各種サイレンはワンタッチ作動。
高度な治療に対応する処置装置も
いざという時に瞬時に駆けつけて病院に送り届けるとハヤテのように去っていく…、じつに頼りになる存在「救急車」。
今回は大阪モーターショー2017で展示されていた「救急車(救急広報車)」を取材できたので、レポートしましょう。
一般的に「救急車」は、運転席の機関員、助手席で指揮をとる隊長、さらに後部シートに隊員1名の計3名が1チームとなって編成されているようです。
まずは、運転席へ。目に飛び込んできたのはセンターコンソールに鎮座する大きなモニター。コレ、救急車と本部とをGPSで繋げ、当該車両がどこを走っていて、どんな状態にあるのかを把握できる「ANSIN(あんしん)システム」と呼ぶハイテクを駆使した情報端末。
大阪府では1998年より導入され、カーナビ機能もついています。
さらにコクピット周りに注目すると、ハンドルの付近に「ウー」と書かれたスイッチ発見。
通常、「ピーポー〜ピーポー…」というサイレン音(住宅街向けの低音量モードもあり)を鳴らしながら走行しますが、交差点内に侵入する際には、注意喚起のため「ウー〜〜〜」というサイレンを使いますよね。救急車の存在をさらに知らせる専用のサイレンボタン。「ウー」というわかりやすい文字と図柄が印字された可愛いデザインだったのですが、その位置は車種や年式によって変わるようです。
他にもインパネのセンターには「右に曲がります」、「左に曲がります」など、使用頻度の高い定型文を発声できる専用端末の機械も装備。純正ナビも備わっております。
そして救急車のメインの仕事場、後部スペースには、緩衝装置付きのストレッチャーをはじめ、10リットル容量の「酸素ボンベ」、嘔吐物等を吸引する「吸引器」、患者監視装置の「モニター」を装備。
実際には、天井部や壁面にはさらに多くの装置や処置システムも備わり、高度な処置ができるようになっています。
今回のベース車両はハイエースのスーパーロング・ハイルーフ。スライドドアは全て手動なのは、誤作動防止のためなのでしょうね。
ちなみに、平成28年度実績として、大阪市の救急車の出動回数は約22万6千件、1日平均だと600件も出動していることになるそうです。大阪市内にある救急車は63台ということなので、およそ1台あたり1日10回以上の出動を余儀なくされているということ。
救急車や救急医療は、本当に緊急で医療を必要とする人のための大切な限りある資源。
「病院までの足がない」「病院で待つのが嫌」という理由で、むやみに呼ぶべきではありません。
また、少しでも隊員のストレスを与えないよう救急車が近づいた際にはスムーズに進路を開けて通してあげられるように気配りお願いいたします!
(撮影&リポート:木村隆之)