足元はあえての”鉄チンワイド”を履く
比類無き破壊力で見せるベルギーの若きオーナー
ノーマル派が卒倒しそうな刺激的なネオクラ・カスタマイズをやってのけたのは、ベルギー在住のオーナー、Tom。
湧き上がってきたイメージを、曾祖父から譲り受けたメルセデス”W124″というキャンバスに叩きつけた。
“W124″という型式を耳にして心躍るのは、間違いなく40歳代より上の読者だろう。
メルセデスのミディアムクラス、つまり初代のEクラス。モダンになったW124は、ヨーロッパはもちろんのこと日本でも大ヒット。ポルシェと共同開発をしたエンジンを積む限定モデルの500Eやステーションワゴン”TE”は今でも人気が高い。しかし、ベルギーから届いた”W124″は、ノーマル派が腰を抜かすほどに衝撃的なカスタムワークが施されていた。
オーナーは26歳。曾祖父が乗っていた”W124″を譲り受けたのがきっかけとか。何より際立っているのは異様に張り出したフェンダーアーチ。ワンオフで作ったという流行りのビス留めスタイルは、張り出し具合で勝負するという押しの強い造形だ。強烈過ぎるボリュームは、アーチ内に収まる極太ホイールのために存在するはずだが、フェンダーが先なのか、ホイールが先なのか、いずれにせよ目眩がするほど刺激的なスタンスである。
今となっては小振りなノーマルボディこそ、この巨大なフェンダーが引き立つ。アンバランスとも思えるほどのサイズ感が、他にはない唯一無二の存在感を生み出しているのだ。
そこに収まるフラットなホイールは、なんとマットブラックにペイントされた鉄チン(スチール)ホイール。ワイド加工されており、特にリアは超深リム仕様に。サイズはワンオフゆえに不明だが、真後ろからのショットで確認してみるとインセットは間違いなくマイナス値だろう。
そして、この”W124″を異様な存在としているのが、全身を覆い尽くすラッピング。戦闘機のような退色したグレーを基調に、汚れやサビ痕を施したことで、ミリタリー感たっぷり。フロントフェンダーのみチェッカープレート的とし、雰囲気を変えているのも面白い。
『キーンサスペンション』製のエアサスで、深く沈み込ませたフェンダーに収まるのは鉄チンワイド。フロントは浅リムで仕上げた。
逆にリアはマイナスインセットに振った超深リム仕立て。ディープなリムに描かれた”鍛造なんてク●くらえ!”のメッセージがオモシロイ。
内装はすべて剥ぎ取られ、スケルトン状態に。何も無い室内に、ノーマルステアリングという絵柄がなんともシュールだ。
内装を見れば、骨格だけのレーシングシートが前後に収まっていた。本来ならばパッドをつけて使うのだが……。このオーナー、じつにストイック。
『AccuAir』のコントローラーはワンオフのセンターコンソール上にセット。無骨なパネルがなんともいえない雰囲気を作る。
見た目のインパクトも抜群なロールケージがウィンドウ越しに。ドイツの高級セダン”W124″とのギャップがたまらない。
オーナー曰く「ディーゼルで遅いからターボを組んだBMWエンジンに載せ替える」なんだとか。
思いつきだけで突き進んで行っている感もあるけれど、これもまたネオクラならではのハジケた遊び方といいえるだろう。
SPEC
フットワーク:キーン・サスペンションズ/アキュエアー、スチールホイール・ワイド化
ボディワーク:ワイドボディ加工/ワイドフェンダー、ラップジャンキーズ・ラッピング、ブラックテールライト/ブラックグリル
インテリア:キルキー・レーシングシート、ワンオフロールケージ/センターコンソール、レーシングハーネス