ホイールP.C.D.やDCCD制御の変更で
WRCドライバーも納得の操縦安定性へ
中期C〜E型(2002年8月〜2005年5月)
「軽快感に感激、今乗るならGDAの方が面白いかも!」
あらゆる自動車関連の出版社に応募するも不採用の連続にて、ほぼ諦めていた自動車メディアへの就業がついに実現した2002年6月。その5カ月後に発表された”涙目”のインプは、筆者が夢に見た新車情報誌の編集部員となって初めて取材をしたスバルの年次改良車だっただけに、とても印象深い。
涙目の初試乗はその年の秋。今も活躍する新田守男選手の同乗試乗だった。富士スピードウェイの本コースにて、プロドライバーの運転によって引き出される途方もない高性能に夢心地のひと時を満喫したが、その後に自分で走ると一変して地獄。寿命が削られるような恐怖感に見舞われたのが思い出される。
人生初のサーキット走行だったせいもあるが、最初の涙目STIは丸目時代と比べると洗練はされたが飛ばすと怖いクルマというイメージが付きまとった。今回の取材車両はSTIではなく標準仕様のGDA C型。新車雑誌の編集部員だった頃も意外と乗る機会の少なかったモデルだが、これが今乗ると感動の連続で絶品の乗り味に驚いた。
STIに比べるとすべてがマイルドであり、キツめのコーナーでは『WRX』らしからぬ大きめのロールを許すものの、腰砕け感は微塵もなく、むしろ深めのロールを生かしてフロント外側のタイヤに荷重がしっかりかかり、グイグイと鼻先がインに向く挙動が快感であった。
そして、GDA型はとにかくクルマが軽い。車重はスペックC並みの1360kgで、ピークパワーを抑えて低中速トルクを強めた250ps仕様のエンジンの特性も相まって、発進加速は丸目STIより力強く感じた。涙目C型でもGDA型は等長排気ではないので、音が勇ましいのも加速感を増長させたのかもしれない。
この個体は「中津スバル」でリフレッシュ整備を受けた最高のコンディションということもあるが、本気で買って帰りたくなった。
[インタークーラーエアインテークは歴代最大に]
好みの分かれる丸目から、特徴を取り入れつつあらゆる人から支持されるデザインへと変更を受けた涙目。
Aピラーより前側のデザインはすべて刷新。これに合わせたインタークーラーダクトは現在でもスバル車史上最大といわれている。
エンジンはまだ自主規制のある時代。最高出力は上限に達し、トルク競争と扱いやすさへシフト。インテリアもE型でカップホルダーの位置変更やセンターパネルデザインの変更などが実施された。
【性能トピック】
DCCDの制御を大幅に変更
意のままの走りを手に入れる”DCCD”が大幅に進化。
従来のマニュアルモードのほかに最適なロック率をリニアに可変してくれるオートモードを追加。E型からはヨーレイトセンサーも追加され、さらなる進化を果たしている。
『WRX STI』が等長等爆排気に
スバル1000の時代から“ドコドコ”という排気音を奏でていたが、ついにエキゾーストマニホールドの等長等爆化により新しいボクサーサウンドへと進化。排気干渉を解消したことで低回転から気持ちのいいリニアな加速感を手に入れた。
ホイールPCD拡大でハブを強化
2004年に登場のE型『WRX STI』では、ホイールのP.C.D.が伝統の5H/100から5H/114.3に変更。耐久性向上が目的だが、ドレスアップ派からもホイールの選択肢が広がると歓迎された。リアフェンダーも拡大されタイヤ幅は235サイズに。
ツインスクロールターボで反応アップ
タービン直前まで2本の排気管を伸ばすことでタービンの排気圧を高く保つことを実現。これにより5000rpm以上までトルクを強化。高回転でのパワーも両立している。また、ターボラグの減少によりレスポンスも大幅に向上した。
[主な競技戦績]
新井敏弘選手が初のFIAタイトル、涙目のGTマシンも存在
COMPLETE CAR 『S203』
プレミアム路線のS203が大好評『S202』までのスパルタン一辺倒のコンプリートカーづくりから一転。『S203』からはプレミアム路線へとシフト。Sシリーズの名に恥じない最強スペックはそのままに、内外装や乗り味に上質さをプラス。「レカロ製シート」や「BBS製ホイール」といった超一流ブランドのパーツもふんだんに取り入れ、究極のインプレッサとして登場した。