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「SUBARU」の歴史を支えた『レガシィ』をクローズアップ&特別仕様『ブリッツェン』

マリオ高野&井元貴幸の『歴代レガシィ』を探る。<3〜4代目編>

1989年の初代登場以降、「SUBARU」ブランドの繁栄とともに歩んできたといっても過言ではない『レガシィ』。最近でこそ、国内ではその存在感が薄れてきたとはいえ、みんなが愛する「SUBARU」のフラッグシップであることに変わりはない。
前回に引き続き、好き好きレガシィ団はレガシィの円熟期である3〜4代目をクローズアップしてみた。

【3代目レガシィ(BE型・セダン/BH型・ワゴン/ランカスター)】

レガシィ・ツーリングワゴンGT-VDC

プロフィール
1998年に登場した3代目レガシィはワゴンから開発をスタート。ミスターレガシィと呼ばれた桂田 勝さんが陣頭指揮を執り「レガシィを極める」をコンセプトに新環状骨構造ボディやマルチリンクサスペンション、VDCといった新技術を数多く採用したモデル。セダンにはB4のサブネームが与えられ、存在感をアップさせたことで従来モデルと比べ販売台数も大きく伸びた。3ナンバー全盛期に5ナンバーサイズを死守したことも多くのファンから支持された。

主なグレード構成

3ℓ……ランカスター6/RS30(セダンのみ)/GT30(ワゴンのみ)
2.5ℓ……RS25(セダンのみ)/250T/250T-B/ランカスター/ランカスターADA
2.2ℓ……ブライトン220(ワゴンのみ)
2ℓターボ……RS(セダンのみ)/GT-VDC(ワゴンのみ)/GT-B(ワゴンのみ)/GT-B Eチューン(ワゴンのみ)/ GT-B EチューンⅡ(ワゴンのみ)
2ℓ……RSK(セダンのみ)/TSタイプR(ワゴンのみ)/TX-S(ワゴンのみ)/ブライトン(ワゴンのみ)

★主要諸元

グレード ツーリングワゴンGT-VDC
全長×全幅×全高 (㎜) 4680×1695×1485
ホイールベース (㎜) 2650
車両重量 (㎏) 1510
エンジンタイプ 水平対向4気筒DOHCツインターボ
排気量 (cc) 1994
最高出力 (kW[ps]/rpm) 191[260]/6000
最大トルク (N・m[㎏-m]/rpm) 319[32.5]/5000
10・15モード燃費 (㎞/ℓ) 10.6
トランスミッション 4速AT
サスペンション 前/後 ストラット/マルチリンク
ブレーキ 前/後 ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ 前・後 205/55R16
車両本体価格 (税抜・万円)※当時 279.8
全グレードがAWD化。ワゴンとセダンの棲み分けが明確に

[マリオと井元のプチインプレ]

井元以下、井)この前に試乗した2代目から乗り換えると、急に最近のクルマ感が出てきますね。
マリオ以下マ)内装もグッと質感が上がってますね。今回はグレードがGT-VDCなので、さらに高級感あります。2代目からの正常進化を感じます。
井)車体剛性も上がりましたよね。当時、BGレガシィにタワーバーを装着したときは走りが激変しましたが、BHのときは元々の剛性が上がったので変化はBGほど感じられなかったんですよね。
マ)井元さん的には、剛性は高くなったけどスペックが同じかつ重くなったので、速さ的にはBGのほうが良かった?
井)そうですね。ただ、ラゲッジはすごい進化しました。個人的には機能面では歴代レガシィで一番いいかもしれない。

V字型に切れ込んだリアウインドウは後方視界を確保する0次安全のためにも貢献している。

マ)3代目はセダンの存在感も上がりましたよね。
井)サブネームにB4という名前がついたのもありますけど、リアビューがカッコよくなった影響もありますね。
マ)そういったところではワゴンの作り込みとセダンの作り込みの両方が、しっかりされているモデルといえますよね。
井)装備面では、歴代レガシィのなかでカップホルダーをどこにするかという苦悩が過渡期の時代ですね。オーディオの操作の邪魔にならないように試行錯誤した結果、コンソールとインパネの2カ所に分かれたんです。そういった部分を含めて、使い勝手はいろいろな部分で向上しましたね。
マ)初めてスバルの広報車に乗ったのが、この3代目最終型のGT-Bで、西新宿にある新宿スバルビルの駐車場のスロープを上がったときには興奮しましたね。クルマはこれ以上何も進化する必要すらないんじゃないかと。音、質感、乗り心地……すべてが乗用車の究極だと思いました。

3代目『レガシィ』は・・・

「初代よりもGCに近いものを感じる(マリオ)」
「トルクの谷間はあるけど走り出しは軽快(井元)」

リアサスがマルチリンクとなり、ラゲッジは一気に広くなった。

 

レガシィ初のSシリーズを設定!
レガシィ初のSシリーズはB4をベースに専用エンジンやブレンボキャリパー、6速MTなどを採用。ちなみに車型もBE5ではなくBESとなる。

 

ビッグマイナーチェンジ後

ランカスター

2代目で登場したグランドワゴンはランカスターという名称に変更され、2.5ℓモデルのほか6気筒モデルも追加。

 

レスポンス向上を狙い斜流タービンを採用
ブーストのリニアな立ち上がりで気持ちの良い加速を実現する斜流タービンは、B型まで採用された。

 

3ℓ6気筒エンジンを日本仕様にも初搭載!
ランカスターから搭載された6気筒モデルは市場の声を反映して後期型ではB4とワゴンにも設定された。

 

自らが持つワゴン部門の世界速度記録を更新!
2代目で樹立したワゴン世界速度記録を3代目が更新。記録達成車はスバルビジターセンターに展示されている。

現代に繋がる安全技術を採用
アイサイトの前身となるADAや新環状力骨構造ボディを初採用したのも3代目レガシィであった。

 

井元貴幸が選ぶマニアックポイント

 

 

【↓次ページに続く↓】

4代目 BL型(セダン)BP型(ワゴン/アウトバック)

レガシィ・ツーリングワゴン2.0GT spec.B

 

プロフィール
2003年に登場した4代目レガシィは、ボディサイズがついに3ナンバーサイズとなった。ソフトパッドを多用したインテリアやチタン製タービン、アルミ製リアゲートなど随所にコストもかけられた力作。スバル車初のカーオブザイヤーに輝いたモデルとしても知られる。現代でも通用するその美しいデザインをはじめ、歴代レガシィ最高傑作の呼び声も高く現在でも多くのファンを引き付けている。モデルライフも6年と歴代レガシィ最長だ。

主なグレード構成
3ℓ……3.0R/3.0RスペックB/アウトバック3.0R
2.5ℓ……アウトバック2.5i
2ℓターボ……2.0GT/2.0GTスペックB
2ℓ……2.0R/2.0i/2.0CNG(セダンのみ)

★主要諸元 ※【  】内はMT車

グレード ツーリングワゴン2.0GT spec.B
全長×全幅×全高 (㎜) 4680×1730×1475
ホイールベース (㎜) 2670
車両重量 (㎏) 1480【1450】
エンジンタイプ 水平対向4気筒DOHCターボ
排気量 (㏄) 1994
最高出力 (kW[ps]/rpm) 191[260]/6000【206[280]/6400】
最大トルク (N・m[㎏-m]/rpm) 343[35.0]/2400
10・15モード燃費 (㎞/ℓ) 12
トランスミッション 5速AT【5速MT】
サスペンション 前/後 ストラット/マルチリンク
ブレーキ 前/後 ベンチレーテッドディスク

ベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ 前・後 215/45R18
車両本体価格 (税抜・万円)※当時 310.0【303.0】

歴代最長のモデルライフを誇る人気モデル

 

[マリオと井元のプチインプレ]

マリオ(以下、マ)これこそもう、最近のクルマって感じですね。
井元(以下、井)2009年まで売っていたので、最終モデルは10年経ってないですからね。
マ)某編集部時代によく乗りましたが、当時から公平な目で見ても、直進安定性から質感まで、BMW3シリーズと比べても遜色なしでした。
井)内装の質感とか、今見ても凄いですよね。
マ)現代でも全然通用するクオリティの高さ。
井)ターボもこの世代からシングルになって、トルクの谷からも解放されました。
マ)エキマニが等長等爆になって不等長サウンドがなくなった寂しさはありましたが、アプライドごとにスバルらしさが戻ってきて、チューンドバイSTIとかS402とか、ジワジワ進化してすごくよくなっていった感がありますよね。

シンプルな佇まいとなりスタイリッシュになったリアビュー。エンブレム類も最小限になった。

井)F型まで作られて、毎年よくなっていくイメージでしたね。SIドライブとか、SIクルーズとか隠し玉もいっぱいありました。
マ)そういった意味では、年次改良ごとの進化を実感するクルマですよね。
井)今でもファンが多いのもうなずけます。
マ)あとは6気筒もマニュアルが追加されて魅力も高まりましたし。
井)BE/BHと比べて車格が上がったことで、6気筒が似合うクルマになったなと。
マ)BHのランカスターのときは”無理して載せてます感”がなきにしもあらずでした。それに比べてBP/BLの3.0Rはクルマ好きに刺さるようになりましたよ。2ℓNAの2.0Rもよかった!
井)グレード展開も幅広かったですよね。
マ)どのグレードを買っても「いいな!」と感じられる印象でした。

4代目『レガシィ』は・・・

「当時のBMWと比較しても遜色なし!(マリオ)」
「今でもファンが多いのもうなずけます(井元)」

3ナンバー化によりラゲッジスペースもさらに余裕が生まれた。


ビッグマイナーチェンジ後

アウトバック

国内外でアウトバックに名称が統一。基本的には2.5ℓNAは専用エンジンに。


アウトバック史上最強に
パワフルな2.5XT
4代目レガシィで唯一不等長エキマニを採用。歴代アウトバック唯一のターボ車だ。

 

シングルターボ&等長等爆エキゾースト採用
タービンはシングル化され、エキマニは等長等爆化により独特のサウンドが消えたことにファンは賛否両論だった。

 

SIドライブを初搭載!
現行SUBARU車の多くのモデルに搭載されているSIドライブも初搭載は4代目レガシィから。

 

チューンドby STIはなんと3回も発売
tSの先祖にあたるチューンドバイSTIはC、D、E型に設定。STIスポーツパーツはもちろんブレンボキャリパーなども採用された。

 

2.5ℓターボ搭載のS402
最強レガシィのSシリーズには2.5ℓの専用エンジンを搭載。フェンダーなども専用品。

 

 

ついにアイサイトが登場!SIレーダークルーズも併売
A型でADAが設定されたのち、E型でミリ波レーダーを使用したSIクルーズが登場。F型で待望の初代アイサイトが設定された。

井元貴幸が選ぶマニアックポイント

 

 

 

【↓次ページに続く↓】

<我ら好き好きレガシィ団(特別仕様車編)>

稀代の名機  BLITZEN[ブリッツェン]

まさに機能美という言葉がふさわしいブリッツェン。ポルシェデザインが描いたフォルムは、発売から十数年が経過した今もなお色褪せない。このブリッツェンに触れる幸せをマリオ高野がリポート!

サスペンションに変更点はないが前期型BEレガシィならではの重厚感はプレミアムセダンに相応しい味付けだと再確認できた。

 

レガシィ B4ブリッツェン[2000年モデル]

★主要諸元

全長×全幅×全高 (㎜) 4630×1695×1410※参考値
ホイールベース (㎜) 2650
車両重量 (㎏) 1480(AT車)・1450(MT車)※参考値
乗車定員 (名) 5
エンジン 2ℓ水平対向4ターボ
エンジン型式 EJ20
総排気量 (㏄) 1994
最高出力〔ネット〕 (kW[ps]/rpm) 191[260]/6000※4速AT車
最大トルク〔ネット〕 (N・m[㎏-m]/rpm) 319[32.5]/5000※4速AT車
最高出力〔ネット〕 (kW[ps]/rpm) 206[280]/6500※5速MT車
最大トルク〔ネット〕 (N・m[㎏-m]/rpm) 343[35.0]/5000※5速MT車

 

今もなお乗り手を悶絶させる
プレミアム感に嗚咽が漏れた!

歴代レガシィの特別仕様車で最大の成功作といえるブリッツェン。2000年発売の3代目のB型から初めて設定され、人気を博してシリーズ化されたが、今回はその初代モデルと、D型に設定された『ブリッツェン22002』の2台を取材できた。
ブリッツェン、そして同時期に登場したインプレッサのタイプユーロのエアロパーツがポルシェデザイン社との共同開発であることは広く知られている。ポルシェといえば当時のスバルは積極的にポルシェとの関係を深めており、(ちなみに当時のポルシェデザインはポルシェとは無関係。今は子会社)3代目BEレガシィが登場した1998年にはポルシェ車の販売やアフターサービスを全国数カ所のスバル特約店で開始。
「ともに水平対向エンジンを扱うメーカーとして技術的な協力への発展につながることを期待している」と発表するなど、親密化をはかっていた。

LEGACY × PORSCHE DESIGN
ホイールのセンターキャップが泣ける!

フロント&リアバンパー、フロントグリル、リアスポイラー(ハイマウントストップランプ内蔵)、17インチアルミホイール、エンブレムが専用品。エンブレムの接着剤は劣化していたが塗装の輝きは健在。「DESIGN BY F.A.PORSCHE」と「SUBARU」の文字が刻まれたホイールのセンターキャップが当時の両者の関係を今に伝える。飛び出したマフラーも純正品だ。

ポルシェとの親密化の狙いのひとつにレガシィのプレミアム化が挙げられる。それは3代目レガシィの開発主査からSTIの社長を務めた桂田 勝さんの悲願でもあった。そんな時代に生まれた初代ブリッツェンは、今の基準で評価しても”まさにプレミアム!”と叫びたくなるクオリティを備えている。
ブリッツェンの象徴的なエアロパーツを際立たせるプレミアムレッドはプラス3万円の特別な塗装で、17年経ってもなお鮮やかだ。
乗り味は、基本的にはやや重めの重量を良い方向に活かしたどっしりとした雰囲気で、当時のインプレッサやフォレスターにはない風格を感じさせる。それでいて、アルミボンネットやMT車に備わるフロントのヘリカルLSDのおかげか、タイトコーナーでの鼻先の入りは軽快だ。

エンジンの仕様に特別なものはない。年式的に冷却系統の消耗品が気になるが、現状では不安を感じさせない。

MTだとネガとして感じやすくなるトルクの谷間も、いかにもシーケンシャルツインターボらしくて好ましい。今なら味として積極的に谷間をまさぐりたくなるというものだ。
味わいでいうと、D型ベースの2002モデルはまさに圧巻! チタン調パネルなどで内装の質感は別物に引き上げられているし、足さばきも2ランクは上のモデルに感じられるほどしなやかだ。社長の運転での同乗試乗中、誇張抜きでひたすら悶絶させられた。
2002年当時も新宿スバルビルで嗚咽を漏らすほど感激したが、やはり3代目後期型MT車の完成度は凄まじく高い!

オプションのレザーパッケージ装着車。本革トリムやコンソール蓋ステッチにもレザーが奢られる。運転席側のシートは乗降時の磨耗が目立っていたがシートはしっかりしている。

マリオ高野至福の瞬間!

中津スバル・代田社長との同乗走行体験は至福を超え、ただただ悶絶モノするばかりのひとときであった。

 

レガシィツーリングワゴンブリッツェン[2002年モデル]

★主要諸元

全長×全幅×全高 (㎜) 4705×1695×1485 ※参考値
ホイールベース (㎜) 2650
車両重量 (㎏) 1550(AT車)・1530(MT車) ※参考値
乗車定員 (名) 5
エンジン 2ℓ水平対向4ターボ
エンジン型式 EJ20
総排気量 (㏄) 1994
最高出力〔ネット〕 (kW[ps]/rpm) 191[260]/6000※4速AT車
最大トルク〔ネット〕 (N・m[㎏-m]/rpm) 319[32.5]/5000※4速AT車
最高出力〔ネット〕 (kW[ps]/rpm) 206[280]/6500※5速MT車
最大トルク〔ネット〕 (N・m[㎏-m]/rpm) 343[35.0]/5000※5速MT車

LEGACY × PORSCHE DESIGN
ワゴンのルーフスポイラーやガーニッシュは専用品

ブリッツェンとしては3代目にあたる2002年モデルはデザインを一新。フロントバンパー、フロントグリル、リアバンパー、サイドスカート、ルーフスポイラーなどが専用品。シルバーグレー色ヘッドランプベゼルも加飾される。初代はセダンB4のみだったので、ツーリングワゴンとしてのブリッツェンは2代目にあたる。ツーリングワゴン、B4あわせて1500台の限定販売。

後期型は「3Keys Legacy」と呼ばれ大幅な改良が加えられた。EJ20に変更点はないが2.5ℓや6気筒などエンジンラインアップの拡大がはかられた時期にあたる。

内装はベース車のアプライド違いによる質感の底上げ度合いが非常に大きい。マッキントッシュオーディオは全車標準装備となる。

[リポート:マリオ高野/井元貴幸]
[編集:SUBARUマガジン]
[協力:中津スバル販売 TEL0573-78-0055]
http://www.takenet.or.jp/~subaru/

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