空冷ビートルで手の入ってない箇所は
ボディカラーくらい!?
カーボンパーツを多用したボディワークと排気量をアップしたタイプ4用エンジンでレーシーに仕上がったタイプ1をドイツで発見。ストイックなまでの作り込みが光る空冷レーシングビートルを紹介しよう。
ビートルはいつの世代でもオーナーに強く愛されている。
特に空冷時代の”タイプ1″は、徹底的に新車時の状態を貫いているご神体のような個体もいれば、アメリカに渡ってキャルルックをまとった個性的な車両もある。日本でも”タイプ1″愛好者は多く、休日になるとミーティングが開かれていたり、得意とするショップにはオーナーが絶えず集まる。
そんな偉大な”タイプ1″を生んだドイツ本国はといえば、オリジナル派からカスタム派まで幅広くいるようだが、今回出会ったのは過激なチューンドモデル。スポーティなショートシフターをリリースする「CAE」の取材中に紹介された個体だ。
撮影のために車両を出して欲しいと告げると、オーナーはケーブルを繋いでエアをパージしてジャッキダウン。そう、この車両はサンデーレースを楽しむためのレーシングカーで、なんとエアジャッキが備わっていた。
撮影の位置決めのため2人の大人で手押ししたが、とくに力んでいる様子もなし。訊けば、ビスで外せるボディパネル(フロントフード/エンジンフード/フェンダー/ドアなど)はすべてカーボン製で、徹底した軽量化が施されていた。その重量は790kgという。
パワーは212hp、0〜100㎞/h加速は5.5秒、最高速は204km/hというから、その実力はスポーツカーも真っ青の本格派・空冷レーサーなのだ。
その肢体を見れば、ビルシュタイン製の車高調で制御された車高に、『エイボン』のレーシングスリックと鈍いゴールドに輝く『BBSレーシング E49』がピタリと収まる。オーバーフェンダーは太いタイヤを収めるためというよりも、トレッドを広げてコーナリングスピードを上げるためのようだ。
そして、ドアを開くと再び驚きが待っていた。
インテリアパネル(ダッシュボード/ドアパネル/フロアカバー)はカーボン製であり、ディープコーンのステアリングの奥に鎮座しているメーターは『スタック』、フルバケットの『レカロ』シートに4点式ハーネス、フルロールケージと、装備すべてがレーシーである。
フロア中央に直立しているのは『CAE』製のショートシフター。全身に渡って徹底的にチューニングが施されており、手が入っていない場所はほぼない様子だ。唯一のノーマル部分はボディカラーとブレーキランプくらいなもの。
空冷ビートルはネオクラではなくすっかりクラシックの領域だが、今のクルマに混じっても突き抜けた存在感を放っている。
[SPEC]
エクステリア
カーボンボディ換装/オーバーフェンダー
インテリア
カーボンダッシュボード/スタック・メーター/CAEウルトラシフター/ヘルゴ・アルミニウムロールケージ/レカロ・バケットシート
フットワーク
BBSレーシング(9.0J:10.5J×16インチ)/エイボン・レーシングスリック/ビルシュタイン車高調/エアジャッキ
チューニング
2.6ℓエンジン換装/ドライサンプ化/ZF LSD/APレーシング4ポッドブレーキシステム
[リポート:オートファッションimp編集部]