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嗚呼、悲しくも消えてしまった懐かしのクルマのカスタム文化「総集編・後編」

かつては大ブレイク、いまや絶滅危惧へ
そんなアフターのシーンを振り返り

クルマのアフターパーツや飾り方は、この20年ほどで大きく様変わりしました。
例えば、エアロパーツ。かつてのミニバンやセダンのカスタムでは大きく張り出した形状が人気を集め、存在感を主張するバンパータイプが流行。アフターメーカーの技術力が高まった現在では、迫力よりも個性を主張するデザインに。3D造形やLED内蔵など、流行に合わせて進化と変化を遂げてきたわけです。
そんな一昔前のアフターシーンにおいては”身近な流行”も。クルマ好きだった人(30代以上)でもわかる栄枯衰退を振り返る総集編。後編をお届けしましょう。

 

【ウーファー】

“大きいほどいい”からコンパクト設計がウケる時代へ

「ズゥドゥ〜ンドゥ〜ン…」と、車外へ漏れる重低音。
迫力の低音域を放つ発信源が『(サブ)ウーファー』ですが、最近は威勢のいい”音の響き”を街中で聞かなくなりました。かつて、大阪キタ(梅田)の商業ビル施設前には、重低音を放ったローライダー系やミニバンに乗る若者が集結。クルマも然りですが、大音量でアピールすることが見せ場だったワケです。
必ずしもその影響ではないにせよ、90年代は「重低音=カッコいい」。マフラーも低音が人気を集めるなど、カスタム車乗りにとって音は重要でございました。

あれから約20年。
ラゲッジ&トランク内へ巨大なボックスが鎮座していたものが、現在はコンパクトなものに。シート下に置く小型タイプや薄型設計など、スペースを取らないウーファーが主流となりました。すなわち、『ウーファー』という音響文化が消滅したわけではなく、”魅せる”から”隠す”時代になったわけです(ショーカーやイベント向けユーザカーは別)。

当時は、「デカくてうるさい」に共感してくれた女子が数多くおりましたが、いまはきっと理解してくれないでしょう…。

 

【ボンネットマスコット】

ボンネット先端に鎮座する高級欧州セダン的なシンボル

ボンネット先端にある装飾品といえば『ボンネットマスコット』。
メルセデス・ベンツの「スリーポインテッドスター」や、ロールスロイスの「スピリット・オブ・エクスタシー」などは、まさに高級欧州車の象徴的な存在でした。国産車では、日産シーマが有名ですが、アフターマーケットでも”ボンマス”という呼称で続々とラインアップされていましたね。この”ボンマス”はセダンやミニバン乗りを中心にブレイクし、高級車風メイクとして格好の素材となったわけです。

ところが、平成13年度に外部突起に関わる保安基準が改訂し、先出の自動車メーカーも格納式や可倒式へと移行。カスタムの世界でも”平成21年以降の生産車への後付け装着は車検に通らない”という噂が出回るなど、徐々に減少へ。
とはいえ、VIPメイクの象徴的は、古き良き高級車のイメージとして、いまでもフリークたちの愛車で輝き続けているのです。

 

【ムートン】

高級な演出が必須だった90年代の内装マストアイテム

’80〜’90年代初頭。セドリック、クラウン、マークIIといった「ハイソカー」のシートといえば、ワインレッドやブルーなど、ナウい色合いが採用されてました。
バブルの影響なのか、シートデザインも応接室にあるソファーのような…。ちょいとテカリのあるモケット素材も然り、まさに”昭和の豪華絢爛”だったのです。バブリーな内装は、お父さん世代には懐かしく、若者には斬新に映るでしょう。そんな当時からしばらくして、流行した内装カスタムといえば、これまたバブリーな『ムートンカバー』。羊の毛皮を使ったモコモコなムートンは、ゴージャスな見た目が特徴で、シートカバーやフロアマット、ダッシュボードマットで恰好の素材に。

なかでも支持されていたのがセダン乗り。セカハン(セカンドバック)を脇に抱え、颯爽と愛車に乗り込む…。ドアを開けた際に目に飛び込んでくる”土足厳禁”のステッカーも印象的でした。助手席の足元には、靴を置くためのトレーを設置し、フロアマットやシートを汚さないように徹底したのです。

 

【ワンアームワイパー】

真ん中で固定するとレーシングカーのテイストへ

雨の日に欠かせないワイパーを、名のとおり1本にして斜めに固定したのが『ワンアームワイパー』。
80年代に入ってからスポーツカーやワゴンのスポーツメイク系で人気を呼びました。根源は、DTMやGTなどのレーシングカーであり、超高速走行で空気抵抗の低減やバタ付きを抑えるために採用されていたもの。とはいえ、市販車で2本あったものを1本にするメリットは、拭き取る面積が狭くなるため皆無。レースカーをイメージさせる、あのワイパー位置がカッコ良かったのです。

ワイパーブレードを長いものに変更したり、ワイパーを動かすモーターを加工するなど、拭く面積を広げるための努力も。じつは、日産・シルビアやホンダ・プレリュードといったスペシャリティーカーが採用。M字に作動する構造で注目を浴びたメルセデス・ベンツなど、ワンアーム構造は純正でも使われていたのですね。

 

【高級ブランド品の活用】

ロゴのチラ見せで最も手軽だった”M●M”のタオル

ヴィ○ンやグッ○といった高級ファッションブランド品を使った、なんともセレブな内装カスタム。
例えば、ドアの内張りサンバイザーを張り替えた、ブランドロゴのチラ見せが流行。高級ブランドの生地をクルマに取り入れるという斬新さがウケたのです。本物のバッグを使って縫製するツワモノもいましたが、ブームを受けて内装カスタム用のコピー生地まで販売されるという始末。張り替えということで施工工賃も決して安いものではなかったのでした。

そんな”ブランド魅せ”で、最も手軽だったのがタオル。
なかでも「M●M」のフェイスタオルは、敷くだけという手軽さも手伝って、センターコンソールやアームレスト上でよく目にしたものです。そう、濃いめのベージュカラーに特徴的なブランドロゴ。
「とにかく高級感!」という意識が高かった当時は、ブランド品を取り入れることがステータスだったんですね。

近年のファッション界でも、ブランドロゴを主張するバッグやウェアは少なくなったような…。いまは「バブリ〜♪」をアピールする時代ではなくなったようです。

 

【フルスモ(フルスモーク)】

ウインドウから放たれる圧倒的な威圧感

かつてはヤン車のイメージが強かったものの、90年代を中心にセダンのカスタムカーでも『フルスモ』は健在。フルスモとは”フルスモーク”の略で、リアガラスだけでなく運転席と助手席のウインドウにもスモークフィルムを貼ったもの。さらにフロントガラスまで貼った、正真正銘の”フルスモ”もありましたね。当然ながら立派な整備不良。明らかな違反行為もヤン車の象徴であり、その怪しさからも職質や車内検査に遭遇する率が高かったと聞いてます。

しかし、車検のたびに剥がす面倒な作業や、セダンのカスタムにおいてもスモークフィルムを貼らないのがトレンドに。現在も稀に見かけますが、随分と減った気がしませんか?

 

【フラワーレイ】

車内はイッ気にハワイア〜ン♪

『フラワーレイ』といえば、ハワイの空港に到着したら首にかけてもらえそうなヤツ。
色とりどりなタイプや単色など、美しく模造された花を連ねた首飾りって感じですね。コレをモチーフにしたアイテムをルームミラーに掛けたり、ダッシュボードに置いたり、2000年前後の一部ドレスアップカーでブレイク。車内を一気にトロピカルに演出できる手軽さもあって、アメリカンやキャルメイクを中心にウケました。

近年では、フレームにデコーレーションやデザインを加えたカスタム系ルームミラーが増加。ルームミラーまわりでユラユラと揺れるレイで視認性が悪くなるよりも、スッキリとしたドレスアップへ移行していったのです。
そういえばレイを飾ったクルマには、リヤワイパーをレス化して花のマスコットキャップを装着するのも定番。くるくると半回転しながら回る「ワイパーマスコット」も、見かけなくなりました。

 

【顔面移植】

異なる車種のフェイスを流用したコアな上級メイク

最後は、少々マニアックなテーマ、『顔面移植』について。
トヨタ・セルシオといえば、高級車シーンをリードした存在。そんな名車をインスパイアするカスタムの手法も存在するわけで、外品のエアロパーツにまで影響を及ぼしていました。例えば、このセルシオ。当時は、その空気感こそ究極のステータスであり、ならば”丸ごとイメージを移植しちゃおう”っていうのが流行。それが、初代エスティマへ20系セルシオのバンパーやヘッドライト、フロントグリルに変更した『セルティマ』です。
一部はフェイスキットがリリースされるなど、”顔面移植”はおおいに注目を集めました。バックミラーに映るセルシオがミニバンだったワケで、車種不明なインパクトも魅力のひとつ。他にも、シルビア顔の180SX「シルエイティ」、その逆の「ワンビア」が有名でしたね。

皆さんにとっての懐かしいカスタム&車文化はございますか?

オシマイ

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