古き良き時代が生んだ奇跡の
革新ポイントを振り返る
初代はすでに古く、現行型や先代型は新しすぎて値段が高いことから中古車市場でスバリストからの注目度が高まっている2代目WRX。
いま、あらためて振り返ることで本当のすごさが浮き彫りに!
悲運の2代目GD/GG型は全車から熱い魂を感じる
歴代『WRX』の中でもっとも激動の変化を重ねた2代目GD型は、今こそもっと高く評価すべきクルマだ。飛躍的に高まったボディ剛性や待望の高強度6速MTの搭載などで、ロードカーの走行性能は最初から好評だった。
また前期型の丸目ヘッドライトの評判が芳しくなかったことや改造範囲の狭いモータースポーツ競技で車重増がネックとなり、ライバルに勝てなくなったことでイメージ的に大きく損をしてしまった。GD型は個人的に”悲運の名車”だと思っている。
デザインと実戦での戦闘力の両面において大きく変わらざるを得ない状況に陥ったおかげで、その後の技術革新を推進させる原動力に。またデザイン面でも、この時代の関係者が苦労に苦労を重ねたものが糧となり、のちのモデルでの成功につながった。
今日のスバル車の躍進と人気は2代目『WRX』改良と開発の成果であるとさえ思える。激変を繰り返したおかげでアプライドごとの違いの大きさが面白く、中古車市場でも若者を中心に注目度が高まっているのは良い傾向だ。
そんな2代目GD型を振り返るにあたり取材に協力してくれた「中津スバル」の代田社長も、最近になってGD型の美点をリスペクトしている。
代田社長は「丸目ライトは最初から好きだったしクルマ全体の出来は悪くはなかったけれど、初代WRXの時のような新鮮味には欠けていると感じました。ライトよりもボディのワイド感が中途半端に思えたので、もっと大胆に踏み込むべきと思っていたら、S202やRA-Rのような衝撃作も生まれ、当時の開発陣の熱さにゾクゾクしましたね。GD型には今乗ってみると壮絶に面白いクルマがたくさんありますよ!」と振り返りながら、3台の取材車両を用意してくれた。
ここでは前期・中期・後期と顔違いの3台の特選車両を試乗しながら、2代目WRXというクルマを振り返り、その美点を探っていきたい。