手法やベースの資質が格段に向上、
未来のVIPなセダンは明るい兆し
国内の新車市場は景気(株価)の上向き傾向もあり、堅調だ。
一時は新車販売台数の約4割が軽自動車という状況だったが、2017年はやや比率が下がり、小型車や普通車の勢いが盛り返したと言えるだろう。カスタムの世界に目を転じても、軽のスズキハスラーの快走はそのままに、トヨタC-HRやマツダ”CX”シリーズなどの新モデルの登場もあり、SUVがアツい1年だったように思う。
では、2018年カスタムの世界はどうだろうか?
ここで注目してみたいのが「セダン」の可能性だ。
「えっ、セダン!?」と感じる方も多いだろう。セダンベースのカスタムといえばVIPカー(=内外装をドレスアップした高級車で、シャコタン&ハの字、かつワルな印象だったジャンル)。90年代後半から00年代にかけてブームとなったVIPカーだが、その後、カスタムベースの潮流が他へ移行。10年代に入ってVIPなセダンカスタムはやや沈静化した。
現在のVIPワールドはどうなのか?
ブームとなった当時のイメージとは大いに異なる。
ローダウンという手法は変わりないが、そのカスタムコンセプトはかなり異なる。元のデザインを考慮しつつ、完成度にこだわる。子供でも違いが分かるようなカスタムよりも、細部やディテールにこだわりながら、結果としてノーマルとは大きく違う存在感を醸す。デザインを変えるというより、ノーマルデザインを壊さずにいかにオーラを発する存在に仕上げるか、という手法だ。
そんな認識のもと、2018年に「VIPなセダンのカスタム」が装いやイメージを昇華させつつ、再びアツくなる理由はどれだけあるのか。幾つかあるのだが、ここでは2つ挙げてみよう。
人気セダンのフルモデルチェンジ
ひとつ目は、VIPセダン人気ナンバー1、2のベースモデルであるトヨタのクラウンと、レクサスのLSのフルモデルチェンジだ。従前からのファンも直近のファンも無視できない出来事だろう。
現行モデルが中古で多く・安く出回れば、カスタムする側もコスト的に取り組みしやすい。大手カスタムブランドメーカーにすれば、目玉車種の新型LS/クラウンともなれば、当然各種のパーツやアイテムを数多く用意するはずだ。そんなLS/クラウン効果が期待できる。
カスタムベースセダンの多様化
ふたつ目は、ベースモデルの多様化によってジャンルの裾野が広がる現象。
例えば、『VIPスタイル』という唯一のセダン専門誌による初イベントでは、台風による悪天候にもかかわらず、300台以上のセダンが集まった。そのイベントのアワード受賞者(車)には、ニッサン・フーガやマツダ・アテンザが含まれる。審査員のコメントによると、カスタムの完成度の高さはもちろん、ベースモデルとしての資質も上がってきているという。
また、大手ブランドによるスカイライン向けエアロの積極展開なども見て取れる。これまでLS/クラウンのみに萎んでいたベースが間違いなく広がりつつあるのだ。
こんな事象や環境の変化に、ホイールメーカーやエアロメーカーは敏感。新たなイメージと価値観に昇華したVIPなセダン、いやサルーンのカスタムマイズが盛り上がることに注目したい。
2018年。1月の東京オートサロン、2月の大阪オートメッセでは、「VIPセダンというジャンルは今どんなカスタムなのか? 本当に再燃するのか?」という、そんな目線でもショーをチェックしてもらうといいだろう。
「VIP再燃は本当か?」という問いにサロン/メッセというショーに先んじて考察。
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