耐久試験による品質管理までも
すべて自社にて行なう
【6.ショットピーニング】
スプリング工場で最もスペースを占めるのが、巨大なショットピーニング機。
「ショットピーニング」とは小さな鉄の球をスプリングにぶつけることで、表面をより強くするための作業だ。一般的には1工程だが、「タナベ」では0.8mm球で1回目、0.3mm球で2回目という業界では珍しいダブルショットピーニング式を採用。1段階めで奥まで届くように強く、2段階目で表面上を細かくショットすることで、通常よりもさらに強度を高める。
左端がショットピーニング前で、真ん中が1回目、右が2回目施工後。このダブルショットピーニングで、バネはより強靭なものに生まれ変わる。
【7.セッチング】
ショットピーニングが完了したバネはセッチング機に挟んでプレスする。
初期のヘタリを取り除くための工程で、使用領域内の最大限までプレスすることで、その後の全長変化を抑える。そして、実測での検査へ。
【8.塗装前処理】
セッチング後、職人がスプリングの長さを実測してチェック。次に塗装前の下処理作業へと入る。
その作業方法は、特殊なコーティング剤にて空気に触れないよう膜を作ってやるイメージ。塗装前のわずかな時間のサビ対策を行なうためだ。
【9.塗装】
そして、いよいよ最終段階の塗装工程へ。本塗装の「カチオン電着塗装」は被膜を厚く設定し、十分な品質を確保するが、さらに「粉体塗装」で上塗りを施す。
いずれもキズや融雪剤に対する耐久性を確保し、確実な防錆性能を得るための塗装となっている。
【10.検品】
最後に不良品がないか、寸法に間違いはないか。徹底した品質チェックは、出荷の直前に再度ひとつずつ人の目と手で検品していく。
このように、ローダウンスプリングや車高調など、「タナベ」の製品に使用されるスプリングは、すべてこの滋賀工場で生産。素材から成形、仕上げまでのすべてが一元管理されるからこそ、完成品の信頼度は確保できる。
なお、「タナベ」では新しく商品を開発した際には、必ず1本ずつの耐久試験を実施する。
バネ荷重試験では、車両に装着した状態の高さまで荷重をかけてチェック。耐久試験では、左右方向、前後方向それぞれ100万回ずつの振動検査が行なわれる。
5cmストロークを100万回繰り返す耐久テストは、数日間かけて検査機をフル稼働させることも。
ヘタリやレート変化を数日かけて分析。ISO認証工場ならではの高い品質の礎は、こうして築き上げられ、製品化されていくのだ。
取材協力:タナベ TEL072-728-6700
http://www.rd-tanabe.com