車高調選びに役立つ4つのキーワード
「減衰力」や「全長調整式」ってなに!?
ローダウンの代表的な手段といえる車高調は、ホイールと並んで愛車の足元を引き締める重要なアイテム。しかし、カー雑誌やネットでスペックを見れば、全長調整式、複筒式、減衰力調整機能など、なんだか難しそうなワードが並ぶ。なんとなく意味がわかる人はいいけど、その内容を知らない人も多いはず。
というわけで、前編と後編に渡って紹介する「車高調の基本知識」シリーズ。まずは、名称やスペックについて知ってみよう。
これから車高調を選ぶビギナーには、まず純正の乗り味を基準として、ロールの少ないカッチリとしたアシがいいのか、それとも純正に近いソフトな味付けがいいのか好みがあると思う。その答えとして、ダンパーのタイプがロールを減らしたいようならば”単筒式”、柔らかめが希望なら”複筒式”と、大きく分けられる。
次に大事なのが落ち幅。どのぐらいローダウンさせたいか決めて、それに対して各モデルの車高調整範囲(数値)をメーカーのホームページやカタログなどで照合しよう。
こうして2つの要素を確認することで、おのずと自分の理想に合う車高調が見えてくるはずだ。
まずは車高調各部の名称を知ろう!
【知っておきたい重要キーワード】
その1<<<単筒式と複筒式
大径のピストンを採用できるので減衰力をリニアに発生できるうえに、オイル量を多く確保できるため熱ダレしにくい。そのためスポーツモデルに使用されることが多い。
複筒式はシェルケースの中にもう1本シリンダーが入っている。その構造上、ガス圧を低くできるため突き上げ感が少なく、乗り心地を確保しやすい。ミニバンやワゴンに多く採用されるのはそのためだ。
「ソフト系orシッカリ系?」
求める乗り味で大きく別れる
一般的に単筒式はストロークスピードが速く、可動範囲は短い。逆に複筒式はストロークスピードが緩やかで稼働範囲は広い。
ポイントになるのはクルマの挙動をどう制御するかで、コーナーでのロールや横方向への動きを抑えたいならカッチリとしたフィーリングの単筒式、不快な突き上げをなくしたいならしなやかなフィーリングの複筒式がオススメだ。
乗り心地重視ならば複筒式。コーナリング時などにボディが不安定に横揺れするのが嫌なら単筒式がオススメ。一般的にロールが少なくシッカリ感の強い乗り味が特徴だ。
その2<<<全長調整式とネジ式
スプリングシートの位置を変えずにローダウンできる全長調整式。
左の「全長調整式」は、ロアブラケットの位置を変更できるため、車高を下げてもストローク量は変わらず、乗り心地に悪影響が出にくい。対する「ネジ式」は、スプリング下部にあるロックシートを上下させて車高を調整する。シンプルな構造ゆえにコストも抑えやすいが、車高を下げすぎるとダンパーが底付きしたり、バネの遊びが発生し車検に通らなくなることもある。
また、”どれぐらい車高を下げたいか”も車高調選びのポイント。ダウンサスよりも少し落ちれば良いのであれば「ネジ式」でも十分にカバーできる。また、部品点数が少ないネジ式は剛性や重量面で有利。ローコストなモデルが多いのも魅力だ。
具体的に落としたいダウン量を把握しているならば、車高調メーカーが公開している”車高調整範囲(純正車高比)”を見て判断するのもいいだろう。
その3<<<減衰力調整
前者は、メーカーがベストな減衰力を発生させるように車種別にセッティング。後者の”調整式”は、緩めれば乗り心地が良くなり、締めるとスポーティな味付けになる傾向だ。まずはメーカー推奨値(真ん中に設定されていることが多い)から試すのがオススメ。ダイヤルに締め込んでクリックが止まった所(ハード)から緩めていき、自分好みに調整するのがいいだろう(乗り心地重視ならば逆の手順でもOK)。
その4<<<バネレート
例えば10kgの重りを載せた時に1mm縮むバネは、10kg/mmということ。思い切りローダウンしたいならば短いバネを使う必要があり、必然的にレートは高まる。ただし突き上げ感は出やすく、逆に柔らかくすると乗り心地はソフトになるがロール量は大きくなる傾向だ。
もし、柔らかすぎと感じるならバネに「プリロード」を掛けて補うのも一手。このプリロードについては、改めてお伝えしよう。
次回の「車高調の基本知識」は、キーワード続編やセッティングについてお届けします!