか“ドンくさい”雰囲気を
ちゃんと残して魅力に変える
輸入車スタイルアップの魅力を広く知らしめた名車、VWゴルフ3(Mk.3)。
それをイマ乗りこなすなら、軸は純正基調&シンプルに置きたい。
独特のユルさを生かすことで、”Mk.3″は再び、輝きを取り戻す。
輸入車カスタムの専門誌「af imp.」が創刊した1994年といえば、「ゴルフ3」こそがバリバリの現役だった時代。
その頃からすでにゴルフ2はエンスーな匂いがあったけれども、ゴルフ3はスタイリングそのままにどこか優しく、輸入車×スタイルアップの楽しみ方を身近にしてくれた、ひとつのターニングポイントのような存在だったと思う。今や20年以上も前のクルマ。ゴルフ3をきっかけにワーゲン乗りの道に入った人も少なくないだろう。ゴルフ3は間違いなく、インポートカスタムにおける“名車”だ。
と、輸入車スタイルアップの発展に大きく寄与した3代目だが、その後は酷な運命が待っていた。「エコカー補助金」である。車齢13年以上経過したクルマを抹消し、新車に買い換えたら助成金が出るという環境対策。2009年〜2010年に実施された国の政策に、ちょうどハマり込んだのがゴルフ3だった。
2010年の時点で13年以上前といえば、97年式が最終となるゴルフ3と合致。つまり、このタイミングで一気に手放されることとなり、多くが鉄屑にされてしまった現実がある。ネオクラシックの盛り上がりとともに、ゴルフ3は脚光を浴びてもいい素材なのだが、残念なことにタマが「残っていない」のだ。
そんな経緯もあって、粛清を逃れた個体を探し出し、手厚く保護して、今の感覚でシャキッと仕立てて乗ることの歓びは格別。
そのためのアイディアは、希少なゴルフ3の中でもとくにレアな左ハンドルの”GTI”をデモカーに擁する『ユーロマジック』が持っていた。同店の廣岡代表はゴルフ2、3の熱烈なファンであり、自社ブランド『ブーメラン』から古いゴルフをイマ楽しむためのパーツを手がけるネオクラメイクのキーマン。
ゴルフ3のポイントについては「どこかドンくさい感じがゴルフ3の魅力。灯火類をHIDで白くしたり、クリスタル系のレンズでキラキラ感を出すと逆に古臭い。新しくするんじゃなくて、オリジナルのドンくささを残すことを意識したいですね。黒モールの前期型ならば、そこは大いに生かすべき」と説く。
シンプルな造形と適度な厚み、前方への迫り出しが効いたリップは『ブーメラン』製。ライトは純正ベースでインナーを一部ブラック化。低グレード純正のオレンジウインカーでユルさを出した。
サイドには『メタルプラスト』のステップを装着。デモカーではデカール優先でサイドモールを外しているが、もちろん残したままでもOKだ。
足元には、『ブーメラン』製オーバーフェンダーを生かして9.5Jリムをインストール。ナローボディならば、8〜8.5J×16あたりがゴルフ3にはジャストとなる。
特徴的なバンパーモールはシボ取り&半ツヤブラックでリペイント済み。ゴルフ3は黒樹脂部分の多いクルマ。そこをキレイに塗り直すだけでも全体像は引き締まって見える。
また、レンズまわりはクリスタル系でキラキラさせたりしないのがユーロマジック流のネオクラ作法。デモカーでは純正イメージそのものの「ヘラー」製レッドテールを採用した。
やや斜めに振ったマフラーはワンオフにて。旧車はまずメンテをしっかり行ってからカスタムに進むのが基本。その中で必要に応じてチューニングパーツも組み込みたい。
デモカーは、レアな左ハンドルのGTI。『エディルブ』のフルバケットシート、『レナウン』のディープコーンと、内装はレーシーなアイテム選択でイメージを整える。
そして、往時の定番アイテム、『カーマイ』のゴルフボール型MTシフトノブトップが復刻。ゴルフ2などにも間違いなく似合うレトロフィットアイテムだ。
ユーロマジックのゴルフ3は、デモカーゆえに派手やかな演出が施されるが、ベースメイクの部分を透かして見ると、意外なほどユルく、純正基調に徹していることに気づく。
ある程度イジッてある個体を手にしたなら、まずは純正ベースに戻していくことも、イマドキに乗るためには必要な手順といえそうだ。
SPEC
ブーメラン・フロントリップスポイラー
ブーメラン・オーバーフェンダーキット
メタルプラスト・サイドステップ
マークレスグリル
ヘラー・レッドテール
純正ヘッドライト加工
樹脂パーツ各部・シボ取り&ハーフグロスブラック塗装
ワンオフマフラー
オールペン
ロティフォームSNA(9.5×16)
クムホ・エクスタ(205/40)
大阪JDM車高調キット
レーシングナット
エディルブ・フルバケットシート
レナウン・ステアリング
製作ショップ:ユーロマジック TEL06-6840-3269
http://www.euro-magic.com/